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案内人

 どうもシファニーです! なんか最近むしろ寒くなっている気がするのは気のせいですか? 暦の上では春なんですけどね……。そもそも暦の上ではあるって何ですか。

 

 第90部、第2章第44話『案内人』です。どうぞ!

 リオネルと言う名前には覚えがあった。

 確か以前、最前衛開拓隊統括、などと自己紹介してあいさつに来た男だったはず。領土拡大を目指すためシンラシンラの外を探索している、みたいな話だったか。

 1度会って以来ずっと会っていなかったのだが、リィナは居場所を知っているらしい。


 シンラ・アースを出た俺とリィナは、すぐにリオネルの部屋となるシンラ・プライドの個室を訪れた。


「リオネル、いるかしら。リィナだけど」

「おお、リィナ殿下であらせられるか。おりますとも、お入りください」

「ええ、失礼するわ」

「えっと、失礼します」


 半透明のカーテンをくぐって中に入る。大体は俺が借りているのと同じ部屋。所々個性的な装飾が施されていたり、冒険用に道具のようなものが見える。少し散らかっていたが、生活できない程ではない。

 その部屋のソファの上。ちょうど弓を手入れしていたらしいリオネルは、弓を机の上に置いて立ち上がり、お辞儀をした。


「リネル殿下までおらせられましたか。本日はどういったご用件でしょうか」


 リオネルはぼさぼさの髪をした、髭の濃い青年だった。特徴だけで言えば30やそこらにも見えるのだが、顔の造りが20代前後なのがあって少しだけアンバランスだ。

 だが、活力を感じさせる雰囲気を纏っていて、若々しさは健在だった。


「ええ。今日はあなたに聞きたいことがあって来たの」

「ほう。して、その内容は?」

「シンラシンラの北部から西部の方角に、雪山が広がってるわよね?」

「ええ。シンラシンラから小さな平原を抜けた先に。常に雪が積もっている、極寒の地でございます。我々も何度か調査に赴いたことがありますが、とても我らエルフの住める地ではなかったため、最近は調査対象外となっています。そこがどうかしたのですか?」

「そこまでの行き方、教えてくれない?」


 どん、と音を立て、愛可は本を机に置いた。すでにページは開かれていて、きっと、そのどんな怪我でも治す果実について開かれているであろう箇所を指差す。


「あなたも知っていると思うけれど、お母様には今必要なものがあるの。それを取って来るわ」

「これは……いえ、しかし、これが本当かどうかも定かでは……」

「私のお父様の書いたものよ? それを疑うの?」

「前代国王がですか!? そ、それならば、確かに。しかし、リィナ殿下おひとりで向かうなどと」

「そんなわけないでしょう。リネルが付いてくるわ」

「……リネル殿下は、確かに信頼のおける方ですが。せめて、我らだけでもお供させていただけないでしょうか」


 なんか、俺が一言も喋らないうちに話がどんどん進んで行く。こういう時リィナの独断専行は話が円滑に進むので助かる部分もあるのだが、俺の意見も少しは聞いて欲しいと思う。


「別にいいけど足を引っ張る様だったらおいてくわよ? ねえ、リネル?」

「え? あ、ああまあ、雪山でエルフを抱える自信は無いし……」

「ほら。それでもついてくるなら好きにしなさい」

 

 ……意見は聞いてくれたかもしれないがこういうことではない。


 そんな俺と似たような心境なのだろうか。

 リオネルは、リィナに渋い顔を向けた。


「……おふたりは、我らを優に超える実力を持っている、と考えたほうがよろしいのでしょうか。失礼かもしれませんが、私には到底、おふたがたが私たちよりも環境に適応できるとは思えないのですが」

「あらそう? ならあなたたちは水や火の魔法を思い通りに操れるのね。食料も防寒対策もばっちりな私たち以上なら、確かについて来てくれた方が心強いわ」


 リオネルが、顔をひきつらせた。

 そりゃそうだ。火属性魔法はエルフでは扱えない。それはリィナで検証済み。いや、習得が極めて困難、と言うだけなのかもしれない。実際俺は使えるわけだし。

 そして、使えてしまうのが厄介だ。極寒の吹雪の中では本来火を焚くのも一苦労になる。それを魔法ひとつで行えてしまう俺がいると、暖を取るのが容易になる。使えると使えないのとでは段違いなのだ。


「……確かに、私たちでは力になれないかもしれませんが……そ、それでも、おふたりだけで行かれるなど余りに危険です。もしものことがあれば!」

「馬鹿言わないで。もしものことなんであるわけないでしょ? 舐めてもらっちゃ困るわね」

「で、ですが……!」

「ああもううるさいわ! いいから行き方を教えなさい! 登山しやすそうな場所よ!」

「い、いえ!」

「早く出しなさい!」

「あ、あの!」

「私の言うことが聞けないって言うの!? いいわよ、首にしてやる!」

「ええ!? お、お待ちください! 分かりました、分かりましたから!」


 け、権力の横暴じゃないか……。何だか出会った当時のリィナを思い出す。我が儘姫が戻ってきたようだ。


 けれど、今ばっかりは頼りになる。リオネルはリィナの言葉におののいて部屋を探し出した。地図でもあるのだろうか。

 じきに、リオネルは一枚の布を取り出した。絵巻状にされたそれを、リィナはさっと奪い取る。リオネルは何を言うでもなく佇んだ。


「そうそう、最初からそうしてくれればよかったのよ。あ、告げ口なんてしたらそれこそ容赦しないわよ? 手土産に雪山のものでも何でも持ってきてあげるから大人しく待ってなさい?」

「わ、分かりました。そ、それで? 出立はいつの予定で? よろしければ、雪山まではお送りしましょう。風林車で行けば荷物も運べますし、歩いて行くより何倍もよろしいかと」

「へえ、気が利くわね。気に入ったわ。ちなみに、出発は今すぐよ。ちょっとだけ寄りたいところがあるけどね」

「い、今すぐですか!? い、いえ、かしこまりました! すぐに準備します! 5分ほどいただければ、シンラ・プライドの前に風林車を持ってこられるかと!」

「ならさっさと行った行った! 私の時間を無駄にしないで!」

「は、はい!」


 こ、怖えぇ……。もしかして俺が受けてきた我が儘はまだまだ可愛いものだったんじゃないか? と錯覚してしまうほどの横暴さ。


 そんなリィナは、こちらに笑顔を浮かべてピースサインを向けて来た。


「さあ、これで準備は万端よ! リネル、行きましょう!」

「行くって言っても、俺たち防寒対策も何も……」

「だから寄る場所があるって言ったでしょう! いいからとにかくシンラ・カクを出るのよ。レイカに見つかる前にね」

「お、おいちょっと待てって! 手を引っ張るな!」


 楽し気なリィナに手を引かれ、俺たちはシンラ・プライドの外に向かう。


 まあ、なんにせよ落ち込んでいないし一安心と言ったところか。この様子なら、気にしすぎる必要も無いと言ったところだろう。

 最近ますます面白そうなゲームって増えてますよね。ソシャゲが波に乗ってるのは草案ですけど、買い切りげーでも色々と。私は最近はもっぱらソシャゲばっかりですが、switch2もささやかれている今日この頃。新作ゼルダだったりスプラだったり、ポケモンだったりと懐かしき思い出たちが新たな物語を気付いてくれるのが楽しみだったりします。

 え? 落ちなんてないですよ。


 それでは!

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