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暗がりの地下道

 どうもシファニーです! 私の小説も短文かしてきていますね。


 第104部、第3章第12話『暗がりの地下道』です。どうぞ!

「へえ、こんな風になってるのね」


 階段を下ってみると、そこは入り組んだ迷宮だった。

 天井も床も壁も、全部地上で見た建物と同じ灰色の石で出来ている。地下だからって暗いことは無く、そこら中に魔力を使ったランタンが置かれていた。空気中の魔力だけで光り続けられる代物らしく、古びているがどれもしっかりと光っていた。

 

「これならリネルたちにも自慢できそうね! このランタンも、もしかしたら価値のあるものかも知れないわ。あとは、この奥にあるはずのお宝を持って帰るだけよ!」


 道は入り組んでいた。右へ左へ伸びる通路は複雑で、どの道がどこに行きつくのか分からない。

 せめてもの救いは、通路は規則正しく並んでいて、四方のどこかにしか曲がらないこと。それと、所々行き止まりがある事だろうか。限りが無いのではなく、当りとはずれがあるのならいつかは探索しきれるはず。


「って、また行き止まりじゃない。もう、どうしてこんなに通路が多いのよ。そもそも何のためにこんなに複雑にするのかしら」


 これで十数度目の行き止まりだった。

 引き返し、また別の別れ道へと入っていく。


 本当に迷路みたいな場所だ。昔の人はこういう造りが好きだったのだろうか。だとしたら変わり者にもほどがある。

 私たちエルフが木の上に住んでいて、それが人間からしてみれば一般的でないと言うのはリネルに聞いたことがある。けれど、地下に住むのも、こんな複雑に作るのも普通ではないはずだ。


「大体、住んでた痕跡も全然ないじゃない。あるのは精々鞄くらいで……鞄?」


 ふと足元を見ると、革製の鞄が横たわっていた。劣化が酷く、触れただけで崩れそうなほどにボロボロだが、輪郭を見れば鞄なのは間違いない。

 なんでこんなものがあるんだろうとしゃがみ込んでみる。


 そのまま視線を前へと向ける。そしてその先に、大小さまざまな白色の棒のようなものが積み重なっているのが見えた。

 他にもボロボロの布、さび付いた剣、わずかな土砂のようなものもあるように見えた。


「……ちょっと待ちなさいよ。これ、人じゃない?」


 エルフかどうかは分からない。骨は全部崩れていて、耳の長さは識別できない。

 ただ、剣を持っていたのならエルフの可能性は少ないだろう。


「って、別にエルフだったとしても構わないわよ。この子はたどり着けなかったと言うだけ。私はこうして生きているし、食料だって! ……そう言えば、なくなりかけてたわね」


 もともと、離れ離れになってしまった時のために各人が自分用の食料を持っていた。だからふたりを別れた今でも食料はしっかりと持っていたのだが、そろそろ貯蔵が切れそうだった。


 鞄の中身を眺めながら、嫌な汗が額を流れる。


「い、いえ。何も食べなくても数日は持つし、そもそももう少しは残っているのも。危なくなったら引き返せばいい。ちゃんと魔力の痕跡は覚えているもの、道順は分かるわ。さ、気にせず行きましょう!」


 自分自身を誤魔化すようにそう言って、さらに奥へと進んで行く。


 廊下を進むうち、体が震えているのに気付く。

 別に、今更寒くなってきたわけではない。武者震いなわけもない。それでも体が震える理由は、自分でも分からなかった。

 代わりに、心が凍えてしまったかのような、冷たい気持ちになっている。


「……まあ、リネルとの生活に慣れ過ぎたわね」


 気付けばそこにいリネルがいる。そんな生活に慣れきってしまった。だからだろうか。隣に誰もいないのが、少し心細いと感じてしまうのは。


「まさか、ね」


 かつては誰も信頼できず、ひとりでいることさえ願った私が、誰かと一緒にいたいだなんて思うわけもない。


 ちょっと前までなら、そう考えていてもおかしくはない。でも今は、少しだけ違う。

 寂しさとは違うかもしれない。それでも、安心感は、少しだけ薄れている。でもきっと、それは私の望んでいたことだから。まだは今、素直に認められていないだけだから。

 今日知ったのですが、両親が結婚記念日を迎えていたらしいです。

 そんな記念日が、私の今後の人生で訪れるのか否か、分かりません。でも、小説に恋を描くにあたって、一度くらいしっかりと恋をしたいな、お付き合いしてみたいな、とは思います。


 それでは!

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