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雪山の教会

 どうもシファニーです! 3月3日。ゾロ目の日ですね。別に落ちはありません。


 第101部、第3章第9話『雪山の教会』です。どうぞ!

「リネルも食べる?」

「え? いや、俺はもういい」

「そう?」


 巨身。あの岩のでか物を倒した後、俺たちは野イチゴを大量に収穫した。と言ってもかさばる関係上そこまで多くはない。食べてみた分かったが、やはり腹にもたまらない。心なしか思考はクリアになったが、ほんの気休め程度だ。


「……ってあれ。なあヒセ、あれなんだと思う?」

「ん? ……なんだろ」


 野イチゴの茂みを越えた向こう。今ちょうど巨身を倒すために下ってきたところだが、もうさらに少し下ったところ。その開けた場所に、何か、人工物のようなものが見えた。

 まさかこんなところに、と思って目を凝らして見るが、やはり人工物に違いない。石造りの建物のように見えた。見たところそこまで大きな建物群ではない。2、3個の建物のように見える。はっきりしないのは、そのどれもが崩れかかっているから。

 

「まさかこんなところに人工物があるなんて……」

「おっきな、建物?」

「だな。かなり大きい」


 教会、を真っ先に思い浮かべた。そのくらい大きな建物に見えた。

 ここに来るまで見えなかったのは、それがちょうど高台の下にあったのと、上の部分が崩れていたからなのだろう。


「じゃあもしかして、やっぱりさっきの岩は意図的に作られてたのか?」

「守護兵?」

「そう言うやつかもな。ならこれは重要な施設なのか?」

「そうかも」


 まず、こんな雪山にある時点でただの建物ではない気はする。ただ、それ以上にあんなものに守られているのが気になる。


「調べてみる?」

「ん」

「だな」


 建物である以上、リィナが身を隠している可能性はある。ただそれ以上に、少し好奇心を揺さぶられていた。

 

 神器は大抵、こういった秘境にある。今回の人生での目的は神林弓だったが、神器を見つけられるならそれに越したことは無い。神器が無くとも何か珍しいものがあるかもしれない。


 リィナには申し訳ないが、もう少しだけ待っていてもらおう。きっとリィナだって、こんなものを見つけたら入りたくて仕方ないはずだ。


「じゃあ行くぞ、ヒセ」


 頷いたヒセを見て、斜面を降りる。

 降り立ってみると、建物たちの詳しい外見が見えて来た。

 崩れてもなお全長3メートルほどある、最も大きな建物が教会に見えたもの。他に、その教会のすぐ隣に一般的な一軒家のような大きさの建物が、2つ。

 まるで、教会を守るように置かれていた。


「駐屯所みたいな感じか? それとも管理人の家とか?」

「見てみればいい」

「それもそうだな。まずは1番大きい建物を見てみよう」

「ん」


 外装の内、1階部分は比較的損傷が少なそうに見えた。

 正面と思われる方に向かえば、扉が健在だった。

 木製で両開きの扉。力を込めて開こうとして、気付くと扉が無くなっていて前のめりになってしまった。

 直後に音が足元で響く。扉の金具が壊れていたらしく、軽く押しただけで外れてしまったようだ。


「ボロボロ」

「そうだな。……こりゃ、何があったんだ」

 

 教会の中には2階より上の部分のものだろうか。瓦礫が大量に散らばっており、足の踏み場も無いようだった。その上、天井が無いので雪が降り積もっている。

 辛うじて見える限りを観察すると、長椅子がいくつも並べられており、やはり教会のようなものだったと分かった。割れているがステンドグラスのようなものも見えた。


「明らかに人工物だし、人間のものに見えるな」

「人間? エルフでも、獣人でも、ドワーフでもない?」

「たぶんな。シンラシンラにはこんな造りの建物は無いし、獣人だってこんな建築技術は持ってないだろ? ドワーフは寒さに弱いはずだし」

「確かに。でも、なんで、こんなところ?」

「分からんな。ただ、確かに開拓の余地がある場所ではある。ずっと昔に訪れた人間が作ったものなのかもしれないな」


 風化が酷く、少し力を籠めれば崩れそうな壁ばかり。数十、数百という単位ではない気がする。もっと昔、1000年近く昔のものではないだろうか。


「ただそうなると、人間でもこんな建築技術は持っていなかった可能性が高いんだよな。やっぱり、精々200年前くらいに建てられたものか? そのくらいなら作れるはずだし……。決していい環境ではないから風化が速かった、という見方も出来るよな」

「……ヒセ、よく分かんない」

「え? ああ、ちょっと難しい話だったかもな。まあとにかく、俺にも詳しいことは分からないって意味だ」

「なるほど」


 小さく頷いたヒセは、一際大きな瓦礫を越えた先、長椅子のひとつに腰掛ける。

 俺はそれを横目に瓦礫を掻き分けながら探索する。時期は分からずとも昔のものに変わりはない。何かアーティファクト的なものがあるかもしれない。

 俺にはもっと、なんでもいいから力が必要なんだ。何かあればそれに越したことは無い。


 それからどれくらいの時間が経っただろうか。

 いつの間にか空は茜色に染まり、長椅子の上のヒセは丸くなって眠ってしまっていた。

 こんな秘境の中で寝るとは暢気なことだ。それともあれでちゃんと周囲を警戒しているのだろうか。


 暗くなると探索は難しい。火を焚いて明かりを確保することも出来るが、無理することは無い。ちょうど風くらいは防げそうな場所にいるので今日はこのまま休もうかと思った、その時。


 瓦礫を越えようと手をかけた壁が崩れた。


「うおっ、危ないな……。何だ、これ?」


 崩れた壁のその向こう。そこは建物の外ではなく、まるで隠すように全方位を覆われた空間。らせん状の階段があることから、元々あったはずの上の階からなら通ることが出来たのだろう。


 その階段は、深く下に伸びているようだった。

 結構ギリギリになってしまったのは、最近はまっているゲームのせいです。後悔しています。反省はしていません。

 ただ、毎日2作品更新だった頃より大分余裕はありますね。毎日更新するのはこの作品だけでよくなりましたから。まあ、今日は2作品投稿する日なんですけど。


 それでは!

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