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氷血槍の力

 どうもシファニーです! 今日が何の日か知ってますか? はい、円周率上3桁の日ですね!


 第112部、第3章第20話『氷血槍の力』です。どうぞ!

 スノアの神器は氷血槍と言うらしい。


「この部屋の真ん中に置かれてた。フェーが守ってたみたい。この地下空間は私たちの先祖が作ったもので、フェーを祭るための場所なの。リネルたちは教会から来たんでしょ? あそこはフェーを祭る教会なんだ。実はちゃんとした入り口は他にいくつかあって、その全部が集落と繋がってる。入り口付近は吹雪を凌ぐために使ったりしてるし、時代によっては激しい吹雪の影響で外に出られなくなって、みんなの住処として使うこともあったんだって」


 教会の繋がる出口へ向かう中、スノアの質問に答えるためまずはスノアの知っていることを聞くことにした。


「そんなこの場所にどうしてこんな槍があったのかは分からない。フェーに聞く前に、フェーは倒れちゃったから。最初私はフェーが作った武器なんじゃないかなと思ってたけど、これ、神器って言うんでしょ?」

「ああ、そうだ。それは俺が持っている神林弓、ヒセが持っている魔剣と同じ神器。そのはずだ」

「ん。おんなじ臭い」

 

 神器って臭いするのか、という疑問は抱かなかったことにする。


「神器って言うのは神様が魔族に対抗するために作り、世界に散りばめたと言われる強力な武器だ。それぞれ選ばれた者しか扱えず、扱えるものにはそれぞれが司る力を与えると言われている。神林弓なら生き、生かすための力。魔剣ならあらゆる苦難に抗う力だな」

「じゃあ、私はこの武器に選ばれたの?」

「そう言うことだ。手に取ったとき、名前の他に大体の力と、あとは司る力が何なのか、不思議と分かったりしなかったか? それも神器の権能のひとつとしてあるはずだ」

「それは……うん、なんとなく分かるよ。この武器が司るのは何度砕けても無くならない意志。持っている特性は何度壊れても作り直すことが出来る、っていう力。槍なんて握ったことも無かったのに使い方がなんとなく分かったのも、神器の力なんだね」

「そう言うことだ」


 その割には全然扱えていなかった、なんて言葉は言わないでおこう。


「しかし、何度砕けても無くならない意志、か。どうせなら砕けない意志の方が良さそうだけどな」

「それは……私もそう思う。どうして神様は砕けることを前提の力なんて作ったんだろう」

「さあな。神の考えることは、俺たち凡人には分からないさ」


 俺みたいに何度も顔を合わせていたとしても分からないからな。


「でも、これを手にした時不思議と自信が湧いて来た。フェーを守って、助けてあげるんだって思ったの。私がしてもらったみたいに」

「なるほどな。スノアの頑張りによっては、問題なくできるはずだ。けど無理する必要はない。神器に選ばれたからと言って戦う必要はないんだ」

「そう、なの? ……でも私、覚悟はもう決めたんだ。フェーのために必要なことなら、怖くたって戦うって」


 この子がヒセと違って外見年齢と実際の年齢が一緒ならば、良くって13歳ほど。まだまだ若い子どもで、非力で、無知だ。

 そんなスノアでも覚悟なんて言葉を口にして、戦おうとしている。それは確かに神器の力の影響なのかもしれなかった。


「……俺が初めて戦うことを決めたのは、大切な人を失ったときだった」

「リネル?」

「俺はその時酷い後悔と苦痛に襲われた。怒りに身を任せて戦って、もっと強くなりたいって力を欲した」

「……」


 俺の雰囲気にのまれてか、スノアは口を噤む。ヒセもスノアの隣で静かにこちらを見上げていた。


「確かにその怒りが力になったこともあったけどな、怒り任せのせいで逆に後悔を積み重ねることもあった。……だからってわけじゃない。けど、今まだ生きている大切な存在を守るために、正しく力を使って欲しい。その力は、良くも悪くも強力だ。多くの人の人生を、その武器ひとつで左右できてしまうほどに」

「……リネルにも、そんな経験あるの?」

「ああ。たくさんな。力のおかげで守れた命があった。力があっても守れない力があった。……力のせいで、奪ってしまった命もあった。きっと、ヒセにもあるんじゃないか?」


 そう言えば聞いたことが無いと思った。もしかしたら言いたくないことかもしれないが、やっぱりどうしても気になってしまう。

 俺が左右してしまったヒセの人生が、どんなものだったのかが。


「ヒセは……ヒセは、大丈夫。色んな魔物と戦って、強くなった。まだ、何も失ってない」

「……それは良かった。魔剣の力をちゃんと使えているんだな」

「ん。恩人に貰った、命だから。大切にしてる」

「それは大切なことだな」


 平静を装った。けれど、思わず泣きそうになってしまった。少しでも油断したら涙腺が崩壊してしまいかねない。


 もしもヒセが力のおかげで守れた命なのだとしたら、俺のあの人生にも意味が生まれる。何度も繰り返してきた転生。その人生のすべてに価値があったわけじゃない。だから、少しでも救われたと言ってくれる人がいるのなら、これ以上に嬉しいことは無い。


 俺は、それだけで救われた気分になるんだ。

 3.1415926535……までが私の限界ですね。

 いつからかπでよくなってしまったせいで覚えようとする気力がなくなりました。それでも3.14までは忘れることは無いだろうなと思えるのは近年の中等教育の賜物ですね。


 それでは!

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