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大逃亡

 どうもシファニーです! 今週も金曜日が終わって休日に入ります! 皆さんお疲れ様でした!


 第64部、第2章第18話『大逃亡』です。どうぞ!

 どういうわけか、俺とリィナで狩りをするとうまく行かないものらしい。


「な、なんでこんなことになってるのよ!」

「俺も分からん!」


 ホーンディアーを探して森を彷徨っていたら、見つけてはならないものを見つけてしまった。それは、今俺とリィナのことを追う、巨大な蛇だった。

 目算全長20メートル、口の大きさだけでも俺やリィナを容易に丸のみにする3メートルほどの巨体。シンラシンラの木々を薙ぎ倒し、地面に大きな跡を付けながら俺たちのことを追いかけてきていた。

 俺とリィナもただで食われてやるわけにはいかないので、エア・フライトで逃走中だ。


「私たち何かした!?」

「強いて言うならあいつのテリトリーに入ったとかじゃないか?」

「それくらい許しなさいよ! 器の小さい魔物ね!」

「さらに怒らせるようなこと言うんじゃない!」


 ちなみに、俺は今追ってきている子の魔物のことを何も知らない。シンラシンラの主みたいな存在だろうか。

 今まで見た中でも特別大きな魔物だ。魔の荒野で出会ったドラゴンと同等の大きさがあるかもしれない。


「ちょ、リネルさっさと追い払ってよ!」

「こんなでかいの無理に決まってるだろ! まともに戦える相手じゃない!」


 茶色っぽい体に深緑色の反転。森の中に潜む模様を持つ体と細くて長くて赤い舌。ドカドカと自身のような轟音を立てながら迫って来るのはかなり怖かった。


「でも、このままいくと家を壊されるわよ!?」


 そう、リィナの言う通り俺たちは今家に向かって逃げている。ただ、家に隠れれば安全になる、なんてことはまずないだろう。この蛇の体なら一瞬で家ごと踏みつぶしてしまうことだろう。俺たちも巻き込まれて瞬殺だろう。

 と言うわけで、ここからどうにかしてこの蛇を家に向かわせないようにする必要がある。

 

 決して時間は多くない。どうしようかと頭を巡らせること、数秒。俺はリィナの手を引いて向きを変える。


「ちょ、どこ連れてくのよ!」

「シンラシンラを出る。たぶん、そこまでは追いかけてこないはずだ!」

「わ、分かったから! 別にひとりでも飛べるから!」

 

 なんてリィナは言うが、リィナの練度ではいずれ追い付かれかねない。

 俺は、リィナの手を引いて引き寄せ、一気に加速をかけた。


「へ? きゃあーっ!?」


 リィナの悲鳴が聞こえてくるが、食べられるよりもずっとマジだ。これくらい我慢してもらうとしよう。


 なおも後ろから地響きのような音が聞こえてくる。それを引き話す勢いで木々の合間を縫い、光を目指して突き進む。

 

「来てる! 来てる来てる!」


 何が、とは聞くまでも無いだろう。思わず振り返り、思わず目を見開いて肩を震わせてしまった。

 涙を浮かべるリィナの本のすぐ後ろ。ほとんどリィナひとり分程度の距離しかない場所に、巨大蛇の長い舌が伸びていた。と言うか、舌だけで3メートルくらい伸びてないか!? 本当に化け物じゃないか!


 例え全盛期の頃の俺でも勝てる気がしないんだが……。


 と、そんなことを考えている場合ではない。このままだとリィナの足が舌に捕まるのも時間の問題だろう。


「リィナ!」

「な、なによ!?」

「掴まってろよ!」

「っー!?」


 リィナの手を思い切り引き、体の前に持ってくる。その体を横にして両手で抱えた。


「ちょ、何するのよ!? こんな時にふざけないで!」

「大まじめだよ! 俺が飛んだ方が早いんだから! 歯食いしばれよ! 《イグニッション・バーニア》ッ!」

「何をす――」


 俺の背後で爆音が鳴り響く。目の前にはっきりと濃い影が浮かび上がり、リィナの声が掻き消されるのと同時、まるで転移したんじゃないかと思われるような速度で、俺の体が移動した。

 移動したというか、吹き飛んだ。


 一応木にぶつからないような直線を見繕ったが、体が少し横に傾くだけで木に衝突して死にかけことになる。と言うか最悪死ぬ。意識を集中させ、一瞬ごとに迫りくる木々を交わしながら大きく蛇との距離を離した。

 振り返れば、蛇が木々を倒して巻き上がった粉塵がかなり遠くに見える。


 リィナを安心させようと手の中を見ると、強く目を瞑って震えて丸くなっていた。まるで借りてきた猫のようだった。


「リィナ、もう大丈夫だぞ。結構距離を離した」

「か、完全に巻くまで気を抜かないで! こんな辱めを受けて結局食べられたら死んでも死に切れないわ! あんたを末代まで呪ってやるわよ!」

「辱めって……あと、リィナが食べられるときは俺も一緒だろうから、その呪いは一瞬で意味がなくなるだろうな」

「う、うっさいわよ!」


 先程の爆発がよっぽど怖かったらしい。もう顔を上げるつもりはないらしい。

 そういうわけなので、俺はそのまま魔の荒野を目指した。

 今回いつもより少し短めですが、きりよくするためなのでお許しを。と言うかこれだけでも2000字あるんですよね……普段が多すぎたかもしれない。

 今後も気分次第で字数変更するかとは思いますが、まあ今回くらいは最低でも書くのでご安心を!


 それでは!

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