15.スパイが潜り込んでますけど何か?
昨日投稿する話を間違えたので今日は2話投稿します。
『『『『う、うわあああああぁぁぁぁぁ!!!!?????』』』』
ミサイルは1発1発の値段が高いが、この倒す奴らから略奪すれば充分金は稼げる。積み荷と金を巻き上げ、ついでに賞金首がいないかどうかを確認。1人安いが賞金首がいたのでこれを適当に確保。
適当に放り込んだから生きているかどうかは不明だ。最悪死んでても賞金は出るから良いだろう。
……で、簡単なものの回収が終わったら今度は少し時間の掛かる作業だ。簡単に言えば、剥ぎ取りだな。
船のパーツの中で高く売れたりする部分を引っこ抜いていく。この重要なパーツ1つでミサイル4発分はおつりが出る。全ての船から奪えば利益が圧倒的に上回ってくれる。
「まあ、良い小遣い稼ぎになるな」
あらかた高いものは奇襲し、更に船を動かしていく。
大抵は無様に悲鳴を上げながら何もできずに死んでいったが、
『し、死神だぁぁぁ!』
『やばいやばいやばいやばいやばい!!!!!』
『来るなぁぁぁ!!!来るな死神ぃぃぃぃ!!!!』
数人いた俺のことを知っている奴らは反撃してきた。お陰で良い訓練になったぞ。
そういう奴らはアジトがあってそこに結構色々ため込んでいたりして、俺の懐を分厚くしてくれた。俺のことを知ってる奴らはそこそこの立場だったり古参だったりするからな。
「さて、そろそろ終わるか」
一旦宙賊退治は終了。
そして帰還……はせずに、移動を行なう。
向かう先は、国外だ。
「……久しぶりだな、ここも」
この宙賊退治は休暇でよくやっていることなのだが、国外にもよく出るようにしている。
俺の船が色々と違法なことをしている船のため、どこにいるかバレるわけにはいかないのだ。そこで、色々な国を回って活動している。
今回来た国は知り合いのいる国で、
『なっ!?死神!?』
『嘘だろ!?もういないんじゃなかったのかよ!?』
『やめろぉぉぉぉぉ!!!来るなぁぁぁぁ!!!???』
俺のことを知っている者かなり多い。治安維持のために一時期暴れ回ったからな。
で、暴れ回った結果この一帯の宙域にいる宙賊共から怯えられている。だからこそしばらくは治安が安定すると思って他の国で活動したりしていたのだが、
「ここまで増えるとはな。もう1回地獄を再現した方が良さそうだ」
宙賊共を地獄にたたき落とす。俺の訓練のため、そして俺の懐のため。
意外と良い機体に乗っている宙賊もいて、儲かりそうな雰囲気だ。暫くここで暴れ回って、明日ぐらいに帰れば良いだろう。
「休暇の使い方としては間違っている気がするが……何年もやってることだしな」
俺はそんなことを呟きながら、顔面蒼白で発狂する宙賊共を狩っていく。
たった数日活動しただけだが、俺が軍からもらっている年収の半分程の金額が集まっていた。これだけ暴れたのだから、またこの地、というか領域で俺の『死神』という名が轟くことだろう。久々に俺が来たことを知って、宙賊達も大喜びだろうな(ゲスい顔)
……さて。これで俺が各地で恐れられたり有名になったり英雄的に祭り上げられたりしている死神だと奴隷達に伝わったはずだが……はてさてどうなるだろうな。
《side奴隷達》
「じゃあ、俺帰るから」
「「「「……え?」」」」
帰るとだけ言って本当に帰ってしまった彼女たちの主人。その名もゴトー・アナベル。
必要最低限の物は渡されているとは言え、奴隷である彼女たちは置いていかれたことに困惑するばかり。
なのだが、
「……死神、ですか」
「な、何か知っているんですか?」
奴隷の内に、死神の名を知っている者がいた。彼女と同じ顔をしている者がもう2人いる。
つまりそれは、この空間の中で半数以上がその名前を知っていることを意味する。
最初に死神という名を呟いた者は、他の知っていそうな者と目配せをしてから話し始めた。
「死神というのは簡単に言えば、宙賊を狩ってまわることで有名な人、ですね」
「へぇ?……まあ確かに、ご主人様は宙賊を殺してまわってたね」
「ですね。それならその特徴とも一致します!ご主人様って凄い人だったんですね!」
1人の少女がキラキラした瞳で自身の主人に尊敬の念を送る。だがその様子を見た死神の名を知る者は、気まずげに視線をそらして。
「じ、実はその話には先がありまして」
「「うん?」」
「どこにも所属したり許可を取っていたりしていないため、各国からスパイなのではないかと疑われて指名手配されているんです」
「「……え?」」
知らなかった2人にとっては衝撃の事実。
自分たちを購入した主人は英雄的存在だった(そんな人の奴隷になれるなんて運が良いのでは?)
→英雄だけど指名手配犯(嘘っ!?もし見つかったら私たちまで……)
色々と良くない想像が彼女たちの頭の中で行なわれる。
そんな中。
「っ!」
突然1人の奴隷が駆け出し、部屋を出て行った。
そして、その後ろを2人の奴隷が走ってついていく。
「え?」
「ど、どうしたんでしょうか?」
部屋に残された少女2人は困惑。
この2人、奇しくも死神という名前を知らなかった2人である。そして、
「あなた!スパイだったんですね!」
「それはあなたもでしょう!」
走った3人は、怒鳴り合いながらも頬に笑みを浮かべていた。
なぜなら彼女たちはそれぞれスパイという立場ではあるが、
「「「ゴトー・アナベルが死神だと教えれば、実績になる!!」」」




