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地下闘技場

 どうもシファニーです! 大学の手続きが、今度こそ完璧に終了したようです。これで安心できますね。


 第105部、第3章第13話『地下闘技場』です。どうぞ!

「じゃあ、せーの、で開けるぞ?」

「分かった」


 見上げるほどの大きな扉。試してみたが、ひとりで両開きの扉を両方開けるのは無理だった。

 しかも、どうやら片方だけ開けようとしても開かないらしい。そう言った仕掛けが施されているのだろう。


 そこで俺が右、ヒセが左を同時に押してみることにした。


「せーのっ!」

「んっ!」


 鉄製の扉を力いっぱい押してみる。

 巨大で、その上金属製ということで当然重いのだが、決して開けない程ではなかった。というのも恐らく、同時に開けば開きやすくなる仕掛けも施されているのだ。

 つまり、ひとりで両方を開けるだけの力があるか、もしくはふたり以上でなければ開けない扉、ということだろう。


 この扉を作った者がどうしてそんな仕掛けを施したのかは分からないままだが、とにかく開けることは出来そうだった。

 

 金属の擦れる鈍い音と共に、扉が少しずつ開いていく。

 それと同時、鋭くて冷たい風が頬を撫でる。気圧の差で空気が流れ出てきているらしい。もしかしたら、この扉の向こうはここよりもずっと寒いのかもしれない。


 そして最後の一押しを同時に押し切る。

 俺とヒセが入るのに十分すぎるだけ扉が開く。


 極寒の世界が、広がった。


 扉の向こう側に見えたのは巨大なドーム。

 半径500メートルは優に超えるであろう半球状の空間がそこにはあった。

 人間の国にあった闘技場を、そのまま地下に作ったかのように見える。

 そしてその空間の至る所に、ここまでの廊下にあった白く光り氷が出来ていた。床はもちろん、壁や天井に至るまで凍り付いていて、流れ込んでくる冷気は吹雪の雪山と大差ないほど。

 むしろ、局所的な寒さのせいで、こここそが真の極寒なんじゃないかと感じてしまうほど。


 雪山を見上げた時とは違う。

 その人工物と自然との融合に呆気に取られていると、袖を引かれた。

 見ればそこにはヒセがいて、そのヒセは、目の前を静かに見つめ、右手を背中の剣に添えていた。


 反射的に前を見る。そこには、大きな狼と小さな少女がいた。


「なんだ、あれ?」

「分かんないけど……強そう」


 あれ、と思わず言ってしまったのは、それが普通の生き物には見えなかったから。


 ドームの中心。この場の主かのように横になる狼は、目算全長10メートル。高さが3メートルは越えそうな超巨大固体。白と灰色の毛並みで、所々が霜のように凍り付いていた。

 というか、体の一部は本当に凍っている。そこら中にある、白く光る氷に見えた。


 そこで思い出すのはヒセの話。確か、砂漠にも血液が白く輝く狼がいたんだったか。

 つまり、あの狼も似たような特性を持っている。ここに至るまでに見て来た氷はすべてあの狼のものだった。あの狼は深い傷を負っている。ということだろう。


 あれほどの巨体とはいえ、凄い量の出血だ。満身創痍なのではないだろうか。

 そして、その狼に付き添うように寄り添う少女がひとり。


 不思議な雰囲気を持つ少女だった。

 白色の短髪の持ち主。着ている服が白色のワンピース1枚なのも目を疑った。この寒さで、あれで平気なわけはない。何か裏があるはずだ。

 その少女は裸足で地面を踏み、両手と額と狼の毛皮に付けていた。それは傷ついた狼を心配しているかのように見える。

 ふたりは、どういった関係なのだろうか。


 ヒセに目配せをする。

 ヒセは一種の泥いたように目を見開くが、すぐに頷き、剣から手を離した。

 そのまま、俺たちはゆっくりとドームの真ん中へと歩き出す。


 狼までの距離が、半分ほどまで縮まった。

 その頃になって、少女が動き出した。


 その動作は静かだった。

 まずゆっくりと狼から体を話し、こちらを振り返る。

 銀色の瞳が怪しく灯り、細まった。その警戒するような視線にヒセが身構えたが、それを手で制する。ヒセは大人しく身構えを解いた。

 一息つきつつ、少女を見る。


「待ってくれ。俺たちに敵意はない。こんなところで何をしているのか知りたかっただけだ。俺たちはここに迷い込んだだけで――」

「フェーに手出し、させない」

「――フェー? それって、なんのことだ?」

「絶対、許さない!」

「っ、おい、待てって!」


 少女が地面を蹴った。

 乾いた音だった。裸足だったから。でも、そうとは思えない踏み込みだった。

 急激に加速しながらこちらに向かって来る。

 神林弓を取るか迷った。でも、何かの勘違いかもしれない。誤解が解けるかもしれない。でもそれも本気で戦い出してしまえば可能性が潰えてしまう。

 その隙を、疲れたような気分になった。


 丸腰だと思った少女の右手に、俺でも分かるほどに魔力が集った。その魔力はやがて鋭い形を持っていく。長く鋭く伸びて行き、槍のような形になる。


 白く輝く半透明の長柄。その外観に見覚えは無かったが、放つ魔力の質感に、威圧感には覚えがあった。


「まさか、神器なのか!?」


 神林弓や魔剣に匹敵するほどの魔力を持つ槍は、俺の眼前に向けられた。

 好きなゲームの大会が開催されるって発表があったんですけど、ちょうど引っ越しの日と重なっちゃったんですよねぇ。残念で仕方ありません。

 私、昔からスプラトゥーンって言うゲームが好きだったんですけど、ソロ勢だったのとそもそも大会が少なかったので大会出場経験がほとんどないんですよねぇ。大学行って余裕が出来たらいろいろやってみたいです。


 それでは!

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