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年の功

 どうもシファニーです! 最近眠くて仕方がないのはきっと生活習慣が乱れ始めたせい。


 第150部、第4章第14話『年の功』です。どうぞ!

 詰所と言っても拷問をするわけでもないらしく、殺風景で冷たく、色のないコンクリート造りながらも、最低限の生活は遅れそうな部屋へと通された。

 俺たち4人が十分過ごせるだけの広さと、貧相ながらも4つベッドがあった。


「で? これからどうするのよ」

「て、鉄格子……」


 手錠を恨めしそうににらむリィナと、恐る恐るといった要素で鉄格子に触れるレイカ。ヒセは相変わらず順応力が高く、早くもベッドの上でくつろごうとしていた。いや待て、流石に適応力が過ぎる。


 ヒセの行動に思わず目を見開きながらも、リィナの問いに答えるため、耳を澄ます。


「まあ待て。その内また質問攻めにされる。そのあと、考えよう」

「えらくのんきね」

「そんなすぐにどうこうされたりはしないはずだ。されそうになったら、逃げだせばいいし」

「逃げてどうするのよ。追いかけられて終わりじゃないの?」

「追い付けるわけないだろ? 空を飛ぶ魔法なんて、人間じゃ使えないんだから」

「え? 出来ないの?」


 リィナはあり得ない、みたいな顔をするが、当然だ。俺だって人間の頃はまともに浮遊魔法なんて使えなかった。

 どれだけ人間の魔法技術がこの10年で進達していても、とてもできることじゃない。


「人間のことは熟知してるはずだ、任せろ」

「ほんとに? 怪しいわね。すでにこんな状況なんだけど?」

「まあまあ、落ち着けって。すぐに抜け出せる」

「いったいどうしてそんなに落ち着いていられるのよ」

「それは――」


 と口にしようとして、足音が聞こえて来たので飲み込む。

 リィナもそれを察したのだろう。俺へと向けていた不満げな視線を、そのまま檻の外へと向けた。

 程なくして、鎧姿の中年男性が現れた。槍を持っている、確か、俺たちに色々指図してきた隊長みたいなやつだ。


「おい、ひとり出てこい」

「一緒じゃ駄目なのか?」

「駄目だ」

「そうか……なら、俺が行こう」

「いや、お前は駄目だ。そうだな。そこの女」

「わ、私ですか!? い、いえ、その……」

「いいから来い!」

「あ、あの、リネル殿下! リィナ殿下!」


 檻の鍵を開け、男はレイカの手を引く。助けを求める眼でレイカが見てくるが、この場で何かをするわけにはいかない。頑張ってくれよの意味を込めて、俺は手を振る。

 レイカは泣きそうな表情になりながら、どうしようもないので連れていかれた。


「……それで、どうするのよ。あの子ひとりじゃ流石に心配よ」

「分かってる。そこでだリィナ。試して欲しい魔法がある」

「何よ。言ってみなさい」


 こういう時、すぐに飛びついてくるんだから、やっぱりリィナはなんだかんだ言いつつ、レイカのことが好きなんだよな。


「エア・サウンドって言う、風を使って遠くの音を聞く魔法だ。俺の魔力量だと難しい距離かもしれないが……リィナの魔力量なら、レイカの声を探せるはずだ」

「探してどうするのよ。見つけただけじゃ、どうしようもないわよ?」

「見つけて、危なくなるようだったらすぐに向かえばいい」

「閉じ込められてるのに? 手錠だってあるわよ」

「こいつらは魔法で制御されてるんだよ。見て分かるだろ?」

「分かるけど……この魔法、ちょっと難しいわよ。開錠なんて出来るの?」

「やってみるか?」


 リィナは疑わしそうな目を向けてくる。俺のことを信頼していないのだろうか。

 いや、きっと手錠に込められた魔法を見たからこそ分かるのだろう。その難解さが。


 この手の手錠は人間諸国で統一のモデルが使われてる。ティオロス王国から発売されている魔法手錠。これは、大体40年前から広く親しまれているもの。

 なぜそんなことまで知っているかと言えば、これを作ったのは俺だからだ。檻に付いている魔法錠も同様だ。


 魔法式は複雑に作ってある。手錠ひとつずつに違う魔法式を使ってある。というのも、魔法式全体の内8割はまったく同じで、その部分が開錠と施錠の機能を司っている。これが高い耐久性と拘束力の源だ。

 残りの2割は鍵の役割で、正しい魔法式の付与された鍵を鍵穴に差すことで開錠される仕組み。その魔法式は特定のパターンで組まれており、パターン構成方法はティオロス王国の魔法技術所で厳重に秘匿されている。

 パターンを構成する魔法式が用意されていて、魔力をちょっと注ぐだけでパターンが摘出される。だから、その構成方法を知っているのはわずかな人間だけ。長い時が流れた今、最早いないかもしれない。


 俺が以外。


 俺は、息をするように手錠の鍵を外して見せた。カチャ、と金属音が鳴り、少し手を動かせば手錠が腕から落ちそうになる。それをキャッチし、リィナに見せた。


「どうだ?」

「……リネル、あんたってすごかったのね。驚いたわ」

「まあな。って感じだ。あとは、レイカ次第だな」

「分かったわ。魔法を教えてちょうだい」

「ああ」


 手錠を着けなおしてから、リィナに魔法を伝授する。


 なんだか、久々に活躍した気がする。

 そろそろゴールデンウィークですね。予定ですか? あるわけないじゃないですか。いえありますよ。ずっと小説書いてます。いつも通りですね。


 それでは!

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