スノアの旅立ち
どうもシファニーです! 絶賛花粉症で苦しんでます。
第127部、第3章第35話『スノアの旅立ち』です。どうぞ!
「ヒ、ヒセ! 起きて!」
すでに、フェーとリネルたちとの戦いが始まっていた。
3人とも凄い。早く、力強い。あれが本当の闘いなんだ、って思わされた。
私は弱い。
そんなことはずっと前から分かっているはずだった。
みんなに初めて逃がされた日。私をひとり逃がし、暗がりを戻って行った彼の背中を見た日。罪悪感でいっぱいだった私の隣に寄り添ってくれたのがフェーだった。
震えた両手を体で温めてくれた。涙さえ拭かせてくれた。
たくさん襲い掛かって来た怖い人たちを、傷を負いながらも戦い、追い払っていた。そして永い眠りに就こうとした直前、私に一振りの槍を託してくれた。そんな存在がフェーだった。
何も出来ず、守られるだけの日々を送った。お母さんとお父さん、村長さん、神父さん、お隣のおばさんよく一緒に遊んでくれたお兄さんやお姉さんたち。みんな、私のために戦って、いなくなった。
そう思って、枯れるまで涙を流した。けどもう、それだけじゃ駄目だから。
せめて、私に出来るだけのことをしないといけないから。
「起きて! ふたりを助けてあげて! ねえ、起きてよ!」
ヒセ。
私と同じくらい小さくて、可愛らしい女の子だと思った。けどよくよく見てみると普通の人間とは違う。
特徴的な耳と尻尾を持っていて、獣人と言うらしい。リネルやリィナはエルフ。みんな、ただの人間じゃないんだとか。村を出たことも無かった私にしてみれば衝撃的なことだった。
そんな獣人のヒセは、こんなに小さいのにリネルやリィナよりも年上らしい。そして強く、勇ましい。
ふたりからも信用されていている、大切な仲間。
そんなヒセさえ目覚めればふたりは助かるし、フェーも元に戻るはずだ。
どうしてああなってしまったのかは、正直分からない。私を守ってくれた優しい子だったはずだ。
「ねえお願い! フェーを助けて!」
ヒセの小さな体を揺らす。
確認したけど怪我は一切なかった。あれだけ強く背中を叩きつけられていたはずなのに、だ。ただ本当に気絶しているだけらしい。
それに、その状態でも剣をしっかりと握っている。絶対に放さないって強い意志を感じる。
気絶したままでも、戦っているんだ。リネルや、リィナと一緒に。
「だから起きて! みんなを、助けてあげて!」
そのはずなのに、どれだけ体を揺すっても起きてくれない。目覚めてくれない。
「お願い、フェーを助けてあげて!」
その言葉を口にした途端、はっとする。
私はどうして、人任せにしようとしているんだろう。
それはリネルに任されたから? どうしてリネルに任されたらそれに従わなきゃいけないの?
違う、そうじゃない。
戦えなかったことを悔やんだんだ。泣いたんだ。じゃあなんでまた、誰かが戦うのを蚊帳の外から見ようとしているんだろう。
右手を見る。いつでも、戦えるための力がある。まだ見えないけど、私が望めばそれを握れる。
「……なら、戦える」
弱くてもいい、負けてもいい。
もう誰かに置き去りにされるのは嫌。私だけ逃げなきゃいけないのは嫌。みんなが戦うのを、傷つくのを傍から見ているだけなんて、そんなの嫌!
「戦うしかない!」
戦いたいと願えば、その槍はすぐに現れる。右手に槍を握る。ひんやりと冷たくて、硬い。しっかりと私の手に収まってくれる。重たくもない。こんなに大きいのに。
まるで、自分の体みたいに自由に扱える。
目を閉じる。まぶたの裏に、いろんな人たちの姿が映る。
どうしてだろう。考えて、泣きそうにも、笑いそうにもなる。
けどそんな感情全部追いやって、しっかりと武器を握り締める。
「フェーを、みんなを助けるために。助けてもらった恩を、返すために。それなら私、戦えるよ」
リネルが言っていた。フェーがくれたこの武器は、私に何度でも立ち直る力をくれるって。じゃあ、何度でも挑戦しよう。戦って、失敗してもやり直そう。
行くぞ、私!
引っ越し後初めての病院通い。耳鼻科に行って来て花粉症の診断とお薬をもらってきました。
それはそれとして鼻詰まりが酷く、正直私生活に問題が出てます。書いてる今も苦しいです。
新天地に移ったことでストレスと感じ、免疫力が落ちているのでしょうか。普段こんな風にはならないんですけどね。
そんな苦しみに負けないよう頑張って行こうと思います!
それでは!