表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

94/244

54.奪って検査を受けますけど何か?

10分もしないうちにドワーフの回収が終わった。

後は敵の司令室の人員と、この基地に入ってきたときに探知した人間と共にいるドワーフたちを救出するだけ。


「なら、優先順位は司令室の方が高いか」


俺は風魔法で敵兵の死体を浮かび上がらせ、司令室だと思われる場所に突入させる。

1カ所他の探知できない部屋と明らかに違う扉があったから、そこを残しておいたんだ。案の定それ以外の部屋に司令部はなかったから当たりなのは確かだ。


「来たぞぉぉぉぉお!!!!」


「撃てぇぇぇぇ!!!!!!」


司令室から怒号が飛ぶ。直後、俺が放り込んだ死体達は蜂の巣となった。

が、俺としては実質損害ゼロだ。魔力をちょっと使った程度であり、


「この程度で司令部が制圧できるなら安いものだ」


「「「「ぐわあああああぁぁぁぁぁ!!!??????」」」」


扉さえ開いてしまえば、中を魔法で制圧するなど簡単なこと。俺が入る前に全員の捕縛が完了した。

後は捕虜として使えそうな、重要な情報を持っていそうな奴らを気絶させて捕虜として使えるようにした後、


「では、適当に味方のいないところに主砲を打ち込んでおくか」


俺の味方がいないところ。そして、敵はいるところ。そこに主砲を数発打ち込むように魔法で設定しておく。設定するのは打ち込むことだけだから、そこにたとえ後から味方が入ってきても止めることはできないのだが、…………何もないことを祈るとするか。


「そしたら今度はドワーフか」


俺はまた走る。次は残ったドワーフたちの救出だ。

基地の通信のログが横目に入ったのだが、そこには数分後に救援が到着するという旨の連絡が来ていた。急いだ方が良いのは間違いないだろう。


すぐに到着した俺は、武装している人間をまずは把握する。

そして、そいつらを全員拘束した後で状況確認だ。


「……ん?」


内部の様子を目で見て確認し、俺の思考は一瞬止まる。そしてその直後、「ちっ!」という盛大な舌打ちを隠すこともなく行なった。

何せそこには、


「「「「あ゛ああぁぁぁ」」」」

「「「「う゛ううぅぅぅ」」」」


多くの人間とドワーフたち。彼らが、虚ろな目をして遠くを眺めていたのだから。

……確実に何かをされたのは間違いない。精神的に壊れているようにも見えるな。非常に面倒な状況であり、本来ならここで時間をかけて精神状態の把握を行なわなければならないのだが、


「全員回収するほかないか」


とにかく今は時間がない。

俺は虚ろな目をしたものたちを、人間含めて風魔法で回収していった。


ドワーフに、司令部の中で確保したものたちに、精神の壊されたものたち。

これらを全て俺たちの船に乗せるのは難しいため、俺は新しく敵の船を1隻奪ってそこに捕虜達を詰め込む必要があった。


滑走路のようなモノは無いが、頑張ればギリギリ出られそうな穴は空いている。小型艦ならこの基地から出ることが可能に思えた。

俺は連れて行くものたちを全員足の速そうな小型艦に詰め込み、ついでに全員揃うまでに余った時間で幾つかの目をつけておいたドワーフ作成と思わしき道具も詰め込んでおく。


「そしたら起動して……出る!」


慎重に、それでいて迅速に船を動かし、俺は基地から脱出する。そして近くに来てもらっていた大型艦に援護してもらいながら敵の包囲に空いた穴に突っ込んでいった。

……死神の活動をしてなかったら、確実にこんな運転はできなかっただろうな。訓練も日頃からやっているが、実戦経験というのもまたとても大事なものだと俺は感じる今日この頃だ。


『大佐!聞こえますか!』


「ああ。問題ない」


『聞こえるんですね!良かったです……それでは、30秒後に簡易スキャンをこちらで行ないますので、簡易ドッキングの用意をお願いします』


「了解した。30秒後にセッティングしておく」


他国の船同士なので、本格的なドッキングはできない。そのために行なうのが簡易ドッキングだ。

これはどちらか、今回の場合は向こうの船が線を無理矢理こちら側に繋げるというものになる。ただし、損傷は最低限に抑えられるようにはしてあるが、な。

この作業も、敵から逃れるためには必要なことだ。この船に発信器の類いがつけられていると、敵の追跡を振り切ることもできない。


『ドッキング開始します!』


指定された時間となり近くまで来ていた大型艦からラインが延びてくる。そして、こちらの船のコントロールがジャックされる。モニターのいくつもが赤く光り警告を発しているが、それは無視だ。

俺はけたたましい警告音が響く中、じっとスキャンが終わるのを待つ。


それから10秒も経たないうちに、検査結果が届いた。

それを見てみれば、


「敵もしっかり対策を立てていたのか……」


そんな感想が出てくる結果となっていた。

なにせ、ドワーフ製と思われる通常ではスキャンできないようなものまで検出されたのだから。向こうもドワーフに事前に色々と作らせていたようだ。事前にこちらもドワーフにスキャンプログラムを作ってもらっていて良かった……。

海外製品買ったとき、コードの差し込み口が合わないことってよくありますよね……………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 他国の船同士なので、本格的なドッキングはできない。そのために行なうのが簡易ドッキングだ。 これはどちらか、今回の場合は無効の船が線を無理矢理こちら側に繋げるというものになる。ただし、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ