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52.穴開けましたけど何か?

危なかった。危うく敵の最大威力の攻撃に飲まれて船が消失するところだった。俺の咄嗟の判断は正しかったわけだ。


「ま、まさか味方ごと攻撃してくるなんて」

「数が居るとは言え、そこまでしますか……」


「部下をなんだと思っているんでしょうか…………許せません!」


部下達はその殺意の高さに頬を引きつらせ、ダリヤは味方ごと敵を攻撃するなんて言う発想がなかったのか少なくない怒りを感じているようだ。

攻撃で減ってしまった戦闘機体で、何としても敵に後悔させようと奮闘しているな。


ただ、味方ごと攻撃するのは珍しいだけで作戦としてないわけじゃないんだよな。だから、俺たちの軍もやる可能性がなきにしもあらずなんだが……その事実は伝えない方が良いよな。とりあえず今伝えると、とんでもなく精神が乱れることになりそうだ。


「ただ、お陰で穴ができた。突入だ」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


基地が包囲陣に穴を開けたことで、俺たちはその穴を通って敵の防御内部に入り込むことが可能になった。ということで俺の乗る船はその穴を通って基地へと接近していく。

当然敵はそれを止めようとして、俺の乗る船にターゲットをとるようだが、


「ブースターの準備完了しました!」


「よし。ターゲットを振り切れ!」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


ブースターを吹かし、高速で進む。突然の速度の変化に敵は追いつけず攻撃はほとんど当たることがなかった。

当たるのは大抵範囲に特化した威力の低い攻撃ばかりで、大してシールドも削られずに済んだな。


「では、小官は乗り込む。カタパルトの用意を」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


名称はカタパルトだが、蒸気機関とかピストンとか全く使用しない射出装置の用意をさせる。ここでかなりの負荷が俺に掛かるのを代償に、小さな戦闘機体でブースターを使う以上の速度で基地に侵入することができる。

……ただ、その速度が出るのは一瞬だから、普段は絶対こんなことしないけどな。


「では、行って参ります」


「はい!お気をつけて!」


ダリヤに一応出ることを告げてから、俺は突撃用の戦闘機体に乗る。そして、


『衝撃に備えてください。これよりカウントダウンを行ないます』


俺の耳に、少し緊張の色が混じった声が聞こえてくる。大事な場面だから、たとえ自分に責任のある何かをするわけじゃないというのが分かっていても穏やかではいられないだろう。

震えた声で、カウントダウンが始まった。


『……3,2,1,0.発射します!」


その声とほぼ同時に、俺の身体へ急激に負担が掛かる。俺が風の魔法を使ってできる限り緩和して、それでも負荷が激しい。

だが、その負荷はほとんど一瞬であり、気付いたときには、


ガンッ!と重い音がして俺の乗る戦闘機体は停止していた。一息つきたいところではあるが、残念ながらそんなことをしている時間はない。

俺はすぐにコックピットのハッチを開き、


「内部に侵入は……できているか」


基地に入ることができたことを確認する。

それから、閉じそうになっている周囲のシャッター的なものを風魔法で強制停止!高い空気の圧力で止めるという力業である。

とはいえ向こうの閉じる力もかなりのもののようで、普通は壊れるはずのないシャッターがあり得ないくらいひしゃげているぞ。ああなってしまえばもう、区画を遮断する意味で使用することは不可能だろう。


「高さ的に考えれば、通る人間の上で上下させて頭を強打するのはできそうだが」


できそうではある。だが、それをするかどうかは別問題だろう。俺にそんなことしてもダメージを受けないのは向こうも分かっているだろうし、俺以外でシャッターの下を通る排除したい存在などいないだろうから。

どちらかと言えば、


「ギャアアアアァァァァァ!!!??????」

「な、なんで穴がぁぁぁ!!!????」

「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁ!死にたくないいぃぃぃぃぃぃ!!!!」


突然できた穴から気圧の関係で飛んでいてしまう味方を止めたいくらいだろう。……勿論、俺が積極的に外に放り出てしまうように操っているから無理だろうが。


……さて、そうして敵を放り出している間、俺は同時にドワーフの探知を進めた。

結果として、探知自体は簡単に済んだ。数人のドワーフが固まっていて、その周りに沢山の人間もいる。

お陰でどれが工作員や奴隷で、どれが敵兵なのか分からないぞ。困ったものだ。


「まずはドワーフのみの安全を確保。それから接近で良いだろう」


ドワーフの周りに魔法のシールドを作っておく。これで強力なレーザーでも撃たれない限りは死ぬこともないだろう。

そうしてドワーフたちの安全を最低限確保したら救援に向か……いたいところなのだが、


「先にやるべきことがありそうだ」


俺は走る。区画を閉じられないうちに。

そして目指すは、俺の風魔法で探知できなかったところ。

実はそんな場所が数カ所あったんだよな。俺の探知は風魔法による空気の流れを読み取るものであり、俺の触れている空気と無行為の空気が続いていないと使えない。


つまり、部屋の外と中で空気の流れすらないように完全に遮断すれば俺の探知は効かないのである。

そんな場所だと流石に扉をぶち破って強行突入するというわけにも行かず、俺の足を使うしかないわけだ。

少し読者の皆様へご相談です。


作品のレベルを上げるため、常日頃から作者は作品いたり無い物を考えています。そこで最近気付いたのですが、

この作品って、主人公の成長要素がないんですよね。

一応仲間を増やしたり逸脱者を小出しにしたりすることで全体としての戦力の向上を演出してはいるのですが、やはり主人公の成長というのは別物なのでしょうか?


明らかにこれ以上成長すると強さがインフレを起こし出すのですが、皆様は主人公ゴトー君の成長、どう思われますでしょうか?

よろしければ感想等で教えて頂けると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公はとくに無理に成長しなくて良いと思いますし、成長要素をもし出すなら仲間の成長で部隊が強くなる方向かと思います。すでに仲間の追加で部隊は強くなってるわけで、ある意味成長要素もあると言えな…
[良い点] 主人公の成長、無責任艦長タイラーの例もあるから自分は気にならないですね (運だけで切り抜けるお調子者ムーヴしてるけど、それが全部計算だったってやつ)
[一言] 既にぶっ壊れスペックなので、現状の全体としての戦力の向上で良いと思います。
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