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再かい

 どうもシファニーです! 一応Xでツイートはしたのですが、昨日は投稿できずにすみませんでした! なんかどうしようもない疲労感に襲われて気付いたら今日の朝だったんです。そうです寝落ちです。


 第134部、第3章第42話『再かい』です。どうぞ!

「氷血槍が司るのは何度砕けても無くならい意思。しかしその本質は圧倒的な修復能力にある」

「……精神面じゃなくて、肉体面ってことか?」

「そうだ」


 いや、正確に言うと違うな、とノエルは付け足す。


「元々は精神面の修復で間違いはなかった。だが、それは肉体面へと発達した。病は気から、などという言葉があるようだが、それを現実としたわけだ」

「なんだよそれ……まあ、理屈は分からないでもないんだけどさ」

「そして、適合者はその神器の能力を他者に振るうことも出来る。大量の魔力を消費するため、短期間に1つの命を救うのが手一杯だろうだがな」

「1つの? なら、やっぱり俺は死んじゃないのか? だってスノアはフェーを助けるはずだ」


 スノアがその力を自覚したとして、誰を助けるか選択を迫られたのなら間違いなく俺ではなくフェーを選ぶはずだ。


「だとすれば、貴様は自分を買いかぶり過ぎだ」

「買いかぶり? いやいや、してないからこその結論だろ?」

「その、己の理屈が正しいと思い込んでいることそれ自体が買いかぶりだと言っている」

「それは……」


 返答する言葉もない。

 確かに俺は、間違ったらしいのだから。


「少女の出した結論はまさしく苦渋の決断であった。それを受け入れた上でなおも生き続ける決断を迫るのは、妾ではないこと、忘れることなかれ」

「なんだよ、それ。俺が死にたいって願っても、お前はそれを叶えてくれないくせに」

「その生を生きるかどうかを選ぶのは貴様の決断だ。自害も良し。だが、貴様は1度としてその選択をしなかった」

「意味がないからな。どうせ生き返る」

「例え、苦しい生を仕切り直せるのだとしても? いくらだってあったはずだ。終わらせたかった生が」

「……立ち向かうことを選んだ。確かにその選択をしたのは俺だ。否定は出来ない」

「であろう」


 言われた通りだ。

 どれだけ苦しいことが、辛いことがあっても俺は生きることを選んできた。

 痛くても、悲しくても戦い続けた。それを選び続けたのは、俺なのだ。今まで4度死んできた。そのどれも戦い続けて来た。

 己以外の死も含め、幾度となく経験しながら。そうならないように、努力を続けながら。


「そう考え続けた貴様だからこそ、そんな大それた考えが出来る。何度も人生を歩み、多くの人々と触れ合ってきた貴様だからこそ」

「何が言いたいんだよ。まったく答えた見えないんだが」

「簡単な話だ。命に対する価値観は、考え方は人それぞれだと言うこと。それは神である妾よりも貴様の方が心得ていると思っていたのだがな。どうやら、それではなかったようだ」

「考え方? そりゃ、いろいろあるだろうけど」

「要するに、貴様には出来ない決断を下せるものもいる、ということだ」

「俺には出来ない決断?」


 スノアにはそれが出来たってことだろうか。俺に出来ない決断って、何だろう。


「まあいい。そろそろ時間だ」

「時間だって。俺、本当にまだ生きてるのか。これからまたリィナと生きていけるのか?」

「くどい。何度も言わせるな」

「じゃあ、本当なんだな」


 良かったと、素直に思っている自分がいる。そのことも含め安心する。

 死と同時にすべてを失う感覚。慣れたと言い切るには難しいものだ。特に今世は、得たものが多すぎた。


「最後に、貴様が妾とこうして対談できているわけを教えよう」

「あ、そうだった。俺が死んでないなら、どうしてお前と会えてるんだよ」

「簡単なことだ。貴様の意識が限りなくこちら側に近づくとき、無理やり干渉している。前回にも1度行ったことがあるのだが、やはり気付いていなかったか」

「前にも1度? あったか?」

「10年前にも死にかけただろう。あの時は、妾が初の試みだったこともあり、実際に貴様をここに呼び出すことは出来なかったがな」

「なるほど? じゃあ、これからは死にかける度お前と会うわけだ。でも、なんでそんなことを?」

「愚問だな」


 ノエルが鼻で笑う。


「魔王復活が近いと言った。貴様に与えた使命の1つを成させるため、妾から助言を授けてやろうと言っているのだ」

「助言って、そりゃまたありがたいことだが。いいのか? 過度な干渉は怒られるだろ?」

「貴様に対する干渉など今更だ。むしろ、それだけで世界の安定を保てるのなら称賛されるべきことだろう」

「神にとっても都合がいい、ってことか。……分かった。大人しく従うよ」

「それでいい」


 相変わらず、どこまでも上から目線なやつだ。まあ、神と人という関係なら正しいと言えるのかもしれないな。


「それじゃあまたな、って感じか?」

「ああ。ちょうど、時間だ」


 鐘の音が響き始める。

 ノエルとの会話が終わる時に毎回なる鐘だ。

 その音を聞き、満足して帰ろうと思った時、思い出す。


「あ、そうだ! ノエル、お前の名前を利かせてもらう約束――」


 そこで俺の意識は暗転した。世界が暗闇に包まれて、どこかへ落ちていくかのような感覚がまとわりつく。


 そして俺は、5度目の人生を再開した。



 寝落ちなんて正直数えるほども経験がないんですけど、新生活の疲れせいですかね。唐突かつ盛大な寝落ちをしてしまいました。明日から大学の授業なんですけど、大いに心配で仕方ありません。


 それでは!

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