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35.危険生物は送り返しますけど何か?

できるだけこの作品はネームドキャラが少ないようにしているですが、やはり人物紹介など必要でしょうか?

それは、一般の船を送り出した直後のことだった。俺が眺めていたモニター類が全て赤く光り出し、

ピーピーピー!と、けたたましく警告音が鳴る。


「な、何だ!?」


流石に俺もこの警告音には心を乱す。なにせ、この警告音は船が接近してきたときとは違う、全世界、というか全宇宙共通の警告音であり、


「し、指定危険生物!?」


指定危険生物。それが現われた証拠である。

俺の手が震えるのが分かった。


指定危険生物が何かと言えば、それは宇宙で人間に限らず多くの生物の命を危険に晒しかねない非常に危険な生物たちのことを言う。今回、その生物の中の1つを感知したらしい。

それがなんなのかと急いで確認をしてみれば、


「……うっそだろ。金食い虫か。またエグいのが出てきたな」


金食い虫。

危険指定生物の中でも特に有名な生物の中の1つだ。

別にこの生物を飼っているとお金が掛かるというわけではない。


名前の由来は安直であり、その生物が金属を食べることからきている。

体は小さく、大きくても2m程度。生まれたばかりの個体だと2,30cmだ。

非常に弱い生き物であり、ナイフで刺せば一撃で死ぬ。金属を主食にしているから金属と同じくらい固いなんて言うことは全くない。

個体としては非情にか弱い生物だ。


では、なぜ指定危険生物となっているのか。それは、単純に金属を食べてしまうからというわけではない。


君たちは、人間が体内に金属イオンを含んでいることを知っているだろうか?

有名なもので言えば、鉄だろう。鉄分がどうこうとか言うし、実際血液中には大量の鉄分が含まれている。


この説明でピンとくるかもしれない。

なんと、金食い虫は生物の体内にある金属イオンも好むのだ。人間がいればそこに群がっていき、あっという間に全身を食べられてしまう。

たとえパワードスーツや宇宙服といったもので身を守っていたとしても、そう言ったものもまた金属を含んでいるためあっという間に食い破られてしまう。


そして何より驚異なのは、その繁殖力だ。

金食い虫は一定量以上の金属を食べると子供を生み出す。そして、その子供というのが生まれた瞬間から活動できるものなのだ。そのためあっという間に繁殖していき、周囲の金属に群がって食事をしていく。

そのため俺たちのような人間は、見た瞬間死を覚悟した方が良いと言われているほどだ。


「で、そんな危険生物が近くまで迫ってきている、と」


近く、それはもうものの数分でこちらへ届きそうな程まで迫ってきている。……いや、迫って来てい()

何故「いる」ではなく「いた」なのかと言えば、


「船に取り付いてくれたか」


船。俺が暇つぶしに送り出した船。それに取り付いてくれたのだ。それによって、惑星から船が離れていくことで自然と金食い虫も惑星から離れていくことになる。

今頃送り出した船は食われてボロボロになっていることだろう。

あいつら、何故か知らんが誰かが魔力を流していない状態だとシールドを突破していくし。


「怖いし、もう少ししたらまた無人機送りだそう」


そうすれば、どんどんこの惑星から離れていくようになるはずだ。餌である無人機に取り付いて動くはずだから。


「しかし指定危険生物とは、敵も厄介なものを出してくる」





《sideとある基地の司令官》

私の頭脳が冴えたな。なんとなく嫌な予感がして準備させていたら、なんと予感は当たってあの皇太子が宇宙の塵となってしまった。そして、私の準備させていたものを使うことになったわけだ。


「まさか金食い虫を利用するときが来てしまうとはな」


「良いではないですか。今回使用した金食い虫が上手く惑星を破壊すれば、正式に研究は認められるわけですよ!」


「ま、まあ、それもそうなんだが」


部下はそう言うし、実際私もそうあって欲しいと思っている。今は司令官なんてやっているが、私としては研究者の方が性に合っているからな。こんな責任の大きい仕事なんてほっぽり出して、自由に研究したい。


……あぁ~。しかし、何故だろうか。非常に嫌な予感がする。なんだか私の勘は、今すぐこの基地を飛び出してしまった方が良いといっているぞ。

面倒な上司が視察にでも来るのだろうか。


「…………ふむ。すむない。少し気になることがあるから外に出たい」


「外、ですか?外というと宇宙に?」


「ああ」


「わ、分かりました、数分後に巡回の船が出ますので、そちらにお乗りください」


「分かった」


私は部下の誘導の通りに船に乗り、見回りの船に同乗させてもらった。お陰で、少し私の嫌な予感も緩和されたような気がする。


そんなことを思った直後だった。

突然ピィピィピィ!とアラームが鳴り、私たちの鼓膜を揺らした。

この警告音は、


「た、大変です!指定危険生物が感知されました」


「なっ!?」


指定危険生物。

その単語で頭によぎるのは、私の研究で使用した金食い虫。惑星に向かって使ったはずだが、なぜ……


「……分析届きました!内容は……確認されたのは金食い虫!無人の船に取り付いた状態でこちらに向かってきているとのことです!


「な、何ぃ!?」


私の嫌な予感は当たった。

それも、予想以上に最悪な方向で。

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