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神器の力

 どうもシファニーです! 今日は3月9日。ミクの日ですね! 皆の推しのミクはどのミクですか?


 第107部、第3章第15話『神器の力』です。どうぞ!

「ヒセ!」


 ヒセの体が少女の槍に貫かれた。

 ヒセは静かに佇んでいたが、俺は焦り、思わず駆け寄った。

 だが、正面に回り込んでヒセの体を見てみると、傷を負った様子はなかった。


 それどころか、案じるように眉を顰め、少女を見下ろしている。


「えっと、大丈夫なのか?」

「ん? 何が?」

「だって槍に貫かれてただろ?」

「ううん、違う。これ」

「それって……」


 ヒセの体の前に、見覚えのあるものが装着されていた。

 それは、魔剣を差していた鞘。見てみれば、その端から魔剣の持ち手が見えている。


「つまり、魔剣を鞘に仕舞って盾代わりにした、ってことか? でも何でそんなこと?」

「ヒセに攻撃を当てないと、止めなさそうだったから」

「だからって、そんな賭けみたいなこと……」


 魔剣は確かに大きいし、それに応じて鞘も大きくなっている。とはいえ、手や足、顔なんかは無防備な状態だ。


「それくらい見てどうにか出来る」

「そりゃそうかもしれないが……まあ、無事ならそれでいいか。本当に怪我してないんだな?」

「してない」

「ならこれ以上は何も言わないでおく」


 ヒセは魔剣に選ばれた特別な存在だ。本棟ならあまり無茶して欲しくないのだが、本人が大丈夫だと言っているのだし、そこまで強く言わないほうがいいだろう。 

 というか魔剣に選ばれているのなら、こんなところで死ぬはずもないか。


「で、どうしようか。何か勘違いしているようだったけど……」

「あの狼が関係してる、んでしょ?」

「そうなるな。あの狼は……気絶しているのか?」


 ヒセの足元に横たわる少女の姿。怪我は負わせていないのでただ疲れているだけだろうからそこまで心配することではないと思うのだが、また起きて攻撃されてしまうかもしれない。

 その原因になっているであろう狼を何とかしたいのだが、こっちもこっちで対処のしようが無さそうだ。


「でも、このまま帰るって言うのも、なんか違うよな?」

「すっきりしない」

「ああ。それに、この子が持っている神器には興味がある。どこで手に入れたのか、どんな能力があるのか。出来れば聞きだしたいんだよな」


 神器は本来選ばれし者にしか扱えない。俺だけは特権的に扱えているが、これは本当に異例中の異例だ。

 少女は決して神器を完璧に使いこなせていたわけではない。ただ、使えている時点で選ばれたのは間違いない。となればこの子も魔王に対抗するための戦力になってくれるはずだ。

 無理に戦場に駆り立てるつもりはないが、どうせなら友好的な関係を築いておきたい。


「強い、の?」

「神器だからな。その魔剣と同等の力を持っているはずだ」

「ほんとに?」

「そのはずだけどな」


 ヒセが疑問を抱くのも無理はない。


 少女はお世辞にも強いとは言えなかった。使い方はしっかり知っていたようだし、何度も作り直せるという特性は活かしていた。ただ基本的な筋力や体力、戦闘技術が駄目駄目だ。

 ヒセも剣の扱い方がなってないと思ったが、基礎身体能力が高い分この少女よりずっとましだ。

 実際、今回少女はヒセに手も足も出なかったわけだし。


「俺も何人か神器の持ち主と会ってきたが、こんな弱いのは初めて……ではないのか」

「どんな人だったの?」

「え? あーそれは……」


 俺が言ったのはヒセのことだった。魔剣を託した頓所、ヒセは生まれたてのほんの子どもだった。今では力を付けているが、当時の力は今の少女と比べて果たしてどちらが上なのか。

 

「……ちっちゃい子どもでな。力も無さそうだった」

「そんな子が、この剣みたいなの持ってたの? 凄い」

「そうだな。確かに凄い」


 どうやら気付かなかったみたいだ。

 まあヒセからしてみれば、今の俺と前世の俺が同一人物だなんて分からないから当然と言えば当然だよな。


「そういえば、リネルはどうやって、その弓を手に入れたの?」

「俺か? これはエルフたちがずっと大切にしてきたものでな。それをもらったんだ」

「どんな力?」

「生き残るための力だ。誰かを生かし、自分も生きる。一緒に生きていくための力を与えてくれる」

「生きるための?」

「ああ」


 今こうして口にしてみれば、俺には相応しくない力だ。

 ずっとひとりで戦い続けてきて、これからもそうなるはずの俺。そもそも死ぬことを前提でノエルの使命を受けているのだ。生きるための力なんて、手元にいらない。


 いや、もしかするとこれは手放すことを示唆しているのかもしれない。俺はまたこれを手放し、そしてすぐに死ぬことになる。そんな運命なら俺にお似合いだ。

 

 顔が苦い笑みを描く。小さく胸も痛む。


「じゃあ、ヒセは安心」

「え?」

「リネルと一緒にいれば安全、でしょ?」

「……ああ、そうかもしれないな」


 わずかに体を揺るがした感情が、少しずつ薄れていった。

 さて、また土日が終わり、明日から平日です。

 卒業して学校に行っていない私には関係ない、って? 家族が出かけるのでご飯を自分で用意しなくてはいけなくなります。家にいる内は甘えていたいんですよ。

 困難でひとり暮らし出来るんですかね?


 それでは!

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