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7 台風の目

台風の目は大人がやると迫力あります。

「じゃあ次は台風の目いってみましょうか」


「台風…嵐のことか」


「そうですが、これはどちらかと言うと竜巻のような」


「風魔法か?」


「…イイエ、そこまですごいんじゃないです、スミマセン」


 二人三脚をしても時間が全然余っているので、台風の目をすることにした。


 棒術?用の棒があったのでそれを使う。4人一組で棒に掴まって走って行き、三角コーンを回って戻って来るあれだ。三角コーンはないので、建物の周りに転がっていた丸太を立てた。


「気をつけないと外側の人が振り回されますよ。棒から手を離した人がいたら、その場所まで戻ってそこからやり直しです」


 今度は私とアレクさんとモーガンさん、そして階段のところで見張りをしていたロニーさんという優しげな雰囲気の人とで見本を見せることにした。


「あの、私は脚が遅いので、ゆっくりお願いしてもいいですか?」


 スタート前に3人にお願いすると、揃って「もちろんだ」と言ってくれた。私、さっき転びかけましたもんね。


 4人で棒を掴んで走り、ぐるっと回ってスタート地点に戻ると、隊員さんたちは


「ロニー、どんな感じ?」


「外側は相当引っ張られる」


「内側は力がいるな」


「走る速さを合わせる必要がある」


と質問し合っていた。


昨日の徒競走のグループで分けようかという話になりそうだったので


「良かったらグループ作ってみましょうか」


と提案してみた。


 同じくらいの脚の速さで組んだら昨日の第1走者が勝っちゃいそうだし、それではつまらない。みんなはよくわからないなりに同意してくれたので、「猛獣狩りに行こうよ」をすることにした。


「も、猛獣狩りに…?」


 最初に聞いた時はみんなの顔に緊張が走ったが、説明すると妙な顔になった。そりゃそうか、小学校低学年でもできる遊びだものね。


 でも勝負だけに偏るのはつまらないし、運動会は楽しさもなければと思う。みんなにこの世界の動物の名前を聞くとなぜか前の世界の動物と同じ物だった。


 考えてみれば食べ物も一緒だし、やっぱりどこかゲームや物語の世界に来てしまったのかもしれない。確かめる術はないし…考えても仕方ない。戻って大怪我してても困るのだから。


 まあ、そんな感じで始めたものの、


「猛獣狩りに行こーよ!」


「猛獣狩りに行こーよ!」


「猛獣なんてー怖くない!」


「猛獣なんてー怖くない!」


 腕を突き上げて私に続いて声を出す隊員たち。すごい光景だ。


「やーりーだって持ってるもん!」


「やーりーだって持ってるもん!」


「おい、ヤーリーってなんだ?」


「槍だろ、槍、動物を攻撃する時に使う」


「ああ…エリカ殿は槍使いなのか」


「違います!私は槍なんて使いません!いいから続きをしますよ。はい、鉄砲だって持ってるもん!」


「鉄砲だって持ってるもん!」


「鉄砲ってなんだ?」


「やっぱり武器なんじゃないか?」


「はい、そこ、真剣に!」


「はいっ!」


「ラーイーオーンー!」


「ラーイーオーンー!お、四文字だ!」


わーっと4人組ができてその場に座る。大人っていいな、話をよく聞いてくれる。


「まだまだいきますよ!猛獣狩りに行こーよ!」

「フーラーミーンーゴ!」


「フーラーミーンーゴ!5文字だ!」


「フラミンゴってなんだ?」


「知るか!」


フラミンゴは知られていないようだ。

「アーヒール!」


「アーヒール!」


「アヒルって猛獣か?」


「いいから!3人だ!」


 そんな風に猛獣狩りをそれなりに楽しんだあと、「シマリス」で4人組になり、台風の目で雄叫びをあげながら勝負したみんなはまたしても地面に寝転んで笑っていた。


 いや、小柄な人を外側にしてぶん回してスピードアップって…あんな作戦ありなんだ?

お読みくださり、どうもありがとうございます。気の良い隊員たち、大好きです。グループ分けの遊び『猛獣狩りに行こうよ』はご存知ですか?

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