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暗闇に潜む黒幕

 どうもシファニーです! 私は1日中家に引き籠ってるんですけど、家族がインフルっぽい! 貰わないように気を付けます!


 第36部、第1章第36話『暗闇に潜む黒幕』です。どうぞ!

 リアサは、森全体に覚えのある魔力が広がったこと、そして植物たちが魔力を取りこみ始めたことで、空が明るくなったことを理解した。


「リィナの魔法? やっぱ馬鹿げてんじゃん」


 なんて独り言を零しながら、魔物たちから続く魔力の糸を負って森の中を駆けていた。

 

 事前に取り決めた作戦として、魔物たちの相手は戦士たちが、魔物を操っていると思われる魔族をリアサが、そしてニケロイアをリネルが相手することになっていた。ここから少し離れたところでスピアーモンキーとランドたちが戦っているのを感じ取りながら、リアサは自分の役目を熟すために目的地に急いでいた。


 それから程なくして、魔力の流れが変わった。木の間を縫い、ばらばらの方向に広がっていた糸が一点に集中し始める。まるで、リアサを導く道しるべのように。

 

「あー、あの辺?」


 その場所に狙いを定め、リアサは加速する。

 まだ森の魔力は安定している。エルフが追い詰められている気配はない。でも、いつ状況が変わるか分からない。急げるだけ、急ぐべき。


「ダルいけど、やるっきゃないね」


 背中を風魔法で押して勢いを付け、1歩ずつの歩幅を大きくする。1歩踏み込むたびに魔力が濃くなり、鮮明になっていく。雷のようにチカチカと輝く鬱陶しい魔力がさらに絞られていき……そして、たどり着く。


 そこには、ローブに身を隠し、フードを深く被った何かがいた。それはニケロイアと一見見間違うほどに似ていたが、装飾が違い、魔力の質感や絶対量で劣っていることから別物だということがリアサには分かった。ニケロイアを信奉する部下か何かだろうか。

 リアサがそれを明確に、魔族だ、と認識するのと同時、魔族もまたリアサを認識した。


「本当に見つかるとは、やりますね」

「あんがと。で、あんたは?」

「そうですね、ニケロイア様の忠実なる僕のひとり、とでも名乗っておきましょうか」

「おっけりょーかい、あーしリアサ、じゃあ始めよっか」

「おやおや、せっかちなお嬢さんなんですね? 勝気なのはいいですが、お淑やかさが足りていませんよ?」

「人様の居場所に土足で踏み込んでおいて、礼儀を語るなっつーの」


 今のリアサは、本気だった。

 普段の給仕服からエルフの戦士が使う装備に着替え、弓と矢筒を携えている。髪を結んでポニーテールを作り、身軽となったその姿は、普段給仕を行っている者には見えないことだろう。実際、その顔つきは完全に狩人のそれ。

 獲物を見つけた鋭い瞳が、黒い帯の裏からでも浮き上がっているようだった。


 対する魔族はその両手の指先から無数の魔力の糸を伸ばしている。この状況になっても魔物たちの操作を辞めないというのは、それだけ余裕だと思っているからだろうか。舐められたものだ、とリアサは思う。

 相手が魔族である以上、その力のほとんどは魔力に頼っていることになる。魔族が過酷な環境でも生きることが出来るのは、生まれつき魔力量が多く、それを操る能力に長けているから。だからこその強さは、リアサ相手には通用しない。

 その魔力をどう扱うかが分かる以上、どんな魔法も通じない。


 リアサは自らが後手に回ることは無いと判断し、先制攻撃を仕掛けた。


「《エア・スラッシュ》」


 魔族と数メートルの距離がある位置から放った魔法は迷いなく直進し、魔族に命中する――

 

「おっと、危ないですね」


 ――かのように思われた直前、横から飛び出してきたスピアーモンキーの体を引き裂き、霧散した。

 こいつは今、スピアーモンキーを容赦なく切り捨て、盾にした。その死体が地面に落ち、ドス、と鈍い音を立てると同時、リアサのむしゃくしゃとした感情が湧き上がる。。


「いきなりとは酷いですねぇ、くくっ」

「……あっそ、そーゆーことすんだ」

「何か問題でも? 魔物が勝手に体を張っただけですが?」


 よくもまあぬけぬけと、とは思うが、実際に操ったかどうかは些細な問題だ。魔物が邪魔をする。つまり、状況は1対1ではないということ。動きを読むことは出来るけど、厄介だ。


 こちらとしてはあまり魔物を殺したくはない。これ以上過度に倒してしまえば、生態系が狂い、シンラシンラの安定が崩れる可能性がある。ただでさえ多くのスピアーモンキーが利用され、結果倒さざるを得ない状況になっている。これ以上スピアーモンキーが利用されれば、あるいはほかの魔物が利用されることになれば、直接的ではないにせよ、森の管理者たるエルフに対する打撃になる。

 もしそこまで考えてやっているのだとしたら、その悪知恵を褒めるくらいはしてもいいかと、皮肉交じりに頭で呟く。


「さて、もう攻撃してこないのですか? となりますと、私たちを慕う僕どもが、あなたを襲う番になりますね!」


 魔族は、両手を大きく広げ、指先から伝う糸の内の何本かを引き寄せる。それに応じて、茂みの裏に隠れていたスピアーモンキーたちが、リアサに向かって飛び掛かる。


「はぁ、ダル」


 言いながら、振るわれた腕を間一髪で躱す。どこから攻撃が来るかが分かっても、如何せん腕が長い。それにこの前と違って操っているものが近くにいる。目の前の光景を見ながらの操作は勝手が違うらしく、すべての行動がより早く、より的確になっている。

 スピアーモンキーの数、全部で10体。まだ茂みの奥に隠している個体もあらせれば、30体を超える。どうやらリアサに見つかることは想定済みだったらしい。周到に準備している。


「おやおや、手も足も出ないようですね?」


 目の前に迫った腕を半身になって躱した直後、背後から飛びかかってくる気配を感じた。右足を踏み切ってステップを踏めば、待ち伏せしていたように別の爪が迫る。それを腕を掴むことで何とか防ぐが、今度は背後から3つの気配。

 仕切り直す意味合いも込めて足元に魔法を放つ。


「《エア・フライト》」


 出来る限りの魔力を込めて放てば、リアサの体浮き上がると同時に周囲のスピアーモンキーたちの体が風にあおられわずかに怯む。そのまま包囲を脱し、頭上にあった枝の上に着地する。


「なかなかやりますねぇ。しかし、防戦一方ではありませんか?」


 帯の裏、フードに隠れた顔でも分かるにやけ面。反吐が出るようなゲスぶりに、リアサは吐き捨てる。


「あーし、あんた嫌いだわ」

「ほう、それは奇遇ですね。私も害虫は嫌いなのですよ。我々を邪魔する、鬱陶しい害虫はね!」

「よくゆーよ」

「何か不満でも? 互いに嫌い合っているくらいが、ちょうどいいではないですか? そちらの方が思う存分戦えるというもの! 《エレメンタル・エンハンス》ッ!」


 魔族がその魔法を唱えると同時、指から伝う魔力の糸に、さらに濃く、どす黒いものが混ざり始めた。それらはスピアーモンキーたちに注がれ、その魔力を内側から加熱する。鼓動させ、膨れさせ、燃え上がらされた魔力はやがて内側からスピアーモンキーたちを焼き、甲高い鳴き声が森中に響き渡る。

 それは確か、狂化と言われる症状だったはずだ。体内の魔力を制御できなくなり、肉体に課せられたリミッターが外れて暴走する状態。


 魔族が使ったのがどんな魔法なのかは知らないけど、魔力構造的に強化魔法っぽかった。それを応用して意図的に狂化させたんだとすれば、本格的にクズだ。

 無断で森に立ち入り、荒らし、あまつさえ家族を殺そうとした魔族。ついにその本性を現したことに、リアサは吐き捨てる。


「ゲス」

「何のことでしょうか。私は同志に力を貸し与えただけですよ?」

「好きに言っとけば?」


 リアサの怒りは、いよいよ沸点に達しそうだった。

 気持ち悪い魔力の流れが周囲に渦巻き、燃える魔力に苦痛を覚えた魔物たちの悲鳴が響く。何より、命を何とも思わず自分の好き勝手に使い捨てるゲスの笑い声が耳を撫でるのが、1番鬱陶しかった。


「殺す」

「そんなことが出来ると? なら、やってみればいいでしょう。くくっ」


 そう笑い、魔族が魔力の糸を引くと同時、狂化したスピアーモンキーたちが一斉に襲い掛かって来た。

 冬休みに入ってから本当に驚くくらい家から出てないんですよね。日光浴びたのいつだろ。てなわけで絶賛不健康を突っ走っているわけですので、体調には気を付けて行きたいですね。これからますます寒くなるでしょうし、地域的に雪が降ってもおかしくない……まあ降らないですね。でも地面の凍結とかはあり得るので冬の脅威には気を付けて行きたいです。

 ま、家でないんですけどね!


 それでは!

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