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立ちはだかる壁

 どうもシファニーです! 日にち跨ぐギリギリで焦って登校してます。


 第124部、第3章第32話『立ちはだかる壁』です。どうぞ

 扉の前に立ち、見上げた。


「じゃあ、行くぞ」

「ええ」

「ん」

「うん」


 顔を見合わせ、俺たちは扉に手をついた。


 フェーが部屋の中に閉じこもり始めてから大体1日が経った。

 その間、俺たちは外で暇を過ごすわけになったのだが、いくつかの発見があった。

 まず、野イチゴが生えてこなくなった。これはきっと、フェーが自身を治癒することに集中し始めたので生命力が溢れなくなった影響だろう。恐らくは同じ理由で、教会から部屋に続く通路の氷が少し減っていた。

 きっとこれまで、多くの人々を救うために生命力を放ち続けていたのだろう。本当に、自らの意思でスノアたちの村落を守っていたようだ。


 人間と共存を成す魔物はいないわけではない。ただ、圧倒的な力を持つ存在が人間を守護する、というのは珍しい事例だ。というか、俺は前例を知らない。

 基本的に人間と魔物が共存するときは、魔物側が人間に庇護を求めていることが多い。もしくは、人間にとって都合のいい場合がほとんどになる。

 だからこそフェーの目的や知力がどんなものなのかが気になる。是非1度、しっかりと交流したいものだ。


 そして、そんなフェーに会うため、俺たちは扉を開こうとしていた。

 俺の予想が正しければ、そろそろフェーの治癒が終わるはずだ。ならば、左右の扉を同時に押すことで開けるようになっていることだろう。

 目で合図をし、同時に力を籠める。


 扉は、大仰な音を立てながらゆっくりと開き始める。わずかな風と共に冷気が漏れ出し、着込んでいるにも関わらず思わず身震いしてしまう。

 フェーにとって、寒さは生命力の表れなのだろうか。


 扉の向こう。半球状に広がる空間の真ん中に、大きな狼が4つ足ついて立っていた。その全身に、逆立つ氷の棘を纏って。


「フェー! よかった、元気に――」

「ちょっと待て。なんか、様子がおかしい」

「え?」


 フェーが立っている姿を見て駆け寄ろうとしたスノアの体を止める。


 寒いはずなのに、冷や汗が伝っていた。


「リィナ、なんだか変だと思わないか? フェーが纏っている魔力」

「ええ。力強くて……感情的」

「か、感情的? 感情的だとどうなるの?」

「危険な臭い。戦う、気」

「っ、そ、そんなわけ!」


 リィナ、そしてヒセは各々の感覚でフェーに警戒心を抱く。俺もまた、重ねてきた経験からなんとなく察した。フェーは今、警戒態勢に入っている。


 俺は、静かに弓を構えた。その動作を見て、ヒセ、リィナと構えを取る。未だに状況を把握しきれていないのはスノアひとり。


「ちょ、ちょっと待って! どうして戦う気なの!? フェーは悪い狼じゃ!」

「分かってる。分かってるが……話はそう簡単じゃないみたいだ」

「だから、どういうことなの!?」


 スノアは俺の服の袖を掴んで説明を求めるが、それに答える余裕なんてない。

 殺気が、冷気に乗って伝わるかのように肌を叩く。少しずつ分かって来た。

 先程まであいまいだった張りつめた緊張感は、フェーからの明確な殺意だった。ここ最近出会った砂の王や蛇とは比べ物にならない、質量を持っているかのような圧。


 気圧される。この俺が。


 確かに全盛期の力はない。慣れない環境でもある。でも、どうしてここまで圧を感じる。怖いと感じる。今更、死ぬことに躊躇なんてないはずなのに。


 弓を強く握りしめる。

 温もりは、感じなかった。

 いよいよ明後日には引っ越し。楽しみ半分不安半分です。明日と明後日、明々後日は忙しさ次第によっては小説を書く暇すらないでしょう。

 それでも、これからもっと小説を書いていくため、引っ越した先、大学でいろいろ学ぶために頑張るのならと割り切って行こうと思います。


 それでは!

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