表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/152

ただいま

 どうもシファニーです。大学初日から遅刻しそうになりました。


 第135部、第3章第43話『ただいま』です。どうぞ!

 ノエルとの会話を、すべて思い出した。

 俺は、スノアの顔を見た。


 明らかに喜びとは違う涙を、流しているように見えた。


「どうして……」


 思わず零した問いの意味を、スノアは正しく理解してくれただろうか。

 ただ一瞬涙が止まり、代わりに曖昧な笑みがこぼれた。


 いや、今の俺になら分かる。

 それは、悲しさを誤魔化すための笑みだった。


「フェーがね、もう疲れたって、言ったの。これ以上生きてたら、傷つけたくないものを傷つけてしまうから。私を、失ってしまうかもしれないから。そう言って」


 リィナを見る。すると、静かに首を振った。

 きっと、言葉を喋ったわけではないのだろう。スノアにだけ伝わる何かで、思いを告げたのだ。


「そしてもう1つ。新しい仲間を、友達を、大切にするといいって。……だからリネル。もうこれ以上は、聞かないで。お願い、だから……っ」


 堰を切ったように涙が零れだす。俯き、体を苦の字にして泣きじゃくる。


 これが、俺には出来ない決断。

 1度も出来たことはない。大切な人を、殺すという選択。いや、違うのだろう。

 苦痛から、開放する。


 俺は今までずっと、その逆をして来た。大切な人を苦しませるくらいなら、俺がすべての苦痛を受け止めたいと、そう思って来た。

 ああ、そうだな。確かに俺には出来ない決断だ。


 力が入らなかった。ひとりで立つのも、たぶんままならない。


「ちょ、リネル!?」

「リネル、安静に……」


 リィナとヒセの声を無視するように体を起こす。立つのは無理だから膝をつき、這いずるようにスノアに近寄る。

 スノアは俯いていて、気付いてない。そんなスノアの小さな体の前で、膝立ちになる。


 正しいやり方なんて知らない。効果があるかも分からない。だけど、そうせずにはいられなかった。

 だって、俺が苦しい時に救ってくれたものだから。


「……へっ?」


 分からないながらに腕を広げ、力加減も知らないままに抱きしめた。スノアの体は震えていたけれど、その震えを抑えつけるつもりで。


「リ、リネル?」


 スノアは戸惑いの声を上げる。けれど、声は震えていなかった。

 体の震えも次第に納まる。むしろ、同様に固まってしまう。動けなくなったスノアの体を、俺は抱き続ける。


「う、動けないんだけど……。な、何か言ってよ。……って、リ、リィナ!? や、やめ、やめて!」


 スノアの小さな悲鳴の後、横から何かに圧迫される。いや、抱き着かれる。

 というか何かと言うのもおかしな話か。


「まったく、しょうがないわね」


 リィナは俺とスノアを、丸ごと両手で包み込む。


「ん、ヒセも」

「ヒ、ヒセまで……もうっ」


 ヒセは、小さな体でスノアに身を寄せる。でもその両手を精一杯に伸ばして、俺とリィナに届かせた。


 スノアは不満っぽい言葉を告げる。けど、その声音は明るく輝いているようだった。


「ありがとね、みんな」


 そして、不安げに宙を漂っていたその両手で、力いっぱい抱きしめた。

 今日から各授業のガイダンスです。1限ごとに90分。高校の50分と比べて2倍に近しい長さで、正直眠くなったりもしました。でも、やっぱり初めてのことって楽しいんですよね。サークル体験含め、全力で楽しんできました。

 なんだかふと創作意欲が湧いて来て、また新作のプロットに手を付けたりしてたりしてなかったり。

 慌ただしい日々になるとは思いますが、これからも頑張ってまいります!


 それでは!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ