表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/244

36.大問題が隠れてましたけど何か?

《sideとある基地の司令官》

まさかこんな簡単な方法でひっくり返されるとは思わなかった。

そして、こんな方法で瞬時に対応してくるほどの敵が惑星にいるとは思っていなかった。普通惑星を乗っ取る奴らはそれに特化してて、宇宙のことなんて話し出したらもめることが多いって言うのに。


「す、すぐに退避に入ります!」


「そうしてくれ!私の方から基地の放棄を通達する!」


「了解しました!」


金食い虫が現われた場合、通常はその場を放棄してさっさと逃げる。奴らは食べるモノさえ無くなればどうとでもできるようになるから。

少しでも、少しでも速く逃げてもらわないと死んでしまう。私はすぐにこの基地を放棄するように部下達にも連絡した。

すでに退避行動に入っているものもいたが、一部の頑固だったり生真面目だったりする奴らはもたもたしていたので急がせた。基地よりも人命の方が大事だと何故すぐに分からないのか。


「っ!ほ、報告が入りました!金食い虫によりすでに警備用艦隊が3つ壊滅したようです!」


「そうか……」


すでに死者が出てしまっていた。そして、予想以上に速く基地に金食い虫が到着してしまった。

……これはもう、多くの犠牲が出る覚悟をした方が良いだろう。


船に乗せることで金食い虫を一時的とはいえ高速で運ぶなんて、ぶっ飛んでる。しかもそれを瞬時に判断して送り返す形で行なうなんて、信じられない。


「いったい敵は、何者なんだ……」


私はまだ見ぬ敵の優秀な地上部隊に、少なくない恐怖を感じた。私の目の前では、いくつもの船が食われ、基地がその体積を小さくしていく。

私はそれを、ただ見ていることしかできない。




《sideゴトー・アナベル》

どうにかなったようだ。警告音もとまったし、念入りにセンサー類で調査しても金食い虫の残りは確認されない。


「まったく……焦らせてくれる」


俺は久しぶりに感じた激しい焦りを思い出しながら、背もたれに身を預ける。どうにかなったわけだが、運が良かっただけだな。本当に今のは危なかった。

少しでも間違えていれば死んでたぞ。


こうしてどうにか生き延びた後、艦隊が迎えに来てくれた。

船の方に録っておいたデータを移し替え、惑星の管理を味方の軍に任せて獲得した惑星から去って行く。俺たちは、艦隊1つの戦果としてはあり得ないほどの戦果を得て、作戦を終わらせた。

惑星から一度軍の本部まで戻ることになっており、俺たちはその帰還の間、


「え?惑星はそんな風に奪って、支配できるものなんですの!?」


「風の魔力の価値が私の中で大きく変わったのですが……」


「しかも、この破壊した船、何ですか!?大きすぎません!?」


俺が惑星降下のこととその後のことを伝えたり。


「あぁ。やはりお忘れになっていたのですね……」


「も、申し訳ありませんわ」

「ま、まあ、それで私たちが金食い虫にやられずに済んだんですから良いじゃないですか」


「ダ、ダリヤ様。流石に私、それはひどいと思います……」


セシルとダリヤが俺の予想通り敵を倒すのに夢中になって俺を迎えに行くのを忘れた話をされたり。

他にも、基地の奪還に成功した話もあった。基地の武装は破壊した上で地上戦のできる部下が乗り込んで終わらせたらしい。

俺が魔法を付与して作った武器なんかも使ったらしく、こちらに死人はいないようだ。

ケガ人はいたらしいが、この近未来で怪我なんてすぐ治るものだからな。本当に死ななければかすり傷、というかないのと同じレベルだし。


で、基地が奪い返せて敵艦も多くの足を潰して動けなくして、敵側が動けない状況を作った。その結果味方の軍と協力して、投降してくる捕虜を捕まえる作業まで行なったんだとか。

そりゃあ遅くなるよなって話だ。


「……ただ、そこで重要なことが分かりましたの」


捕虜の話が終わったところで、セシルが声を細めて俺にそう告げてきた。

何やら真面目な話になりそうだな。


「重要なこと、ですか?」


「そうですの。……なんと、敵の中にドワーフがいたんですわ」


「ドワーフが?……あのドワーフですか?」


「ええ。そうですわ」


セシルは頷く。

敵の中に、皆さんご存じファンタジー生物名ドワーフがいたというのだ。


これなのだが、普通は考えられないことだ。

ドワーフという生物は人間と同じように2足歩行で言葉を話すのだが、遺伝子的に大きく違うところがある。それが、戦いをあまり好まないと言うことだ。


「ドワーフが戦争に参加するなど、あり得ないと思うのですが?」


「私もそう思いましたわ。そこでよく見てみると…………これがあったんですの」


セシルはそう言って、両手で自分の首を掴むようにする。

それは自分おくびを締めて自殺、と言うわけではなく、


「奴隷、ですか」


セシルが表したのは、奴隷の首輪だ。

つまり、ドワーフは奴隷だったと言うこと。


「そうなんですの。これは、大問題ですわ」


これは大問題も大問題。

国が揺らぐレベルの大問題だ。

やっと触手と危険生物以外のファンタジー生物を出せた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 誤字報告です ▶︎で、基地が奪い返せて敵艦も多くの足を潰して動けなくして、敵側が動けない状況を作った。その結果味方の軍と協力して、(登校)してくる捕虜を捕まえる作業まで行なったんだとか。  …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ