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28.これが地上特化殺戮兵器ですけど何か?

ついに地上戦が書けました!

ゴトーの本領がやっと発揮されますね。

高速で敵の保有する惑星へ向かっている戦闘機体。それは非常に向こうにとっては脅威となるだろうもの。

だがそれでも俺が、俺の乗る戦闘機体が敵に気付かれることはない。なにせ、戦闘機体なんて本来こんな速度じゃ飛ばないからな。想定されているわけがないんだ。


戦闘機体は大抵のレーダーには映らないくらい放出するエネルギーが低いし、その体積も小さい。ブースターである程度気付かれやすくはなっているが、たとえ存在に気付かれたとしてもこれが戦闘機体だとは分からないはずだ。


「だからこそ、やれることがある!!」


こういう高速で移動する存在に対処するため、一応対策は取られてある。

それが、惑星を覆うように張られた低出力のシールドだ。


シールドと言っても壁上ではなく網状。それも、かなり粗い編み目のものだ。

ただ、実際高速で移動する物体にはかなりの負荷が掛かっているため、その程度のシールドであったとしてもぶつかってくる物体を破壊することは可能。それに、大抵そういう高速で移動するものは燃料などを積むために大きくなるから、粗い目の編み目でも充分防ぐことは可能なのだ。


だから今回俺の侵入が成功するのは、単に敵の運が悪かっただけ。

こんなちょっと曲がることも難しい上に下手にやると大爆発して壊れる危険性がある代わりに、あり得ないほどの速度を出すことができるものを作る天才が敵に回るという、本当に運が悪いことが起こっただけ。


「だから、大人しく諦めて消えろ」


シールドを通り過ぎてそのまま内部にいた船ともすれ違い、惑星降下を始める。このタイミングで、流石に減速するぞ。

やることは単純で、


分離(パージ)


パージするだけだ。

……何をって?それは勿論、


「うわっ。はやっ!?」


戦闘機体から分離され、少し斜め方向に飛んでいく小さなもの。それは、戦闘機体を今まで押してくれていた俺用のブースターだった。

ブースターは俺とは違う軌道で落下していき、何かに当たって大爆発を起こしていた。流石にあり得ないほどのエネルギーを生み出していただけあって、爆発も相当な大きさだ。


「この爆発でミサイルか何かと勘違いしてくれるなら良いんだが……」


一瞬でも良いから勘違いしてくれれば、その分敵の対応が遅れる。そして俺は動きやすくなる。

祈るようにしながら、戦闘機体を大気圏に突入させた。


「ここを突破したら……」


大気圏に突入する。

その時点でこの戦闘機体は敵からはっきりと認識されてしまうはずであり、俺としてもこれ以上戦闘機体に乗っていたくはない。

だからこそ、この戦闘機体を出るタイミングを計らなければならない。


「……3,2,1」


俺はゆっくりと数え、


「ここだぁ!!!」


機体を落下方向から垂直横向きにした状態で、俺はコックピットを開く。

そして、そのままダイブ!


生身で感じる懐かしい惑星の空気と、その抵抗。地表には緑と茶色が多く、この惑星で葉水の比率が半分以下であることが分かる

それでも人工的に作られた星やコロニーと比べるまでもなく自然豊かで美しい。とても心が安らぐ光景だ。

だから、少しだけこの星を荒らすのは心が痛むな。


「すまんな。我が国の未来のため、消えてなくなれ」


謝罪の言葉など、自然に対して告げても意味はない。だが、俺の心を切り替えるためには充分だった。

俺の操る魔力が惑星内で急速に広がっていき、その支配を広げていく。そしてそれは、


「命を刈り取る」


ドンッ!という爆発音ががいくつも聞こえてくる。降下中でほとんど外界の音など聞こえない俺の耳にも、ハッキリと届いた。

そして、こちらに伝わるのは音だけではない。俺の目にはいくつもの火柱と閃光が入ってくる。


「……残り60%」


今の爆発だけで、この惑星にいた40%の人間はその命を散らした。彼ら彼女らはその事実にほとんど気付かぬまま、誰にやられたのかさえ分からずこの世から旅立っている。

苦しまなかったのは、幸福と言えるかもしれない。


「……負傷者は50%」


死んでいないとはいえ、元々惑星にいたものの半分以上は大なり小なり怪我を負っている。

つまり、生存していて更に怪我を負っていないものは、今まで惑星にいた中の10%程度でしかなかった。


今生き残っている者の中で計算すれば、怪我の無い物はおよそ16%。

3分の1にすら満たない。


「ケガ人は蝕まれ、何もなければ刈り取られる」


俺は更に魔力を消費した。かなり怪我の無い者は減ったし、最初からやるよりはかなり楽。

この惑星にいた中で怪我の無かった者は、全員俺の風の魔術により首を飛ばされた。老若男女関係無く、な。


「ケガ人も、1時間以内には全員息絶えるだろう」


すでに危機を察知した数人はこの惑星から飛び出そうとしているが。もう遅い。俺がケガ人にも細工をしているからな。

何をやったのかと言えば簡単で、この惑星の中にあったありとあらゆる病気という病気の菌を風に乗せて傷口から送り込んだんだ。

今から1時間以内には何かしらの処置を施さなければ必ずその命を落とすことになるだろう。


「……こんなことをするから、殺戮兵器なんて呼ばれるんだがな」


俺は独り呟き、ほんのわずかなさみしさを憶えながら笑った。

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