寝静まる夜
どうもシファニーです! 今日忙しすぎてちょっとしか書けなかったです! 許して!
第58部、第2章第12話『寝静まる夜』です。どうぞ!
リィナは無事に着替えを終え、ベッドに入った。
まだ寝ていないが、眠そうに目を擦りながら掛布団を引いている。
って、ベッドだけでなく掛布団までどうやって用意したんだ。流石にこれが木製ってわけではないだろう。確か、エルフには独自の布制作技法があった。全部植物繊維で作るってやつだ。だとすれば、リィナはそれを使って布を作ったんだろう。
リィナの裁縫技術は凄い、と言うこと証明なのだとしたら、きっとそれはリィナの才能なのだろう。そして、努力なのだろうと思う。
昨日の今日で親元を離れることを決め、そうしたからには全力を尽くしてやれることをやる。それも、苦労や疲労を口にすることも無く。
行動力と割り切りに関して言えば、その年にしては、なんて枕詞が必要ないくらいに称賛に値する。
そんなリィナがたまに甘えてくるのなら、それに答えてあげるのも婚約者たる俺の務めと言えるのだろうか。
「じゃあリィナ、お休み」
いよいよ限界な眠気を引っ張り、瞼を下ろそうとしたリィナにそう言ってその場を離れようとした。
けれど、何かとても小さな力がそうさせないぞと引き留めた。振り返って見ると、リィナが服の裾を引いているようだった。右手が動かなかった。
いや、もちろん振り払おうと思えば振り払えるほどの小さな力。だけど、それをするよりも早くリィナが言った。
「一緒に、寝よ?」
……リィナって、寝ぼけてると性格変わりすぎじゃないか? 酒に酔うとかならまだしも、それ以上と言うか最早魔法の域ではなかろうか。それともまさか、本当に魔力関係だったり? リィナは生まれつき魔力の痕跡を追える、みたいな話もあったし……。
なんて考えてみても、答えは分からない。もしかしたら関係あるのかもしれないし、まったく別物なのかもしれない。気になって仕方がなかったが、それを確かめるすべはない。それ以上に、リィナが裾を握る力を強めていて、考えを止めざるを得なかった。
一緒に寝る、か。
「無理じゃないだろうか」
小さく、思わず呟いた。
この状態のリィナは、別人のようなもの。そんな状態のリィナに頼まれて一緒に寝たとして、明日目覚めた時、正気に戻ったリィナは俺のことをどう思うだろうか。恐らく冗談では済まさないくらいに罵った後、八つ裂きにされるに違いない。
「い、いや、流石に、一緒に寝るのは……」
「すぅ……すぅ……」
「……ん?」
リィナの口元から、小さな寝息が聞こえていた。
ようするに、寝ているということだ。
そのことを証明するように、すでに裾を掴んでいた手は力なく垂れている。
俺の葛藤は無意味だったらしい。だが、ある意味それは杞憂とも言う。
この場を無事に乗り越えられたことを喜ぶとしよう。
だが、なんだろうか。ほんのちょっと、惜しいと思っている俺がいたような気がする。
「いやいや、まさかな」
リィナと一緒に寝たかっただなんて、そんなことを考えていたわけ、ないではないか。
自分に否定を突きつけながらリィナの部屋を出て、向かい側の部屋に入る。
暗くて視界が悪かったが、大まかな輪郭くらいは分かる。暗がりを辿って大きな物陰まで移動して、ベッドの感触を確かめて上へ乗る。
そして、眠気に身を任せて夢へと落ちていく。今日は、と言うかここ数時間は色々ありすぎて特に疲弊していた。そんな状態だったので、あっという間に眠りについてしまうのだった。
時間無いから割愛!
それでは!