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24.保護してもらいますけど何か?

主人公のスペック高くしすぎたかもしれない………………

予備船を動かして数時間。

敵味方入り乱れる戦場の中をかけたり、整備点検をしたり、バカスカ攻撃を仕掛けてくる敵艦から逃げたり、最後の方は遠距離攻撃では仕留めきれないと判断して突撃しようとしてくるのを避けたり。本当に大変だった。

突撃とか絶対に自分の船にも影響が出るだろうに、なんでムキになってそこまでするのやら……


基本的に生き残るための諸々をしたのは俺だったから、1番疲れたのが俺だと言っても良いだろう。

……そう。良いはずなのだが、


「……ぐええぇ~」

「もう、無理……」


「「「「お嬢様ぁぁぁぁ!!!」」」」


俺より疲れてぐったりしているやつがいるのが解せぬ。というか、ぐったりして動かない奴らの護衛の面々も俺以上に顔色が悪いぞ?護衛のくせに俺より軟弱とは何事だ?

なんとなく思うところはあるが、思うだけで口には出さない。口は災いの元だからな。下手なことは言うものじゃない。

今は不満を口にするよりも、


「隊長。お疲れの所申し訳ありませんが、これから暫く働いていただく必要があるかと」


「え?ま、まだありますの!?」


セシルが目を見開く。

全身から拒絶反応が出ているように見えるな。なんとなくいじめたくなる反応だ。

が、そんなサディスティックな気持ちはぐっと抑え込んで、俺は素晴らしい冷静な副官として仕事をしなければならない。


「このまま元の基地に戻ることは不可能ですので、これより近くの基地に一旦保護してもらおうかと」


「な、なるほど!」

「そ、そうですよね!」


セシルもダリヤも目を輝かせる。

今までみたいなことに巻き込まれるわけではなくてほっとしたようだな。護衛の面々にもどこか安心したような雰囲気が見受けられる。


「では通信などは小官の方で行ないますので、降りた後の準備などをお願い致します」


「分かりましたわ!」

「任せてください!」


セシルだけでなくダリヤも自信ありげに頷く。どうやらダリヤも挨拶に動くようだな。

……受け入れ側の上層部が胃を痛くするからできれば辞めて欲しいが、そんなことには気付かないだろうな。ここまで失態(と言うまではないまでも、活躍はなかった)を晒し続けてきた中で、やっとでてきた活躍のできそうな機会なわけだし。


ダリヤにとっては、人の前に立って権威のありそうな諸々をするのは得意な仕事だろう。艦隊に入るまで、そういう生き方を続けてきたわけだし。

だからこそ、この確実に成功させられるだろう成果の示せそうな事案は逃したくないわけだ。


「……では、ダリヤ様のことに関しても通達しておきます」


「あぁ。そうですね。お気遣いありがとうございます」


今気付いたというような顔をして、ダリヤは礼を言ってくる。

だが、こんなことを言ったのはダリヤのためじゃないんだよな。どちらかと言えば、向こうの上層部のためだ。少しでも早く知らせて、準備のできる時間を作らせてやりたい。

ストレスで潰れないことを祈るばかりだ。



「……到着しました」


10分程度で到着した。予備船だけで行けば数十分はかかる予定だったのだが、なんと向こうから船が来て牽引してくれたのだ。お陰で時間は大幅に短縮されて、


「お、お待ちしておりましたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


司令官らしき人間が、大慌てで頭を下げていた。

………………何をやっているんだろうな、本当に。俺が折角時間を作ったというのに、それを自分から潰すとは。


因みに、頭を下げている司令官は青い顔をして、俺に申し訳なさそうな顔をしていた。

俺が時間を作ってやろうとしたのを理解して、そして自分で自分の首を絞めてしまったことに気付いたのだろう。

だからこそ、気遣いをふいにしてしまった申し訳なさと、自分の愚かさを責める後悔が強く出ているのかもしれない。

まあ、その感情も今はダリヤとセシルの権威によってかなり吹き飛ばされているだろうがな。


「出迎えご苦労様ですわ」

「実に心のこもったお出迎えですね。感謝します」


「あ、ありがたきお言葉ぁぁぁぁ!!!!!」


2人の言葉を受けて頭を下げまくっている。

おそらくこの様子を見る限り、頭の中は真っ白だろう。強く生きて欲しい。


……いつまでもこうして頭を下げ続けさせるのもアレだし、助け船を出すか。

今の状況なら簡単にこれを求められるだろう。


「隊長。挨拶もほどほどにして、状況説明をした方が良いかと」


「ん。それもそうですわね。……では、状況の説明と今後のお話を致しましょうか」


「は、はいぃぃぃ!!!!」


セシルに話を促し、緊張で顔面蒼白な司令官と打ち合わせをさせる。勿論俺も参加して、説明の補足だったり計画の提案だったりを行なうぞ。

……あと、ダリヤもついてきているのだが、ダリヤは特に何もしてない。

いや、何もしていないどころではなく状況を悪化させているか。何も言わずにニコニコしながら座っているんだから。普通に怖い。


……一応謝っておくか。


「迷惑をかけて申し訳ない」


「い、いえいえいえいえいえいえいえいえいえ!め、迷惑だなんてとんでもない!」


………おい!俺は一般人だからそんなに緊張するなよ。

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