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やり遂げて

 どうもシファニーです! いやぁ、もう1月が終わるみたいですよ? 信じたくないです。高校の卒業もますます迫り、大学入学が本格的に視野に。そうなると1人暮らしが始まるわけで……。毎話毎話時の流れを実感しながら書いてます。


 第70部、第2章第24話『やり遂げて』です。どうぞ!

 後方に跳び跳ね、エア・フライトで宙に浮いた俺をポイズンパラソルたちが左右から挟む様に追いかけてくる。かなりの速度があり、後ろ向きで飛んでいる俺に習うすぐに追いついてしまいそう。

 だが問題は無い。この5年で練習した連携通り、リィナがすぐ後ろで魔法を構えて待機してくれているはず――


「リネル、避けなさい!」

「え?」


 名前を呼ばれて思わず振り向く。

 すると、両手を広げて魔力を練り、こちらに向かって今にも魔法を放ちそうな格好のリィナがいた。手筈通りなら俺がリィナに追いついたところで魔法を放つはずなのだが……まだリィナのところまで少し掛かりそうなタイミングだった。

 なぜ、と聞きたいのは山々だったがすでに時間は無い。俺はとっさに魔法を使う。


「《エア・ブースト》ッ!」


 体を上に押し上げる。5メートルくらい一気に上昇すると同時、風を切るような音が聞こえた。だが、それは魔法の音じゃない。

 音速を越えるような速度で滑空してきたソニックワイバーンの放った音だ。


「《リヴェラル・ノヴァ》ッ!」


 それを見て冷や汗をかくと同時、今度は魔法の爆音が聞こえて来た。

 先程まで俺が低空飛行していた場所を質量を持った風が抉り、地面に亀裂が走る。

 ポイズンパラソルたちは1度見たから難なく避けたが、ソニックワイバーンは振り返る隙も無く消し炭にされた。

 速さと索敵能力に振り切りすぎて耐久力が低いのが欠点のソニックワイバーンだ。いざ正面から攻撃してしまえば、簡単に倒すことが出来る。


 それを確認してから、急いでリィナと合流する。その頃にはリィナも飛行を再開していて、仕留めたアークバイソンの下にたどり着こうとしていた。


「いきなりあんな高威力魔法撃つってどういうつもりだよ」

「ああしなきゃ倒せなかったでしょ。私、自慢じゃないけど遠くを高速で動く魔物にあてられるほど精度は完璧じゃないの」

「まあ、助かったが……でも、これでリベンジ達成だな」

「ええ。何なら、リネルにあった借りも返したわよ」


 なんて言って、リィナは楽し気な笑みを浮かべた。

 

 今なおポイズンパラソルたちに追われてはいるが、すでにどこか戦勝ムードだ。

 5年前に俺たちに脅威を植え付けて来たソニックワイバーンはリィナがその手で倒したし、ポイズンパラソルも1匹は仕留めた。狩りの大本命である獲物はすでに確保してあるし、完璧だ。


「ねえ、どうする? 倒す?」

「無理する必要はない。今日は十分すぎるだけの成果を上げられたはずだ」

「そうね。どうせなら倒してやりたいけど、今日の所は気分がいいから許してあげるわ」


 と、強がりでもなんでもなさそうに言ってのけるのだから、リィナは相当機嫌がいいらしい。

 通過する傍らアークバイソンを回収。そのままシンラシンラまで逃げかえれば、流石のポイズンパラソルたちも追ってはこない。

 耐久力が高いうえに速く、吐き出す毒がかなり強力と言うこともあって厄介な魔物だが、逃げに徹してしまえば逃げ切るのは難しくない。


 木々の中に逃げ込めば、実家のような安心感が湧いてくる。ここらに、あの蛇以外俺たちがどうしようもない魔物はいないからな。多少気を緩めても大丈夫だろう。

 エア・フライトで浮遊しながら、リィナと顔を見合わせる。


 どちらともなく、笑いだしていた。


「やったわね、リネル!」

「ああ! やってやったな!」


 こんな時くらい、素直に喜んでもいいよな。せっかくのリィナの記念日だ。今日は久しぶりに、リィナの好きなハンバーグを作ってあげるとしよう。

 そんなことを考えながら、俺たちは家へと帰った。


 そして日が暮れる頃になれば夕食の支度は終わる。

 食卓には、出来立てのハンバーグと帰り際に拾った木の実たちが並んでいた。


「ふふっ、いいわね! 今日はご馳走じゃない!」

「リィナが初めて魔の荒野での狩りを成功させた記念日だからな。それに、これからはこれが豪華とは言えなくなるぞ? 魔の荒野で狩りをする機会が増えれば、アークバイソンだけじゃなくて他の獲物を探すことも出来るようになる。これからますます頑張ってくれよな」

「そうね! 私はまだまだ成長するつもりよ! こんなにおいしいものが毎に食べられるならなおのこと頑張るわよ!」


 なんとも食欲旺盛なことだが、明確な目的意識があるのはいいことだ。

 俺の作るご飯で意欲が増すというのなら、これからも腕を振るい続けたいところだ。


「さあ、食べましょう! 今日は好きなだけ食べちゃうわよ!」


 リィナは目の前のハンバーグに目をか輝かせそう叫び、瞬く間に食らいつく。

 そんな子どもっぽい姿を見てしまうと、何時までも隣で見守っていないとなだなんて、そんな風に思えてしまう。


 でも、そんなことは端から決まっているのだ。

 5年前、初めて出会ったその時。婚約を言い渡され、最初はお互い最悪の第一印象から始まった仲だったけど、きっと決められていたことなのだ。


 俺は必ず、リィナを幸せにする。

 さあ、これからもサクサク行きますよ。4度転はだいぶ長編になる予定なので助長にならないように省ける部分は省いてどんどん行きます! それでもリィナの魅力やリネルの努力がしっかりと伝わるように頑張ります。


 それでは!

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