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17.ブランド戦略ですが何か?

《sideミミ・タチバナ》

ゴトーから、買った奴隷を船に預けてきたという連絡が入った。私はそれに適当に返信して、座っているソファーの背もたれにもたれかかった。


「……この商会も。大きくなったなぁ~」


力が抜け、意図せず口から出たのはそんな言葉。

今や王室御用達だとかここの商会の奴隷を持っているのが成功した証拠、とまで言われるようになったけど決して昔からそうだったわけではない。

こうなったのは、


「ゴトーのお陰、だよねぇ」


私の成功も、私の商会の成功も、全部ゴトーのお陰。

結局私がしたのは、成功するための補助と、成功した後の商会を安定させることだけ。決して、ゴトーがしたみたいに大きな成功を生み出すことはできなかった。


数年前。

私の商会を全部買い取ったゴトーは、こういった。


「暫く奴隷は買わない。そして売らない」


「うぇ!?」


当然その当時の奴隷商会でそんなことをする意味はなかったから、私は驚くことになる。当然その時の常識に従って反対したんだけど、


「まあ待て。考えてみろ。ここで普通に奴隷を売ったところで、たいして成功できないのは分かっているだろ?」


「うっ。……それを言われるとさぁ~」


ゴトーには、普通に奴隷商をするだけでは大して儲からないことが分かっていた。だからこそ、当時の業界にとっては奇策に出た。


「イメージ戦略だ。ブランドにするぞ」


「……は?」


本当に理解できなかった。けど、そんな疑問を挟んで入れないくらいその時は忙しくなった。

まず、やり始めたの奴隷達の教育。奴隷に、普通の奴隷商では教えないようなことを教えていく。普通奴隷に教えると言ったら夜の技術とかそういう欲を煽ることなんだけど、


「す、数学に、マナーに、最先端機器の取り扱いに……って!私、過労死するよ!?」


その時は本気でそう思ってた。

けど、今だから言える。人間意外となんとかなるって。


普通の奴隷商が絶対にやらないような教育を行なう中。

教育を始めてから2ヶ月後に結果が出た。


「……ふむ。素晴らしいね。是非買い取らせて欲しい」


「ありがとうございます!」


売り込みに言ったら、あっさりと一発目で商談が成立した。売れていくのは、奴隷達の中では比較的背の大きい大柄な男性。もちろん、教えるものは全て詰め込んである。

売り込んだ後は奴隷の人が働き出した。一般的にそれまでの奴隷は夜の相手をさせるかいたぶるか重労働をさせるかくらいしか使われてこなかったんだけど、そこでハッキリと差が生まれる。

だって、計算能力とマナーを持っているんだから。


「彼は実に素晴らしいね。是非とも新しい奴隷を売って欲しい!」


「ありがとうございます!!!」


奴隷だから、食費と居住費さえ払えば後はどうにでもなる労働力。能力の割にコスパがいいということで、追加の注文があった。

そして、それと同時に奴隷のことが口コミで広がっていく。それも、私が最初に売り込んだ一流企業のような所に。

ゴトーに後でなんで私に一流企業に売り込ませたのか聞いたことがあるんだけど、


「一流企業で今最先端にいる企業なら、奴隷だとしてもまともな安い労働力ならそちらを買う」


「じゃ、じゃあ、二流とか三流の企業じゃ駄目だったの?」


「落ち目の大企業や中小企業は俺たちじゃどこが良いのか分からん。最悪良いカモと思われて締め出されて買いたたかれる恐れすら有る」


「な、なるほど」


締め出しというのも聞いたことがある話だった。

私たちのマネをして能力の高い奴隷を売ろうとした人がいたみたいなんだけど、市場が結託して無視したから無残に買いたたかれたんだって。

そういうのをなくすためにも、最初に持ちかけるのはきちんとその先の利益まで見据えられる未来を見る目がある一流企業。


「そして、言っておけば一流企業は他者に恩を売るのも上手だ」


「そ、それはわかるよ?」


「だが、恩を売る相手は誰でも良いというわけではない」


「というと?」


私がそう尋ねると、ゴトーは笑みを浮かべた。

それはもう、今まで見たことがないくらいダントツであくどい笑みだった。


「……一流が恩を売るのは、金を持ったバカか一流だ」


「つまり?」


「金を持て余した愚か者と、売り込み行ったところと同じレベルの一流企業が来る。覚悟しとけ」


「…………わお」


わお、とは言ったけど。

その時の私は半信半疑だった。というか、半分以上信じてなかった。

でも、私の疑いは一瞬で吹き飛ぶことになる。だって、次の日から、


「……え?通信が鳴り止まないんだけど?」


コンタクトを取りたいと書いたものや購入をしたいという連絡がひっきりなしに送られてくる。私は仕方なく売る前の奴隷にも手伝わせて、その対応をした。

どうにか10人くらいで対応できるようにはなったけど、


「……これ、私に休みがないのでは?」


面会や商談の予定が分刻みで入れられていく。私は気が遠のくと同時に、今ままでの奴隷達の教育で忙しいなんて言うのは、生ぬるいことだったんだなと気付かされた。


「…………地獄」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ミミとの出会いは偶然だったのか。 クビつらせた訳じゃないですよね?
[一言] 計算能力を教える事に一瞬中世だと思った
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