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狼煙

 どうもシファニーです! 3月も真ん中、あと残り半分で私大学生らしいですよ? 実感ないですね。


 第113部、第3章第21話『狼煙』です。どうぞ!

「で? どうやって火を焚くの?」

「俺は火属性魔法が使える。あとは炭を持ってきているから、それを燃やせばいいはずだ」

「火属性の魔法? ……そんなものあるんだ。私たちの村じゃ魔法は水属性と氷属性しかなかった」


 教会から外に出た俺たちは食料としてのイチゴを摘んだのち、出来る限り山の高いところまで登って来た。一応、教会のあった山の頭頂部と言うことになるだろうか。


「そうなのか? エルフの村も風属性と水属性、あっても土属性くらいだったし、やっぱり環境や種族によって扱う魔法って言うのは違うんだな」

「え? じゃあどうしてリネルは火属性の魔法が使えるの?」

「色々見て回ったからな。大体の属性の魔法は最低限使えるぞ」


 人間時代に基本5属性は全部発動出来た。特に得意だったのが火属性魔法で、エルフの体になった今でも問題なく扱えている。


 石を円状に並べ、そこに炭を並べる。

 普通火を焚くとなると発火剤が欲しくなるものだが火属性ならそんなものは必要ない。


「《フレア・ファスト》」


 そんな言葉と共にすぐに火が広がり、炭が煙を上げ始める。

 そんな様子をヒセ、スノアと3人で囲んで見上げる。


「へぇ、魔法ってすごいね。私は使えないから」

「ヒセも、使えない」

「いやいや、ヒセは闇属性の魔法を使ってるだろ?」

「あれは魔剣の力。ヒセのじゃない」

「あー……まあ、そう言う見方もあるのか」


 そう言う話をされるとちょっと痛い。

 俺が魔法を使えるのは、2度目の人生の時に手にした神器、聖法規のおかげだ。継承を司るあの神器は他人の技を見ただけで扱えるようになる、という神器だった。ただ俺は選ばれし者じゃなかったので本領は発揮できず、見たものよりも数段劣ったものを、それも魔法に限定して会得できるだけで留まった。

 俺が火属性の魔法を得意としていたのも、隣にローラと言う火属性魔法の申し子のような存在がいたおかげ。


 だとすれば、俺が扱える魔法はすべて俺の力ではないと言うことになる。

 その他の剣術、体術、弓術もそうなってしまう。ヒセの理論で行くと、俺は何も出来ないと言うことになってしまうわけだ。

 ヒセの考え方を否定はしないが、俺はあまり賛同できそうにはないな。


「魔剣には魔法を使えるようになる力もあるの? 私の槍、そんな力ない。すぐ壊れるし」

「その代わり何度でも作れるんでしょ?」

「そうだけど」

「投げて使えば?」

「投げる? ……確かに、それならすぐ壊れても問題ない。けど、私に投げる力なんてない」

「鍛えるしかない。私も鍛えた」

「そっか。そうだよね。私も鍛えるの頑張る」

「ん、それがいい」


 気付くとヒセとスノアが仲良くなっていた。

 リィナの時もそうだったけど、女性同士は仲良くなるのが速いのか? それともヒセがフレンドリーすぎるのだろうか。


「リネルも、教えてくれる」

「ほんと?」

「え? ……まあ、投擲槍なら使ったことはあるが」

「じゃあ教えて!」

「ヒセも、剣の使い方教えてもらう」

「あれで使えてないの?」

「リネルに下手くそって言われた」

「いや、別にそこまでは――」

「リネルって厳しいんだね」

「ん。だから強い」

「――……まあ、そう言ってくれるならいいか」


 思わず零したため息は、煙に紛れるように空へと昇って行く。


 それから雑談を続けること数時間。

 そろそろ日が暮れてきて、俺たちは下山せざるを得なくなった。


「結局リィナは寄ってこなかった。まあ、そもそも見える場所にいるとも限らないし、見えたからと言ってくるのも限らないからなぁ」

「ん。気長に頑張る。リィナは強いから」

「それもそうだな。この広い雪山を無暗に探し回っても、何時まで経っても見つかる気がしない」


 変に動き回るとすれ違いが増えるだけの可能性もある。それで無駄に体力を消費するくらいなら端からとどまり、リィナがいつか通ってくれるのを期待する方がいいかもしれない。


「ただなぁ、リィナが同じように考えてずっとどっちも動かない、っていう可能性も捨てきれないし……厄介だ」

「私たちは集落の場所が決まっていたし、色んな所に点在していたから何とかなったけど、ふたりとそのリィナって人は待ち合わせもしてないんだもんね。合流は難しそう」

「そうなんだよな。これなら、遭難した時には下山する、とか決めておくべきだった。突然のことだったし、正直この雪山を舐めていた。空を飛べるからとたかをくくったのがまずかった」

「仕方ないこと。明日のことは、明日考える」

「まあ、そうだな。どうせ日が登らないと探すにも探せないんだ」


 反省会を交えつつ、フェーが待つ場所へと向かう。


 白色の氷に挟まれた通路を通り、開けっぱなしにしていた扉をくぐろうとして、足を止めた。


「あれ? 扉が……しまってる?」


 確かに開きっぱなしで出てきたはずの扉が、しまっていた。

 ちょうど親戚が集まる機会があっていろいろ話を聞いたんですけど、皆さん私の一人暮らしを心配するんです。

 詐欺に逢うなよとか、友達は選べとか、騙されるなよとか。どれだけ信頼がないんでしょうかね。私は悲しいです。

 ですがありがたいお言葉に間違いはないのでしかと受け止めた上で忘却しようと思います。気にせず楽しむのが一番!


 それでは!

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