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続けた努力

 どうもシファニーです! 今週も頑張ってまいりましょう!


 第67話、第2章第21話『続けた努力』です。どうぞ!

 そして、俺とリィナが共同生活を始めてから5年が経った。

 時間が経つのは想像以上に早いらしい。リィナと2人きりで暮らしているのにも関わらず、意外と飽きは来なかった。リィナの成長が日々目覚ましいというのもあるが、きっと、ひとりで冒険を続けていた時代を思い出して、楽しくなっているのだ。


 リィナの髪は、もう長くなりすぎたりはしない。むしろ邪魔になるからと積極的に整えるようになった。その度美しさが洗練されて行くリィナは、どんどんと大人びてきていた。背も初めて出会った頃と比べて大分大きくなった。

 外見年齢は15歳。この頃までは人間と同じ成長度合いらしく、人間の15歳と大差はない。だが、リィナの持つ美貌はエルフとしての血か本人のものか。人間の国だと15歳は成人の年だが、成人仕立てとは思えない、大人の雰囲気を醸し出していた。


「よし、今日の分はこれで終わりね」


 つい先程ホーンディアーをエア・カッターで華麗に仕留めたリィナは、自慢げに後ろ髪を広げ、ドヤ顔で俺を見つめてくる。

 こういう子どもっぽい部分は、相変わらずなんだよな。


「もうだいぶ手馴れてきたな。俺がいなくてもひとりで何とかなりそうだ」

「まあね! 私だって5年も伊達に修行してないわ! もう一人前と言ってもいいんじゃないかしら?」


 最近のリィナは上り調子だ。

 少し前まで停滞していた実力が、また伸び始めたのだ。どうやら魔法の発射速度を上げるコツを掴んだらしい。精度や威力が申し分なかったのもあり、そのコツを掴んで以降リィナの実力はあっという間に向上した。


「だな。俺からでよければ免許皆伝をやろう」

「ふふっ、喜んでおいてあげましょう」


 腰に手を当て、胸を張るリィナは鼻高々だ。

 そう言えば、エルフはどれだけ年をとっても体の凹凸が大きくならないという噂は本当だったらしい。リーヴァやリアサを見た時から分かってはいたが、リィナの成長過程を見ているとますます顕著だ。

 アーロなんかは一緒に育つ中でどんどん色気を持っていっていたので、違うのがよく分かる。何だかそう言ったところも含めて微笑ましかった。


「……リネル、なんか失礼なこと考えてない?」

「考えてるわけないだろ? そんなことよりさっさと帰ろうぜ。今日の反省をしなきゃいけない」

「なんか釈然としないわね」


 リィナはジト目を向けてくる。その視線が少しだけ痛いが、誤魔化せるうちは誤魔化しておこう。

 一緒にいた時間が長いせいか、リィナが俺の考えを読み取ってくることがある。まあ、リィナが案外表情豊かなおかげで俺もリィナの考えていることはそれなりに読み取ることが出来るのだが。


 リィナと一緒に帰る傍ら、俺自身だいぶ視点が上がっていることを再認識する。

 鏡を見ていないからよく分からないが、俺はきっと相当な美青年に育っているのではなかろうか。髪が伸びすぎた時はリィナに整えてもらっているので、5年前に初めて見てからほとんど自分の顔を見る機会は無かった。

 いや、と言うか最早覚えていないまである。

 いつか鏡を見られるのが楽しみだ。


 その後帰宅した俺とリィナは食事の支度をし、食べながら今日の反省を。いつかrか自然と始めていたのだが、今日の狩りはどうだったとか魔法さばきがどうだったとか話をする。これが案外有用で、いいところと悪いところを再確認するところで翌日大きく改善できたりする。

 まあ、そんなことから始まった反省会もほどほどで終わりにし、就寝の支度を終えた。


 そして、あとは寝るだけとなったところでリビングのソファで並んで座っていた。


「ふぅ、今日もお疲れ様。この生活にもだいぶ慣れてきたわね」

「だな。大丈夫か? 辛かったりしないか?」

「急に何よ。今更音を上げたりしないわ。確かに食事は新鮮味が無いし、結局あんまり外を見れないしで思っていたのとは違うかもしれない。でも、今日まで頑張ってきてすでに折り返し地点よ。もう半分くらい、やり通すわ。実力もだいぶついて来たからね」

「そうか。それならよかった」


 正直決して充実した日々ではない。楽しいかもしれないが、変わり映えのしない日々だ。それを今まで国の王女として暮らしていたリィナがどう思うかが少しだけ不安ではあったが、今日まで頑張って来ただけあって、満足してくれているらしい。

 俺は慣れきっているからいいが、毎日のように命の危険にさらされるのも精神的に辛いところがあるからな。でも流石リィナ。プライドの高さも相まってか、まったく苦痛を感じていないらしい。むしろ皮肉の鋭さが日々増しているくらいだ。


「となると、いよいよ魔の荒野に挑戦かもな」

「魔の荒野……そうね。初めて挑戦した時は散々だったけど、今の私なら行けるかもしれないわ。でも、危なくなったらちゃんと守って頂戴ね?」


 なんて言いながら、リィナは悪戯っぽく笑みを浮かべる。

 それは信頼から来るもののように見えたし、照れからきている物のようにも見えた。

 そんな言葉をかけられると、俺の方までこそばゆくなってくる。だが、期待にはちゃんと答えたいし、その意思を示しておきたい。


「ああ、任せろ。教えられることは大体教えたが、それでも俺の方が実戦経験は積んでいるし出来ることは多いはずだ。全力で守ってみせる」

「ええ、頼りにしてるわね」


 なんて言ってリィナは微笑む。

 こんな素直に応じてくれるようになったのも、最近になってのことだ。5年間も2人きりで生活していれば、嫌でも信頼関係が築かれるというもの。

 

 俺も、リィナに対してだいぶ心を許しているような気がする。自分が転生者で、多くの人生を歩んできただなんてことを、思わず忘れかけてしまうことがあるほどに。


「ねえ、リネル」

「ん?」


 隣を見ると、リィナは窓の外を見つめていた。その瞳はどこか輝きに満ちていて、期待と希望に溢れているように見えた。


「私、まだまだ強くなりたいわ。なって、もっと外の世界を見てみたい。世界を巡って、色んなことを経験して、知っていきたいわ」


 そんなことを、リィナは何か温かいものに浸っているかのような浮遊感を纏って言う。

 それは不透明な期待に溺れそうになっているかのような、楽しみに心躍らせているかのようなそんな口調。なんか、見ているこちらまで浮ついてしまう。


「ああ、そうだな。いつか一緒に旅に出よう。俺の知っているところを全部案内する。俺が知らないところにも、一緒に行こう」

「ええ……本当に、楽しみ」


 リィナは噛み締めるように呟いて、あどけない笑みを浮かべる。


 リィナはどんどんと強くなり、大人びて行く。それでも浮かべる笑みがいつまでも子どもっぽいのは、何もエルフが不老の種族だから、と言うだけではないのだろう。

 Web連載で難しいのは、長い時間が流れる時、どれくらいその努力を省いて良いのかが分からないというところ。省きすぎると努力に共感できなくなるし、書きすぎると新鮮味が無くなってグダってしまいます。正直今回も決して上手く書けたとは思えないんですよねぇ……。

 今後とも研究を続けて行きたいと思います。


 それでは!

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