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作戦会議

 どうもシファニーです! 明日から週末ですよ!


 第119部、第3章第27話『作戦会議』です。どうぞ!

「っ、見えたぞ!」


 走り続けてようやく隠し扉が見えた。リィナの魔力のおかげで迷うことこそなかったが、同じ道がずっと続くのは精神的に来るものがある。ずっと同じところを走っているように錯覚するのだ。


「ふたりは先に! あとは任せろ!」

「分かったけど、上手くやりなさいよ!」

「ん、任せる」


 リィナとヒセが加速をかける。それに対し、俺は魔力を練り上げていた。

 両手でスノアを抱えているから少しやり難いところもあるが……その程度で封じられるほど俺の魔法はやわじゃない。


 リィナたちが扉をくぐる頃には、完全に練りあがっていた。


「リ、リネル!? だ、大丈夫!?」

「スノア? ああ、当然だ! 俺に任せておけ!」

「う、うん!」


 スノアが一層力強く抱いてくる。

 こんな力どこにあったんだって程の締め付けに一瞬バランスを崩し掛ける。

 何とか修正しようとするが、普段と違う重量に体が言うことを聞かない。かならり全速力に近い速度だったこともあり、体は徐々に傾いていく。

 扉までは、あと数メートル。


「っ、スノア! 掴まってろよ!」


 返事はない。代わりに一層強い力が加えられる。

 戦闘でも、これくらいの力が出せれば楽だろうに!


「《アース・ウォール》ッ!」


 隠し扉の手前側。そこに、土石の形を変えて壁を作る魔法をかける。

 余裕があればくぐってからかけるつもりだったが、そんな余裕はなさそうだった。


 俺の体は、完全に前のめりになり、倒れる。

 それと同時に盛り上がり始めた石レンガの上を転がり、そのまま前へ進んで扉をくぐる。その直後には石レンガが通路全体を防ぐ高さまで盛り上がり、最終的には通路全体に蓋をした。

 倒れ込んた状態でそれを確認し、脱力するようにスノアの体を解放する。

 ただ、スノア本人が恐怖に目を閉じ、力強く抱き着いているままだ。身動きがとれそうになかった。


「スノア、もういいぞ。どうにかなった」

「……え? も、もう大丈夫?」

「ああ。見てみろ」


 スノアは顔を上げる。

 それから周囲を見渡し、閉ざされた隠し扉を見つけて胸を撫で下ろす。大きく息が吐き出された。


「た、助かったん、だよね?」

「そういうことだ。一先ずは、な」


 スノアはすぐに立ち上がり、服についた汚れを払う。遅れて俺も立ち上がり、リィナの方を向く。

 リィナはリィナで息を上げていて、額にうっすらと汗が伝っていた。


 そんな状態ではあったけど、ずっと言いたかった言葉を口にする。


「無事でよかった、リィナ」

「と、当然、よ……私を誰だと思っているわけ?」

「そうだな。リィナなら大丈夫だって分かってた」


 得意げな笑みに、俺も似たような笑顔を返す。

 リィナはすました顔で肩にかかった髪をどかす。


「さて、一息つけるみたいだし? 色々と聞きたいことがあるわ。聞かせてもらえるわよね?」

「なんだよ。せっかく再会したのにそれだけか?」

「出来るって分かってたし、そこまで長い間離れ離れだったわけでもないでしょう? ……まあ、心細かったのは、認めるけど」

「え? 何か言ったか? 小さくて聞き取れなかったけど」

「お、遅すぎるくらいだって言ったのよ。今まで何をやってたんだか」

「そ、それは……」


 いろいろ寄り道してた、というのははばかられ。誤魔化すように目を逸らしていると、リィナが咳払いをした。


「まあいいわ。今まで何をしてたのか、これから何をするのか。色々確認しなきゃいけないことがあるわ。それに、なんだか焦っているみたいだし。急いだほうがいいんでしょう?」

「ああ。……じゃあ、俺たちに何があったのかからだな」

「頼むわね」


 それから俺たちは情報交換を行った。


 リィナからの情報も確認し終え、リィナは納得するように頷く。


「つまり、えっと、スノアだったかしら? あなたを守ってくれた大きな狼の誤解を解く必要がある、ということね?」

「そう。フェーに、許してもらわないと」

「……それに関しては、私が悪かったわ。迂闊だった」

「いやリィナに非はない。襲われたら反撃するのは仕方ないことだ。フェーって狼ならともかく、普通の狼たちに話し合うほどの知能はないらしいからな」


 リィナは俺たちが見つけるよりも前に何匹か狼を倒してしまっていたらしい。

 その影響で、もしかすると穏便に和解、という手段を取れなくなるかもしれないことを危惧したのだ。

 だが、反撃は不可抗力だ。フェーにその理屈が通るかはともかくとして俺たちがリィナを責める理由は無い。


「無視する、ってわけにもいかないわよね。雪山で活動し続ける限り脅威にさらされるわけだし。どうせ探索するならそのフェーって狼に協力して欲しいくらいなのに、敵に回し続けるのは得策じゃないわ」

「でもどうやって説得するかだよな。当の本人は重症のせいで寝込んでるし、扉が閉まったままじゃどうしようもない」

「そうよねぇ……待って? 重症?」

「リィナ? 何か思いついたのか?」

 

 俯いて考え込んでいたリィナが顔を上げた。

 何事かと思って顔を見ると、想像していた表情とは違い、どこか難しそうな表情を浮かべていた。


「どんな怪我でも治す果実……」


 そして、細々とそう呟いた。

 明日は皮膚科と歯医者さんに行くらしいですよ? 引っ越し前最後の自分の体の健康状態チェックですね。引っ越してから新しい病院を探すのも大変ですし、やれることはやっておこうとのこと。

 と言っても、私は決して体が強くないので引っ越し先でも早めにいいお医者さんを見つける必要があります。見つけられるかなぁ……。


 それでは!

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