かくれんぼ
どうもシファニーです! すでに日にちを跨いでいるので挨拶割愛!
第143部、第2章第7話『かくれんぼ』です。どうぞ!
「あれ? さっきまでそこにいた子は? 紹介してもらおうと思ったんだけど」
「その子? ヒセなら……あら。どこ行ったのかしら」
「え? 嘘だろ? というかレイカもいなくないか?」
「ほんとだね」
リーヴァの声に振り返ると、レイカとヒセがいなくなっていた。
もしかしたら、俺たちのやり取りを見て、気を利かせてくれたのかもしれない。
「なら、今から連れてきて紹介するわよ。お母様は待ってて」
「そこまで心配しなくても、歩くくらいは出来るんだよ?」
「いいから。ローラは? 紅茶を入れてもらいましょ。久しぶりに飲みたいわ」
「なら私から呼んでおくね。ベルを鳴らせば、すぐ来てくれるはずだから」
「どうしてそんなに原始的なのよ……」
リィナが肩を落としてジト目を浮かべるが、リーヴァは嬉しそうに笑みを浮かべるばかりだ。
まあ、なんとなく理由はわかる。
さっきから、リィナがリーヴァに自然体だった。友達に接するように、姉妹に接するように。昔から、2人は親子というより姉妹っぽいとは思っていたのだ。それが現実になったようで、何だか微笑ましい気分だった。
「じゃ、リネル行きましょ」
「ああ。それじゃあリーヴァ様、またすぐに」
「うん、またね」
リーヴァが小さく振った手に見送られて、俺たちはリーヴァの部屋を出る。
「さて、あの子たちがどこに行ったのか探さないと」
「厨房じゃないか? ヒセならすぐに行くだろ」
「それだわ。早速行きましょう」
こういう時、ヒセの行動原理が単純なのは非常に助かる。隙さえあればお腹を空かせてご飯を要求してくる子だ。エルフのご飯も食べたいと言っていたし、間違いないだろう。レイカもそれに付き添っていると考えるのが妥当だ。
昇降機に乗り込み、厨房のある階へ。俺は来たことが無いところだったが流石はリィナ。シンラ・プライドは文字通り庭らしく、迷いなく歩いて先導してくれる。
立ち止まることなく厨房にたどり着き、顔を出す。
「ちょっと失礼するわよ。私たちの連れが来てないかしら?」
「ああリィナ殿下。来ていますよ。それにしても獣人とは、また珍しいご友人をお持ちですね」
「最近で来たのよ。で、どこ?」
「あそこです?」
確か、料理長のレイアンだったか。大きな帽子をかぶった両輪の指差したのは、厨房の一か所。ちょうど盛り付けをしている最中らしいそこに、少し背の高い机の上に耳だけが覗いていた。
それも、上に伸びる、ふわふわとしていそうな特徴的な耳だ。
「ヒセ、何やっているの?」
「ん? リィナ? ご飯貰ってる」
「見れば分かるわよ」
耳が見える場所にいると、口元をソースで汚したヒセがいた。
「ご飯、美味しい。けど、お肉、少ない?」
「エルフは採集食主義だからな、基本的に。狩りもしてるけどこの街中の全員に配るほどはないんだよな?」
「そうね。でもまあ、そもそも肉が好きなエルフも少ないし、言えば優先的に貰えるんじゃないかしら? ねえ、レイアン」
「はい。リィナ殿下のお客人なら、喜んで」
「ほんとっ!?」
おお、ヒセが目を輝かせている。中々に見ない光景だ。これは良い物を見たな。
「っていうか、レイカはどこよ」
「ヒセ、一緒じゃないのか?」
「ん? 知らない」
「じゃあ、あの子どこに行ったのよ」
「ヒセがご飯食べたら、探しに行くか」
「そうね」
「ん。ちょっと待って」
「焦らなくてもいいわよ」
どうせここはシンラ・カクの中。そう焦る必要はないだろう。
大学って忙しいね!
それでは!