迷宮での逃亡
どうもシファニーです! 今日はちょっと遠出して洋服を買いに行きました。大学に行った時に着るための春服ですね。なんかすぐに出番無くなりそうな予感ですけど。
第118部、第3章第26話『迷宮での逃亡』です。どうぞ!
リィナを探して通路を進み始めて5分ほどが経っただろうか。
ようやく見つけることが出来た。
と言ってもリィナ以外に、数えきれないほど大量の狼も見つけてしまったのだが。
「こりゃ、まずいな」
「ん。数が多い」
通路の先、どこまでいるか分からないくらいに狼たちがいた。100体いるかいないかくらいではないだろうか。通路内は渋滞状態だ。
そして、その中心部分によく目立つ金髪が靡いている。当然、リィナだ。
俺たちはそれを少し遠巻きに眺めている状況だ。すぐ助けに入りたいのは山々だが、ここに飛び込んで混戦にでもなろうものならいよいよ取り返しがつかなくなる。打てる手段がある様なら打っておきたい。
そのための状況観察をしている状態だった。
「上手く連れ出せると思うか? すでに戦闘をしているみたいだ」
「たぶん、できる。けど、逃げ切れるか、分からない」
「なるほど……いや、そこは俺が何とかしよう。ある程度距離を離して時間を作れれば対処できるはずだ」
「ん。なら、ヒセが行く」
「行くって、ひとりでか?」
俺の問いに対するヒセの答えは、前へと踏み出した足だった。
「連れてくるだけなら、ひとり、いい」
「そうかもしれないが……本当にいいのか? 俺から援護するのは難しいぞ」
「大丈夫。リィナも、強いし」
「……そういうことなら、頼む。リィナを連れて来てくれ」
「ん」
ヒセは力強く頷く。何度も見て来たが、俺の期待を裏切ったことは無い。本棟に頼もしい返事だ。
剣を抜くことも無く歩き出し、徐々に速度を上げていく。
そのうち狼たちに気付かれ出した。隠れる気も無く全力ダッシュなので当然と言えば当然だ。だが、ヒセは気にした素振りひとつ見せない。そのまま狼たちの群れ目掛けて速度を上げる。
「え? そこにいるのはヒセ!? リネルもいるじゃない! ちょうどよかったわ! こいつらを倒すのを手伝って――」
「駄目。逃げる!」
「――え? 別に戦って勝てないことは無いわよ?」
「リィナ、事情があるんだ! 逃げてきてくれ!」
リィナがこちらに気付いてくれた。感動の再会もほどほどに俺はそんな風に叫ぶ。リィナは混乱するように首をかしげるが、その間にもヒセがリィナの方へと駆けていた。
そして、狼と接触する瞬間。
大きく前に出した足で踏ん張り、両足を揃える。そこから全高姿勢になって、ちょうど狼たちの頭上を飛び越えるように、低く前へ飛んだ。
その動きはあまりに速く、狼たちも攻撃が届く高さだというのにまったく手出しされない。
そのまま一直線にリィナの下まで向かった。
周囲の狼たちを威嚇するように剣を抜き、当てる気のない攻撃を数度。それから自らの周りにスペースを確保し、今度はリィナの膝裏と背中に手を回し、抱き上げた。
「ええっ!? ちょ、ちょっと待ちなさいってヒセ! 私別に自分で――」
「んっ!」
「――ちょっとぉぉぉっ!?」
先程と同じ要領でジャンプ。リィナを抱えていて力加減が分からないのか、今度はかなり天井ギリギリを飛んでいる。
ぶつかりそうになってリィナが悲鳴を上げる中、茫然とする狼たちを置き去りに、リィナを抱えたヒセが俺の前に着地する。
リィナはと言えば、落ちないようにとヒセの小さな体に力いっぱい抱き着いていた。
「よし! ヒセよくやった! このまま逃げるぞ!」
「ん! リィナ、このままいく?」
「……へ? い、いいわよ! 自分で走るわ! その代わり事情とやらは後で聞くからね!」
「ああ、もちろんだ!」
リィナがヒセから降りると同時、俺たちは走り出す。そして、そんな俺たちを追いかけるように狼の大群も走り出した。
「逃げるって言ってもどうするのよ! こんな大群撒くのは無理よ!?」
「考えがあるから大丈夫だ! とにかく、大きな扉のところまで逃げるぞ!」
「っ!? あそこを見つけたの!? あとで自慢しようと思ってたのに!」
「そんなの今はどうでもいいだろうが!」
相変わらず自由なやつだ。何気に自分は走らず浮遊しているし。あれだけ大量の魔力を残したうえ戦闘をして奈央魔力の余裕があるとは。流石だ。まさかとは思うが増えてないだろうな。
初めて会った時以降リィナの全力を見た覚えはない。もしかしたらここ数年で増えていても不思議はないんだよな……。
「あと! 途中でひとり拾うからな!」
「誰か? なに、私たち以外にもここに来てた人がいたの?」
「いや、現地人がいたんだよ。まあ話は後だ。……そろそろ見えてくる」
「ん、いた」
ヒセに言われて前を見る。
遠くの方、暗がりの通路の途中に白色の人影が見えた。
「スノア! 走れ! フェーのところまで走るぞ!」
「え? リネル? わ、分かった!」
スノアはすかさず後ろを向いて走り出す。しかし俺やヒセと比べて身体能力は高くない。すぐに追いついてしまい、何ならすぐにでも狼に追いつけれ仕舞いそうなくらいだ。
「ちょっと揺れるぞ!」
「へっ!? きゃーっ!?」
走りながらスノアの体を抱き上げ、そのまま全速力で通路を駆け抜けた。
皆さん正直に言ってください。最近この作品、マンネリ気味ですね? そうじゃないならそれでいいです。何の問題もありません。
ただなんか、書いててもっとサクサク行けるんじゃない? と思っちゃうんですよね。停滞気味と言いますか……。毎日更新だからって心の余裕があるからな気がするんですけど、そのせいで文字もかさばってる気がするんですよね。
と言って淡々と進めすぎるのも面白くないし、ちょうどいい塩梅って難しいです。
これからも頑張って改善していきたいです!
それでは!