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古代遺跡

 どうもシファニーです! 昨日今日とネットの調子が悪いんですよねぇ。おかげで小説のデータが何回か飛びました。


 第102部、第3章第10話『古代遺跡』です。どうぞ!

「なによ、あれ。人工物に見えるけど……」


 雪山を見下ろしながら空を飛んでいると、何やら灰色の人工物を見つけた。

 リネルに見つけてもらうには高いところにいたほうがいいかとも思ったけど、気になって思わず降り立ってしまった。

 まあ、今考えてみればあのふたりのことだ、なんだかんだ無事だろう。そこまで焦る必要もない。むしろ、再会できたときに自慢できる話のひとつやふたつ、用意しておいたほうがいい気がする。


「へえ、見たことない建物ね。石造り、ってやつかしら。獣人の家かしら?」


 あいにくと知らない造りの家だった。以前、リネルから聞いた話を頼りにするのなら、獣人族の家は土や石を使うものだったはず。


「あ、でも人間かも? 獣人は主に土を固めたレンガ、って言うのを使うのよね。削った石を使うのは人間だったはず。でも、どうして人間がこんなところに? 人間って弱いって話だし、こんなところに来たら凍えちゃうんじゃないかしら」


 考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだ。


 見たところそれなりに大きい街だったのだろう。私たちが住んでいるようなサイズ感の家が、6、7軒ほど並んでいる。所々風化して欠けているようだけど、かなり形を残していた。


「でも、人の気配はないのよね。古いようにも見えるし、遺跡、ってやつかしら。じゃあ、何かお宝が眠ってたりするのよね!? ふふっ、それさえ見つければ土産話には十分すぎるはずよ!」


 リネルが以前、世界のどこかには遺跡というものがあり、過去の文明の名残であるそこにはお宝が眠っていることがある、と言っていた。

 古代の技術やアーティファクト、文明の痕跡。それぞれ方向性は違くとも、かなりの価値があると言っていた。それを見つければリネルも驚いてくれるに違いない。


「今からリネルの驚く顔を見るのが楽しみね! そうと決まれば捜索開始よ!」


 そして私は、時が経つのを、本来の目的を忘れて家々を探し回った。


 どこを見ても生活の跡があり、確かにここで暮らしていた人がいるのだと分かった。ただ、そのどれもがはるか昔のもののように見えた。

 そこにあったはずの思い出や記憶のすべてが掠れ、肥えていない私の目では、この場所でどんな生活が送られていたのか想像するだけ無駄だった。


「こんな状態じゃ何か価値のありそうなものを見つけるなんて無理そうよね……はあ、ぬか喜びだったわね」


 ため息ひとつ吐きながら最後の家を出る。結局、何も珍しいものを見つけることは出来なかった。そのほとんどが朽ち果てていて、なんだったのかすら分からない、そんな状況。

 考えてみれば、私たちが巻き込まれた吹雪に何度も晒されてきた地だ。まともな状態で残っているほうがおかしいのかもしれない。


「仕方ないわね。ここはもう諦めて……あら? あれは……」


 建物群は、そこにいっぽんの道があるかのように規則正しく並んでいた。利便性を考えればおかしいことは無く、特段不思議には思っていなかったのだが、その道の先。一見、上に伸びる斜面にしか見えなかった部分に、少し違和感を覚えた。


 一か所。ちょうど、道幅と同等の幅で、他より雪の積雪量が少ない部分があった。局所的に、1メートル程度だろうか。くり抜かれているようだった。

 そこの地面だけへこんでいたと言われてしまえばそれまでかもしれない。けれど、このまま何の成果も無しに立ち去るのが悔しくて、私は足を向けていた。


「ここ、よね?」


 雪の少ない部分。その壁面に手を付ける。

 ひんやりと冷たい感覚が手に広がり、少し力を籠めれば、手は雪の中に簡単に埋もれてしまう。

 先日の吹雪で積もったものなのだろう。まだ固まっていなかった。


「結構深いのね……あれ、まだ入る」


 手首、肘、と雪に入り、最後には肩まで入ってしまった。すぐに斜面の土につくと思っていたので想像以上の深さに少し驚いた。


「こんなのが崩れてきたら、ひとたまりもないわね」


 見上げれば、私の身長の3倍近く雪が積もっていた。他の部分より少なかったとして、そんなものは誤差だ。これ以上は危険かもしれない。


「ま、面白いものが見れたしそれだけで十分ね。合流したら、また一緒に回りましょう。リネルなら何か面白いものを見つけてくれるかもしれない」


 知識も経験もリネルの方がずっとある。聞けばまた、面白い知識を披露してくれることだろう。


 そこまで考えて、ふと我に返る。


「……私、いつの間にこんなリネルのことを当てにしてたのかしら。意外と、自分じゃ気付けないものなのね」


 思い出すと、途端に心細く感じて来た。

 視線を巡らす。


 廃れた街。人っ子ひとりおらず、静まり返っている。

 その街を覆い込む白い雪。

 その中に、ぽつんと佇む私。


 どこか、自分が酷くちっぽけな存在かのように思えてしまう。

 小さく痛んだ胸元に手を添える。しっかりとした、力強い心音が手に伝わった。

 大丈夫。私はここにいる。そして、私がいる限り、リネルもここにいるはずだ。


 10年前。私はリネルの光になるって、決めたから。


「だったら、早くリネルの下に戻らないといけないわね。さ、お遊びはここまでにしましょう。《エア・フライト》」


 足元に風があつまり、私の体を浮き上がらせる。

 大きく跳躍すると同時足元の雪が飛び散る。それを掻き分けるように上昇し、再び雪山を見下ろすために大空へ――


 昇ろうとした、その時。背後で大きな物音が響いた。

 思わず振り返る。その音は、先程リィナが手を入れた雪が鳴らしたものらしい。崩れ、背の低くなった雪の塊。周囲一帯の地面を覆いつくしていた。


「あんまり刺激しないで正解だったわね。あんなのに潰されたら抜け出せない……ちょっと待って。あそこに見えるのは……」


 崩れた雪のその向こう。背が低くなったことで露になったその姿。


「下に続く……階段?」


 雪に覆われていたのは、下へと続く階段。その、入り口だった。

 明日は公立高校受験の日らしいですね? 私も3年前の明日、受験に挑んだわけです。

 思い返せば高校生はただひたすらに小説を書き続ける日々だったような気がします。それでも何とか卒業し、大学にも行こうとしているので、ほど良く手を抜いても何とかなるもんだったんだなぁと思っています。高校受験当時に期待していたことはほとんど現実にはなりませんでしたが、逆に思っても見なかった収穫もたくさんありました。

 まだ人生生きて精々18年と少しの身ですが、これから高校に入学するという人に一言。

 苦しいとき、辛いときに戦うべき相手を間違えないでください。本当の敵を見据え、戦うことが出来たのなら、最後には笑えているはずです。私の敵は自身の体調不良でした。私はそれを克服して、今は少しだけ、3年前より幸せになっています。

 受験前日に私の作品を読んでいる受験生もいないかとは思います。でも、いるかもしれないその人に向けて、エールを送ります。


 頑張ってください! 私も頑張ります!


 それでは!

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