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7.勲章獲得できますけど何か?

「間に合ったか」


俺はアームの取れた1機の戦闘機体を見て、小さく呟く。その戦闘機体に乗っているのは隊長、つまりセシルだ。セシルの乗っている機体は、乗っているセシルが死ぬとでも思っていたのか固まって動かないまま。

ただ、俺としてはそれでも構わない。


「敵は小型艦4隻だ。我が艦隊でも充分余裕を持って殲滅できる数である。時間はかけて構わんから安全面に重きを置いて行動せよ!」


「「「「イェッ、サー!!!!」」」」


敵が弱いと感じたからか、それともセシルを救出できたからか。部下達はいつも以上に気合いの入った返事をして仕事に取りかかる。

俺たちの艦隊、合計9隻が小型艦4隻に襲いかかるのだ。敵はろくな抵抗をすることもできずに溶けていく。


「小型艦を破壊次第、隊長を救出して戦線を離脱する!」


「「「イェッ、サー!!」」」」


俺たちは敵艦4隻を沈めて、固まっていたセシルを回収。そして、早々に基地へと入る。

基地では物資の補給も可能で、少しお高いが夜のサービスも受けることができる。基地に来る人たちは命がけだから、当然料金も高い。……というか、こんな所までそういう仕事を求めてくる辺りが商売魂の強さを感じる。

部下の何人かには休憩を言い渡すと、そう言うお店へ我先にとかけていく者もいた。他のものたちも酒を飲んだり賭け事にいそしんだりと忙しそうにしている。

そんな中真面目な雰囲気を出しているのは、俺とセシル。そして、その護衛達だ。


「隊長。あまり勝手なことをされると困るのですが」


「すみません。……しかし、勲章が!実績が必要なのですわ!危険だとしても、明日も私は機体に乗ってでます!」


俺が注意してもセシルは首を横に振り、決意のこもった表情で宣言を。俺はこれに苦笑いをする程度だが、そうしていられないのが護衛達。


「いけませんお嬢様!」

「そのような危険なことはおやめ下さい!」

「危険すぎます!」


必死にそれを止めようとしている。だが、本気でセシルが戦場に出ようとすれば護衛達でも止めることはできないだろう。

何せ、セシルの部下には俺を含めた艦隊の人間がいるからな。護衛達の邪魔をしてセシルが機体に乗り込む時間を稼ぐくらいはできる。

とはいえ、俺から言わせてもらえばそんなことは面倒だ。やめて欲しい。だからこそ、


「隊長」


「な、なんですの?大尉」


「わざわざ小型艦を10隻も堕とす必要は無いかと」


「へ?……な、なぜですの?」


俺の言葉に首をかしげるセシル。その護衛達も同じように怪訝そうな顔をしていた。護衛達は俺がセシルに変なことをさせるつもりでは無いかと警戒しているのかもしれない。

ただ、特にそういうわけではなく、


「隊長はすでに戦闘機体で敵兵200人を殺害していますので、勲章が貰えるかと」


「「「「……へ?」」」」


なんてことをセシルに告げてから数日後。セシルは王城にやってきて、


「勲章を授与する」


国王から勲章を受け取っていた。新品の軍服に装飾が1つ増える。俺はその式典の中、ひたすら王子から睨まれ続けていた。貴族の数人からも鋭い眼差しが向けられているな。

だが、貴族達が俺に何か言ってくるより先に、


「王子。私はしっかりと実績を出しましたわよ」


「っ!……良いだろう。婚約だな?検討してやろう」


セシルの言葉で表情を大きくゆがめながらも、王子はなんとか精神を保たせる。ただ、微妙に歯ぎしりのような音が聞こえるな。

そして予想通り式典が終わった数分後、


「どういうことだ!説明しろ!」


俺は王子に呼び出され、説明を求められた。王子の周りには屈強そうな護衛が何人もいて、俺を鋭い眼差しで睨み付けてきている。ただ、俺は軍人だしそういうの慣れてるんだよな。あまり効果は無いんだが。

とは思いつつも、そんなことをいって王子の神経を逆なでする必要は無い。だから簡潔に、


「まずはこちらをご覧下さい」


俺は装置を起動し、立体映像を出現させる。そこには、広大な宇宙を飛び回って付近の戦闘機体や小型艦を破壊する1機の戦闘機体が映っていた。


「こちらが今回小官の上司として戦艦に乗っていた方が戦っている様子です」


「ふん!だからどうした?」


言い訳など聞きたくないという風な視線が向けられる。このままだと下手したら首を取られかねない雰囲気だな。

……だが、


「ご覧頂いて分かるように、明らかにこのパイロットは強いです。それこそ、貴族のご令嬢とは思えないほどに」


「だから?」


「これに乗っているセシル様は、影武者なのでは?」


「……ほぅ?」


王子の表情が変わる。つまり、俺が言いたいのはこうだ。


「ご覧頂いて分かるように、明らかにこのパイロットは強いです。それこそ、貴族のご令嬢とは思えないほどに(セシルちゃん強すぎるから偽物じゃね?)」


「このセシル様は、影武者なのでは?(偽物殺しても意味なくね?)」


という感じ。それに王子は理解を示したわけだ。

だからこそ、


「偽物ならこちらにも手がありまして……」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] すぐに王様に会って勲章をもらっていたのが少し気になりました
[気になる点] 「「「「イェッ、サー!!!!」」」」が気になる 「了解!」とかじゃだめなんですかね?
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