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23.あらぶりますけど何か?

8月も終わりですね…

船が攻撃を受けたとわかり。俺はすぐにブリッジへと駆け戻る。

そこでは、


「ど、どどどどどど、どうしますのぉぉぉ!!!????」


「む、むむむむむ、無理ですよね!死んじゃますよねぇ!??」


大慌ての大混乱。誰も的確な行動や指示を行えずにいた。

俺もあまりにひどい光景に頭を抑える。が、すぐに気を持ち直して、


「操縦を代われ!隊長はシールドの補助をお願いします!!」


指示を出す。

今まで操縦をさせていたやつを無理矢理退けて俺が操縦席に座り、セシルにシールドへ魔力を注いでもらう。セシルが補助をしてくれれば、1発多く攻撃を耐えられるくらいにはなるだろう。


「揺れますのでご注意を!」


俺は分かりきった注意を呼びかけ、運転を行なう。

現在1機の戦闘艦に後ろを取られており、主砲やら副砲やらの集中砲火を受けている最中だ。そんな敵から逃れようとするのだから、当然運転も荒くなる。普通の機動じゃ避けるなんて絶対無理だからな。

船内に多少の被害が出るとしても、船を破壊されないためには必要な犠牲だ。


「「キャアアアァァァァァ!!!????」」


俺が変速起動をとると船内は激しく揺れ、2人の女子の悲鳴が上がった。

2人の護衛達もそれぞれ必死にものに捕まって吹き飛ばされないようにしているな。下手をすれば衝撃で気絶したりする可能性もあるし、素晴らしい判断だ。

そんな状況でも数人は2人を抑えているから、さすがはプロって感じだな。これで整備点検ができるのならもうすこしプラスの評価ができたのだが。


「中佐!こんなに激しく動かしたら壊れませんこと!?」


「船の耐久性がとても心配です!」


2人は、運転の荒さで被害が出ないか心配している。気持ちはとてもよく分かるぞ。おんぼろな船に絶対に想定されていないような動きをさせているんだから。

俺が自分で整備点検して安全性を確かめていなかったら、絶対にこんな動きはさせなかった。


「申し訳ありません!しかし、これくらいしなければシールドを突破され撃墜される可能性が高いです!」


激しく動かしながら、2人に返事をする。

もしこの船が壊れるとしても、敵の船に堕とされるよりすこし壊れるのが遅くなる程度の誤差でしかない。それなら、少しでも生き残ることができる可能性にかけて動かす方が良いだろう。


「……くぅ!向こうの船に攻撃できませんの!」


艦長席の周りにある柵にしがみつきながら、セシルが攻撃をしないのかと尋ねてくる。

追ってくる敵を倒すことができればこんなに激しい動きで逃げる必要はないからな。その理論は理解できるのだが、


「予備船に搭載されている装備は、戦闘機体を中破させる程度の威力しかないレーザー砲のみです!」


「「「「なっ!?」」」」


俺の言葉を聞いて、驚くのはセシルだけではない。

ダリヤもそうだし、護衛の面々も驚愕の表情を浮かべていた。

戦闘機体なんて普通はかするだけで大破できるような装備が戦闘艦には多いからな。それが中破って言うのは、相当な弱さだ。

たとえ敵艦のシールドに当たったとしても、当たる前と比べても誤差程度しかシールドは減少しないだろう。


「そ、それでも牽制として使えませんの!?」


セシルはそれでも食い下がってくる。

どうにかしてこの状況を終わらせたいのだろう。他の面々も期待するような目を向けてきているし、それが全員の希望なのだと思う。

だが、


「やめておいた方が良いかと!その程度で撤退するものはおりません!」


俺は首を振る。

使ったところで、エネルギーの無駄にしかならんな。そんなことに使うなら少しでも回避行動のためのエネルギーに回した方が良いだろう。こっちのレーザーが敵のコックピット付近に当たって艦長とかを驚かせる、なんていうことが運が良ければあるかもしれないが、その程度だ。それで敵が撤退するわけがない。

そんなこと、やるだけムダだ。


「それよりもできるだけ敵本隊から離れて、敵が撤退を判断するラインまで逃げた方が良いかと!」


俺たちが選べる選択肢は、それくらいだ。

敵が本隊と離れすぎたから戻った方が良いかも、と思うくらいまで逃げることが1番逃れられる確率が高いだろう。


俺のそんな意見を聞き。

今まで話すことなく必死に耐えていたダリヤが、恐る恐るといった感じで、


「あ、あのぉ。それって。どれくらい時間が掛かるんですか?」


できれば答えを聞きたくないだろう質問をしてきた。

いや。答えが聞きたくないというより、悪い答えが返ってくる予想はしているが悪い答えを聞きたくないといった方が正しいだろうか。

ただ、そんな思いに気付いたとしても、


「……数時間は覚悟していただく必要があるかと」


「「「「…………」」」」


俺は無慈悲な答えを返すしかなかった。

覚悟を決めていたのだろう数人を除き、大半の人間が絶望した表情を浮かべている。とても可哀想ではあるが、これも仕方ないことなのだ。諦めて欲しい。

命がなくなるよりはマシだろう。

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