時間稼ぎ
どうもシファニーです! 引っ越しが無事に終わりましたよ!
第126部、第3章第34話『時間稼ぎ』です。どうぞ!
俺たちはフェーの前に立つ。鋭く研ぎ澄まされたその眼差しを、正面から受け止める。
「リィナ、援護は頼んだぞ」
「ええ。任せなさい!」
リィナに背中を負かせ、俺は前に出る。
フェーの圧は放たれ続けている。気圧されるほどの直接的な殺意だ。
「フェー。本気で戦う気なのか? それとも、お前の意思じゃないのか?」
問いかけても、応える様子はない。
ただ、静かに、体の周囲に冷気を漂い始めただけ。
それは、間違いなく攻撃の意思だった。
「分かった、いいぞ。どこからでもかかって来い」
俺の挑発を受け取って、フェーは歩み出す。静かに、1歩ずつ。
それを受けて俺も弓を引き絞る。構えた矢をフェーの頭頂部に映えた角に向ける。それでも進んでくるフェーに向けて、俺は矢を放つ。
甲高い音がドームの中を木霊する。角に触れ、軌道が変わった矢は天井へ向かい、突き刺さる。
命中したはずのフェーの角には、傷ひとつ付いていない。
フェーは、なおもゆったりと近づいてきている。
「《エア・バーニア》ッ!」
二の矢を放つ。またしても弾かれる。先程よりも威力は上がったはずなのに結果はまるで一緒。角の耐久性の底が見えない。
「あの角に何か秘密が詰まってるはずなんだが……リィナ、壊せるか?」
「フェーが纏ってる魔力が見えないわけ? 試してもいいけど、たぶん魔力を散らされて威力が出ないわよ。リネルの矢でも無理なら、多分無理でしょうね」
「……だよな。じゃあ、ちょっと時間を稼ぐぞ」
「任されたわ!」
あれを破壊できる可能性が残されているとしたら、ヒセの全力だけだろう。
先程は確かに攻撃を止められた。だが、全力ではなかったはずだ。小手調べ程度の攻撃に見えた。あとは、ヒセの全力があの角を壊せることを祈るだけ。
いや、モグラを切り裂いたヒセの一撃なら、出来るはずだ。あの剣は、ヒセは、それだけの力の持ち主のはずだから。
神器を真の意味で扱えるようになった存在というのは、それだけの力を発揮するもののはずだ。ならこれは、あまりに分のいい賭けだ。
フェーの歩みが止まる。ちょうど、フェーがひと跳びして俺に届きそうな距離。間合い、ということだろう。
弓を、強く引き絞る。
張りつめた緊張感が漂う。ただ静かに、互いを見つめる。
今か今かと集中力を高め続けた、その時。
フェーの全身から、強い冷気が溢れ出す。
「っ、この!」
一瞬の瞬き。すぐに目を開いて周囲を確認した時、フェーの姿が見えなかった。
「リネル上!」
「なっ!?」
上を見る。フェーの獰猛な牙が、すぐそこにまで迫っていた。
引き絞った弓を緩め、半身になって牙を躱す。
続いて右前足が振るわれる。直前でしゃがむ。鋭い風が頭上を吹き抜けた。
重く響く音と共にフェーが着地。着地と同時に右足で踏み込み、左足が横に振るわれる。
ギリギリでバックステップを踏んで後退。だが、バランスを崩した。
顔を上げる。フェーは、飛びつく準備態勢を整えていた。
「リィナ!」
「《エアリアル・ブラスト》ッ!」
豪風が響く。
フェーの全身に浴びせられたその風は、白色の氷を散らす。じりじりと体表が削られる音が鳴り、フェーが構えを解く。それから、ゆっくりと振り返った。
リィナが小さく肩を震わせる。
けれど、口元に浮かべたのは笑みだ。
「リネル、いけるわよ!」
「おう!」
スノアがヒセの目を覚まさせる間だけでいい。その間だけでいいから。
俺たちの、全力の時間稼ぎが始まった。
引っ越し後初めての1日。朝はコンビニ弁当で済ませ、お昼は近場のラーメン屋、夜ご飯はスーパーで買ってきました。料理してねぇじゃないかと言うことなかれ。私の住んでいるのはは4月から朝晩のご飯を出してもらえる食事付きマンション。いわゆる学生マンションですね。
だから今日明日だけ外で買って何とか食いつなげばあとは待っているだけでご飯が食べられます。実家と変わりませんね?
作業機器もまったく同じものを持ってきましたし、正直新鮮味に欠けています。でも見慣れない街並み、味わったことのない雰囲気、驚きの発見。今日一日外を出歩いただけで色々な経験になった気がします。
1人暮らし生活楽しんで行こうと思います!
それでは!