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待ち人

 どうもシファニーです! ギリギリなので挨拶は割愛!


 第138話、第4章第2話『待ち人』です。どうぞ!

 シンラ・カクにたどり着いた俺たちを待っていたのは、予想通りレイカだった。

 のだが。


「寝て、る?」

「寝てるな」

「こんなところで居眠りなんて、風邪ひいちゃうじゃない」


 レイカは気に寄り掛かって眠っていた。苦しんでいる様子はなく、むしろ心地よさそうに寝ているからただの昼寝なんだろうけど、どうしてこんなところで。


 シンラ・カクの入り口にあたる場所。建物は見えているが、人の気配はほとんどしていないような場所なのだが、そんなところにレイカがひとりで寝ている。最近見つけたお気に入りのお昼寝スポットか何かだろうか。

 まあ俺たちの世話も無くて暇しているんだろう。


「ほらレイカ、起きなさい。魔物に食べられても知らなわいよ」

「ふぇあ? ……あっ! わ、私寝ちゃって!」


 リィナが肩を揺すると、レイカはすぐに目を覚まし、立ち上がる。あまりに勢いがありすぎて屈んでいたリィナが転びそうになるんを、間一髪のところで受け止める。


「ちょ、あ、危ないわね! いきなり起き上がらないでよ!」

「ああっ! リィナ殿下ごめんなさい! 次からは……っ! ……って、リィナ殿下!? それにリネル殿下も! ま、まさか私、まだ寝てるんですか!? 早く起きないと!」


 よっぽど動揺しているらしい。レイカはせわしなく手足を動かし始め、しまいには自分の頬を抓り始めた。それに、俺の見間違いじゃなければだいぶ力を入れている。


「痛い! じゃ、じゃあもしかして、夢じゃない?」

「そうよ、夢じゃないわよ。一旦落ち着きなさい、恥ずかしい」

「へ? あ、そ、そうですね。落ち着かないと」

「はい、深呼吸。すって」

「すぅー」

「吐いて」

「はぁー」

「吸って」

「すぅー」

「吐いて」

「はぁー」


 レイカは現状確認もおざなりにしてリィナの言いなりのように言葉に従う。

 それを見て、リィナが意地悪笑みを浮かべたのを見逃さない。さっき転ばされそうになった仕返しでも考えているに違いない。俺の手を借り、立ち上がったリィナは意気揚々とレイカに指示を出し続ける。


「吸って」

「すぅー」

「吸って」

「すっ? すぅー」

「吸って」

「すううぅーっ」

「吸って」

「すぅっ! って、げほっ、げほっ、無理です!」

「あら、悪かったわね」


 水に吸いまくった息を文句と共に吐き捨てたレイカは、到底寝起きとは思えない大仰な動きでせき込み始めた。


 ちょっと見てられなくなって、リィナの頭を軽く小突く。


「リィナ、やり過ぎだ」

「痛いっ。何するのよ! いいじゃないこれくらい」

「俺の傍付きをあんまりいじめないでくれ」

「何よ、いつの間にそんなに情が移ったの? まったく」


 そんなに力を込めたわけでもないのに、リィナは痛そうに頭を擦りながら文句を言って来る。

 こう言うところ、本当に何年経っても変わらない。


 傲慢で、自分勝手で。自分の尺度でしか物事を測れない。けど、そんな独特な感性を持つリィナだからこそ、俺を気に入ってくれたんだろうなとも思う。


 なんてことを考えているうちに、レイカの息が整った。


「リィナ殿下、リネル殿下! 本物なんですね! 偽物でも、悪戯でもないんですね!」

「ん? 何を今更。そうだって言ってるじゃない。それとも、私たちの顔を忘れたの?」

「滅相もありません! 毎日不安で一睡もできないくらいなんですから!」

「それでこんなところで昼寝してたのか」

「そうなんです! いつ帰って来るのかなって、生活習慣もボロボロで……毎日毎日、お仕事の暇を縫ってはこの辺をずっとお散歩してて……。あ! お、お昼寝はたまにしかしてませんから!」

「してるんかい」

「うっ……だって、ここの陽気は気持ちいいから……」


 レイカはそう言って頬を赤らめ、俯いて縮こまってしまった。

 久々の土曜日! 満喫して小説2万字書きました! これは果たして休みなのか?


 それでは!

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