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お風呂は嫌

 どうもシファニーです!


 第78部、第2章第32話『お風呂は嫌』です。どうぞ!

 食後、リィナとヒセがお風呂に入りに脱衣所に向かったのだが、ほどなくしてドタバタと物音が響き始めた。


「ど、どうした!?」

「リネル!? ひ、ヒセが、お風呂に入りたくないって聞かなくて!」

「んんっ! んんんっ!」


 見てみると、服を脱ぎかけたリィナが、暴れるヒセの両脇に腕を挟んで止めようとしているらしい。

 

「ちょ、ちょっと落ち着けってヒセ。お風呂の何が嫌なんだ?」

「んっ! 水嫌い!」

「大丈夫よ! 溺れたりする深さじゃないから! ちょっと洗うだけ! じゃないと血の匂いが凄いのよ!」

「んんんっ!」


 何とか説得を試みるが、ヒセはなおも必死の抵抗を続ける。


 そう言えば、2度目の人生で使い魔を飼おうと思った時、お風呂を嫌がる子が多いから、と言われて断念した記憶がある。当時の俺は忙しかった上、綺麗好きだったこともあって諦めたのだ。

 もし飼っていたら、今のヒセみたいに暴れていたのだろうか。飼わなくて正解だったかもしれない。


「ちょっとリネル! 見てないで手伝いなさいよ!」

「え、俺? でも、手伝えって言われたって、服を脱がすわけにもいかないし」

「何でよ、別に気にしないでしょ」

「え、えぇ……?」


 気にすると思うが? 異種族とはいえ異性なわけで。それ相応の羞恥心ってものが働くはずではあるのだが。

 年だって離れていないと判明したばかりだし。


 ただ、このままヒセを暴れさせ続けるわけにもいかない。リィナに拘束されている時点で本気ではないだろうか、本気で暴れられたらここがどうなってしまうか。


 暴れるヒセの正面でしゃがみ込む。


「なあヒセ、ちょっとだけだから。汚いままだと病気になりやすくなって危険なんだぞ?」

「ん! んんっ!」

「じゃあ…この前のイーグルビーの蜜、残ってたよな?」

「へ? 急に何よ、残ってるけど」


 全長1メートルを超える、巨大な蜂型の魔物。今まで見たことが無く、リィナに教えてもらった魔物だったが、恐らくはシンラシンラにのみ生息しているのだろう。そんなイーグルビーが作る巣は大きく、そこからとれる蜜の量は凄かった。

 味もほど良く甘く、ただ料理として合わせるものも中々思いつかなかったので放置していた。


 3度目の人生の時、仕方なく子どもを預かる時期があった。と言っても、当時は俺も7つと幼かったのだが。

 そんな折、その子が泣いて仕方ない時があり、困っているとどこからともなく表れた商人が甘味を渡して泣き止ませたことがあった。それを参考にしようというのだ。


「よしヒセ、もしちゃんと風呂に入ってくれたら、ご褒美に美味しい物を作ってやろう」

「ん?」


 暴れていたのをぴたりと止め、ヒセが俺を見る。よしよし、食いついた。


「肉?」

「いや、肉じゃない。けど、ヒセが今まで食べたことが無いくらい美味しいものだと思うぞ」

「ほんと? 約束?」

「ああ、約束だ」

「……ヒセ、我慢する。だから、食べる!」

「よし、じゃあ、作って待ってるからな」

「ん!」


 ヒセは鼻息を荒くして答える。

 それを見てから、リィナはヒセを解放する。


「食べ物に釣られるのね……考えもしなかったわ」

「ちょっと、似たような状況を経験しててな」

「へえ、子守りなんてしてたの。ほんとに何でも知ってるのね」

「いやいや、そんなことは無いけど。っと、ここにいたら邪魔だよな。じゃリィナ、ヒセを頼むぞ」

「ええ、任せなさい」

「ヒセも、ちゃんとリィナに言うこと聞いてくれよ」

「ん。まず、脱ぐ?」

「え?」


 服を脱いで入る、と言うのを知っていたのかリィナから聞いていたのか、ヒセは迷いなく服に手をかけ、一瞬で脱ぎ去った。あまりの速さに目を背ける隙すらなく、だいぶはっきりと見てしまってから目を逸らす。


「ほら、言ったでしょ?」

「……じゃ、じゃあ、また後で」


 後ろでリィナが何か言っているが、気にしない。

 どうして出会って間もないヒセの性格を、リィナが完璧に把握しているんだよ。まさか本当に羞恥心と言うものがないとは。それとも、裸程度では恥ずかしくないのだろうか。

 まあ、衣装だって露出が多い物を好むのが獣人だ。住んでいる場所が熱く、上に着るのは日よけ用のマントだけ、と言うのが一般的。

 人間やエルフとは感性からして違うのだろうか。


 まあそれはそれとしてリィナは俺がいては邪魔だろうから、脱衣所を後にする。


 わずかに早まる鼓動を何とか抑えながら、やるべきことを熟すためにキッチンへ向かう。


「じゃあ、作るとするか」


 こんな時、料理を練習していた時期があってよかったと思う。やはり、何でもやってみるべきだよな。


 10年以上前の経験を思い出しながら作業を進める。

 いつだったか、甘味を取ると頭がさえると聞いた時に1度蜂蜜を使った菓子を作ったことがあった。冒険者として活動していた4度目の人生。抱えるものも無く自由気ままな生活を送っていたので、材料集めなんかも身軽に出来た。

 今となっては商人揶揄う、みたいな手段が取れないので少し面倒ではあるが……果物と蜜さえあればある程度の物が作れる。


「とりあえず果物を切って蜂蜜に付けて置いて……あとはちょっと面倒だが、何とかなるよな」


 普通なら何カ月も欠けて作る料理なのだが、今回は魔法を使って作業のほとんどを省略することにする。


 まず取り出すのは念のため一定量とっておいた魔物の骨。

 それを火属性の魔法で燃やして灰にし、残った部分からタンパク質成分を抽出する。それから、水の上位属性、液化属性の魔法、フルイド・ポイズンで酸化。さらに余計な部分を取り除く。

 それから同じく液化属性魔法、フルイド・コールドで凍結させる。


「よし、あとは寝かせておくか」


 そうは言っても魔法で簡略化しすぎると質が落ちる。

 でてくるまでの時間の間は、このまま置いておこう。


「さて、次は何をするかな」 

 Nolaさん相変わらずPVゼロなんですけど。知名度がいけないのか投稿している量が少ないのが置けないのか。もう少し粘り強く調べていく必要があるかもしれません。頑張って行きます。


 それでは!

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