王たるゆえん
どうもシファニーです! 週末ですね! でも明日は用事で外に出ます! 寒いんだけど!?
第50部、第1章第4話『王たるゆえん』です。どうぞ!
「俺の名前はリネル! リィナの婚約者だ!」
そう言うと同時、右手を握る力が強くなった気がした。それに構わず、俺は続ける。
「俺はこのシンラ・カクに来てからまだ日が浅くて、ここにいる全員のことを知っているわけじゃない。だけど、今回の戦いで、みんなから力を分けてもらったと思ってる。みんなの想いのおかげで、強敵に立ち向かえたと思ってる。だから、まずはありがとうと言わせてくれ」
ニケロイアへ放った最後の一撃。あの時、俺は確かに感じたのだ。神林弓を通して、みんなの温かい想いを。そして、それを力に変えた。だから勝てた。そのことをはっきり伝えたかった。ちょっと、大袈裟かもしれなかったけど。
「もちろん、実際に戦ってくれた戦士たち、支えてくれた他のエルフ、応援してくれたみんなが、今回の功労者だ。俺たちみんなの勝利だ! だから今晩は盛大に祝おう! 俺たちの勝利と、これからの平和を!」
俺が高らかに左手を掲げると、会場一帯がひとつになったかのような、大きな歓声が響き渡った。グラスを掲げる者、俺と同じく手を掲げる者、飛び上がるもの、口笛を吹く者。色々いたけれど、みな一様に喜んでくれている様子で。
俺の言葉でここまで喜んでいるみんなを見て、俺の方まで嬉しくなった。
やってやったぞ、という意思を込めてリィナを見ると、普段見せない、穏やかな微笑みを浮かべていた。しかし視線が合うとすぐにそんな笑みを引っ込め、普段通りの不機嫌面になってしまった。
「まあ、及第点ってところね。これから、私の婚約者として! 恥じないように練習しておくのね」
なんか一部強調されていたような気がするが……まあ、エールとして受け取っておこう。
「ああ、頑張ることにする」
「……ふんっ!」
それだけ言って顔を背け、リィナは手を離してしまう。
そのことを一瞬残念だと思い、そんなことを思った俺自身に驚いていると、今度はリーヴァが声を張った。
「みんな、今回は本当にありがとう。私はみんなを信じて見守っていることしか出来なかったけど、みんなの、私たちの勝利を信じてた。だから、本当にありがとう。リネル君の言う通り、今晩は盛大に祝いましょう!」
どっ、とシンラシンラ全体が揺れた。いや、実際はそう錯覚しただけなのだが、それくらいに一帯が湧いた。正直俺に対する反応が豆粒みたいに思える反響に、思わず唖然とする。そのとき俺が浮かべが表情がどんなものなのか。自分では分からなかったが、隣からリィナの笑い声が聞こえたからには、面白い顔をしていたのだろう。
「ふふっ、これくらい出来るように頑張ることね」
「あ、ああ……が、頑張ることに、する……」
正直、自信は無かった。
にしても、凄い人気だ。それだけリーヴァが慕われているということだろう。あれだけ頑張ったのにと思いつつも、素直に尊敬する。
いつか、俺もああなれるのだろうか。王様になるとして、ここまで慕ってもらえるのだろうか。
訪れるかどうかも分からない将来を想像しているうちに、祝勝会は始まった。
始まってからしばらく、俺は食事をとりながら周囲を観察していた。
その中で驚いたのは、リーヴァやリィナが自然と溶け込んでいたこと。貴族や王族と言えば、その場に現れただけで取り囲まれるものだと思っていたのだが、決してそんなことは無く、むしろ、親し気な友人と話すかのように接していた。
リーヴァに対して、この前新しい料理に挑戦したから試して欲しい、今度開く結婚式には必ず来てね、今度一緒にお散歩しよう、などと言っていたり。リィナに対して、いつ婚約を決めたの?、リネル様のどこが好きなの?、俺たちの風林車を壊したってホントなの⁉ などと聞いてみたり。
本当に、そこに王族と庶民との差なんてないかのように、対等に接しているように見えた。
いつか、俺もリィナも、あんな風に他のエルフたちと接するようになるのだろうか。
俺は自覚している通り人と接するのが下手くそだ。リィナも、決して得意そうには見えない。でもまあ、リーヴァが王女である時間はこれからも長く続くだろう。エルフの寿命が500年以上あることを考えれば、あと数十年の猶予は約束されているようなものなんじゃないだろうか。
リーヴァの年齢は分からないが、まあリチャードよりは若いのだろうし、出来るのなら俺とリィナの為に長生きしてもらいたいところだ。
それからしばらく続く祝勝会の中、リーヴァやリィナに話しかける者がいなくなったと思ったら、俺の番になった。
と言ってもリーヴァ達みたいに色んな人が話しかけてくるわけではない。
最初に俺の前にやってきたのは、リーヴァだった。
年明け10日経ったってマジですか? 日が過ぎるのは早いですね、本当に。この作品毎日投稿するとしたら新年度にはどれくらい進んでいるんでしょうかね。時間が過ぎるのが早いのは残念であり驚きでもありますが、そのことを想像すると何だか楽しみですよね。
頑張ります!
それでは!