拘束
どうもシファニーです! 今朝大寝坊して1限と2限を休みました。たぶん私大学向きません。
第149部、第4章第13話『拘束』です。どうぞ!
「何の目的で来た!」
目の前に、槍の先端が付きつけられる。とても鋭利で、少し動かされると目を傷つけられそうな距離だ。
一応ヒセには手を出すなと合図を出しておいたけど、いつ動き出しそうか分からない様子でうずうずしてる。
「観光ですよ」
「嘘をつけ! エルフが観光なんてするわけないだろ!」
「まあ、俺もそう思う」
至極真っ当な意見だ。俺も信じられない。
「何よ、エルフに観光する権利はないってわけ? 酷い差別ね」
「そ、そうです! 私たちだって観光くらいします!」
「黙れ! 本当のことを言えないと言うのなら、このまま署にまで同行してもらう!」
大分理不尽な話だ。種族だけでここまでのことを強制されるとは。
「どうにかならないですかね。俺たち、本当に観光に来ただけなんですけど」
「はなはだ信じがたいな! どうせ、威力偵察のつもりだろう!」
「俺たちに戦争の意図があるって?」
「そうだろう!」
言いがかりにもほどがある。
エルフはむしろ、戦争お断りの平和主義だ。シンラシンラの外に出ていくことなんて滅多にない。
なんて説明しても、聞き入れてもらえないんだろうな。
「ちょっと、どうするのよ」
「どうするかな」
「何よ、頼りにならないわね」
リィナが小声でそんなことを言って来るが、どうしようもないじゃないか。
魔法を使えばすぐに倒せるだろうが、倒したところで状況は好転しない。可能なら観光を許してもらって、都市内での自由な行動を許して欲しい。ただ、それはそれで難しいだろうな。市民が混乱するらしいし。
頭を働かせる。どうにかして、ここから状況を好転される方法はないだろうか。
折衷案として提案できるのは……。
「じゃあ、ヴィゲラには寄りません。代わりに経由して、他の国に行きますから。亜人を受け入れている国だってありますよね?」
「お前らをみすみす見逃し、他の国に侵略する機会を与えるとでも?」
「だから違いますって。逆にどういったら信用してくれるんです?」
「正直に侵略だと言うんだな!」
「ですから……あー、いや?」
待てよ? 署に連れて行くって言ってたよな。つまり、中に入れるってことだ。
「だからどうして私たちがそんなこと――」
「まあまあリィナ、ちょっと待て」
「――な、何よ! 好き勝手言わせておくなんて納得いかないわ!」
「黙れ侵略者! いい加減に認めたら――」
「そうです、俺たちは侵略者です」
「――……なに? ついに認めたな! ならば、大人しくついてきてもらうぞ!」
俺たちは間もなく手錠を付けられ、衛兵に先導されて歩き出す。
「ちょっと、どういうつもりよ」
「わ、私たち、どうなっちゃうんですか……?」
恨めしそうに踵を蹴ってくるリィナと、不安げに呟くレイカの声を後ろに聞きながら、俺は頭の中で計画を練る。
中に入るにはこれが一番早いことは間違いない。
もちろん入った後が問題なのだが、きっとどんな場所に閉じ込められても抜け出すのは難しくないだろう。
衛兵たちはエルフのことが分からないからこそ恐れている。だが逆に、エルフのことが分からないから、俺たちの力を見誤っている。今こうして付けられている手錠だって、魔法ひとつで破壊できることをこいつらは知らない。一応魔法耐性が施されてはいるけど、この程度で俺の魔法を防げるわけがない。
「まあ安心してろ。俺に考えがあるから」
「信頼していいんでしょうね」
「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ。自信がある」
それに、秘密兵器ならある。
レイカの背負う籠の中。衛兵が荷物だと思って押収したその中に、ヒセの剣がある。俺の弓は没収されてしまったが、それさえ回収してしまえば、こっちのものだ。
やがて、俺たちはヴィゲラの内最北端の都市、アイヴィに足を踏み入れた。
1人暮らしなので起こしてくれる人はおらず、休めば単位という重大なものを失う一因になる。それは大人としての自己責任を管理すると言うことで当然のことではありますが、私にはまだ、その覚悟が出来てしませんでした。
このままではまずいです。これから頑張ります。
それでは!