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セーフサイド

 どうもシファニーです! 節分ですか? 豆まきしないと。あれ? 私の記憶だと2月3日だったような……。


 第72部、第2章第26話『セーフサイド』です。どうぞ!

 早朝、日が昇ると同時に俺たちはシンラシンラを出た。

 魔の荒野、昼でもかなり危険な魔物が徘徊しているが、夜行性の魔物の方が断然に多く凶暴だ。出来るだけ早くに出て、可能なら夜になる前に帰りたいので最大限時間を確保しようとした結果だ。


「それじゃあリィナ、警戒は怠るなよ。このまま真っすぐ岩肌に沿って進むぞ」

「分かったわ。ここから歩いてどれくらいかかるのかしら?」

「普段のペースなら4時間くらいじゃないか?」

「そう。となると、しばらく退屈な時間が続くわね」


 一応野宿用の道具を用意していて、それが詰まった籠を背負ったリィナが後ろで呟く。

 リィナにしてみればエア・フライトでさっさと行きたいと考えているのだろうが、道中での戦闘や非常時のことも考えればあまり無駄遣いは出来ない。まあ、それが自分でも分かっているからこそ軽い嫌味程度で収まっているんだろうけど。


 出かけて早々不機嫌そうなリィナに苦笑いを浮かべながら、背中の荷物を背負い直し、俺は真っ直ぐと進み続けた。


 やがてセーフサイドの近くまで辿り着く。

 何度かあった魔物の襲撃は難なくこなし、ほとんど予定通りの時間で到着していた。


「へえ、ここの背は気が低いのね。遠いから小さく見えているだけだと思っていたわ」

「まあ、シンラシンラと比べれば低いよな」


 天然の要塞とも言えるシンラシンラの木々、その大部分を占めるのは50メートルを超えるような巨木ばかりだ。それと比べれば確かに背の低い木々だが、それでも生き物の姿を隠すには十分すぎる大きさがある。


「にしても、この荒野にどうしてこうもぽつりと森があるのかしら。見たところ覆われてるわよね?」

「確かにそうだな。俺はあんまり気にしたことなかったが……魔力が濃い、とかか?」

「言われて見ればそうね。周りよりも濃い気がするわ。ちょっとの魔力の変化でここまで変わるものなのね」


 なんて言いながらリィナは納得したように頷く。

 どうやら持ち前の鑑定眼で見抜いているらしい。俺も魔力の痕跡を見るために日々目を凝らしたりと努力を続けているが、一向に見えるようにはならない。やはりリィナだけの天性の才能なのだろうか。


「さて、結局どうする? 私としては中に入って調査をしたいところなのだけれど」

「昨日も言った通り種族間で問題になりかねないが……俺は正直エルフと人間の関係性に詳しいわけじゃない。実際どうなんだ?」

「私だって知らないわよ。そもそも、エルフが他の種族と独立して暮らすようになったのだってもう何千年も前の話なのよ? その、いわゆる伝統に従っているだけだもの。理由だって知りはしないわ」

「そうなのか?」

「きっとお母さまだって知らないわよ」

「そこまでか」


 まさか王族ですら知らないとは。てっきり領土戦争に巻き込まれたくないとか、混血を嫌うとか種族全体で共有する思想があるものかと思っていたが、意外とそんなことは無いらしい。


「まあ、そこまで幻覚に決められていないんなら別にいいんじゃないか? 人間と会っても攻撃しなきゃいいだろうし、会わない可能性もあるからな」

「そうね。それじゃ、早速探索を始めるわよ!」

「ああ。あ、ただ、比較的おとなしい魔物ばっかりだから、あんまり大きな音をたてたりするなよ? 上手くいけば1度も戦争にならずに終わらせらえるから」

「むっ、私を何だと思ってるのよ。言われなくたって大人しくしてるわ」


 一瞬で不機嫌顔を作るのは最早天丼ネタだ。

 リィナは鋭い視線で見上げてきた後、ふんっ、と鼻を鳴らして顔を背けて歩き出してしまう。

 それを追いかけるようにして探索を初めた。


 それから数時間が経ち、途中で持ってきた水分と食料で休憩を取り、日が傾かないうちにセーフサイドを出た。


「結構何もなかったわね」

「まあ、狭いし、何もないからこそ安全地帯って言われているわけだからな」

「なるほどね。でも、シンラシンラとは植生がまったく違ったし、興味深いところもあったわ。いつか、この辺の植物を採取してシンラ・アースで育ててみるのもいいかもしれないわね」

「おお、いいな」


 そんな会話をしていると、どこからともなく音が聞こえて来た。

 リィナもそれに気付いたらしく、先程まで楽し気だった表情を改め足を止める。それから身を低くして近くの岩陰に身を隠した。


「戦闘音、よね」

「それも近接戦闘っぽいな。金属音だ」

「人間、かしら」

「かもな」


 セーフサイドの付近ならば人間が狩りに来ていてもおかしくない領域だ。その上、ここら辺で剣などの武器を使って戦うのは主に人間だけだ。

 獣人は基本的に肉弾戦を好むし、ドワーフなんかは武器を使うが魔の荒野に来ることはまずないはずだ。エルフは無論として、他の種族の線も薄いだろう。


「どうする? 避けて通ったほうがいいかしら」

「うーん……苦戦しているようなら手助けするのもいい気はする。いつか人間の国に行くとき、もしかしたら優遇してくれるかもしれないからな」

「でも、敵だと思われたら?」

「もし魔物を狩りに来てるんだったらその可能性は低いが……無いとも言い切れないな。人間の中には亜人を忌み嫌うような者たちもいるからな。でもまあ、遠目から確認するくらいは良いんじゃないか?」

「それもそうね。私も人間ってものを見てみたいし」


 そう言えば、リィナは人間を見たことないのか。と言うか、多くのエルフは他の人類を見たことないんだよな。俺も本物のエルフを見るのはリネルとして転生してからだし、考えてみれば当然だ。となると、俺が人間時代にエルフに対して抱いていたような未知への探求心が湧いてくるのだろうか。

 確かに、そんな探求の対象がすぐそこにいるとなれば顔を覗かせるくらいはしてみたくなるかもしれない。


 リィナとひとつ頷き合い、音のする方に向かって進む。

 ここからは少し距離があるらしく、その上俺たちの身長より高い崖の上、もしくは向こう側らしい。先が見えない崖の方から音がしていた。


「じゃあ、登る……あれ? 戦闘音が消えた?」

「終わった、と言うことかしら」

「らしいな。でも、とりあえず確認するか?」

「ええ」


 魔法を使ってもいいが、存在を気付かれて面倒事になるのは避けたい。高く手を伸ばし、体を引き上げて登る。

 右手をかけ、軽く跳躍すれば越えられるような高さだ。状況を見るために、まずは俺が登った。

 すると、どうやら戦闘は上ではなく、この壁を越えた向こうでやっていたらしい。崖を乗り越えたすぐ下に戦闘跡が見えた。


「って、あれは……」

「リネル、見えた?」

「ん? ああ、いたぞ」


 あとからリィナが登って来る。聞かれて、ちょうど見つけた戦闘音の主の方を指差した。

 そして、リィナは小首を傾げる。


「人間っの耳ってふわふわしてるのね」

「いや、あれは獣人だな。狼の獣人に見える」


 その獣人は、灰色の髪を持つ小柄な少女に見えた。ステージ2くらいだろうか。じゃあ先程の金属音は何だったのかと思えば、その少女がちょうど剣を布で巻いている最中だった。武器を使う獣人とは珍しい。

 俺が説明すると、身を低くした状態のままでリィナが答える。


「へえ、獣人って案外可愛いのね。もっと凶暴そうなものかと」

「まあ個体差があるよな。それに、あの獣人は大分幼いように……っ! 今、こっちを見て!」

「へ?」


 一瞬リィナに向けていた視線を正面に戻すと同時、視線を感じた。慌てて戦闘態勢を整えようと立ち上がり、弓に手を伸ばしかけた時。

 少女はすでに、間合いの内側に入って来ていた。

 実は祖母の誕生日が近くて、休日と言うことで当日ではありませんが誕生日パーティーをしました。御年74だそうで、長生きですねぇ、と言ったら、孫を見るまでは生きるつもりだと言われてしまいました。

 さて、困りました。どうしたものでしょうか。願いはかなえてあげたいですがちょっと難しそうです。兄弟がいるのでそっちに任せることにします。


 それでは!

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