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9.休暇の姿ですけど何か?

用語解説(かなり前に出てきた単語なので)

逸脱者:ゴトーの影響で本来通る道筋から大きく外れる生き方をしている人。

休暇だ休暇。

散々働いてきて、星に帰ってきてもすぐにまた次の戦場に行かなければならなかった俺に、やっと休暇が来たのだ!俺だけでなく、他の部下達も大喜び。


……なのだが、


「きゅ、休暇、ですの?」


「何をすれば良いのでしょうか……」


数名、詳しく言えば2名、具体的に言えばダリヤとセシルが、休暇の過ごし方に悩んでいた。休暇の使い方に悩むとか、ワーカホリックみた、……んんっ!(咳払い)

危ない危ない。危うく侮辱罪でしょっ引かれそうなことを思うところだった(割とよく思ってる)。


「セシル様は王子様とデートとか行ったりしないんですか?」


「え?デート?……考えたことがありませんでしたわ。たぶん、というか、絶対無理ですわね」


「ですね。あのお兄様がセシルとデートなんて…………考えられません」


フィネークが婚約者と過ごすことをセシルに提案したが、セシルは首を振ったな。そして、そのセシルの意見にダリヤも激しく同意している。勿論、俺もその意見には同意だ。あいつがセシルとデートとか考えられんからな。やるとしてもせいぜい暗殺のために誘い出すためとかだろう。

フィネークはそれを聞いて不思議そうにしているが、下手に王子の悪評を広めてもマズい。ここは、それとなく近くで動いて俺に視線を誘導させて、


「あっ。中佐は休暇中に何をするんですか?」


フィネークの興味を俺に移す。

俺は足を止めた後話しかけられると思わなかったので答えをすぐに思いつかないと言わんばかりに長考し、


「ふむ。遊ぶつもりだが」


「遊ぶつもり、ですか?」


「うむ。特殊なことをするつもりはない」


俺はそう言っておく。

遊ぶつもりなのは本当だ。ただ、特殊なことをしないかどうかと言うのは……うむ。まあ、そういうことだ。

俺がそうして話をするとそこに部下が割り込んできて、


「軍人は休みが少ないんだから、こういうときにぱぁっと遊ぶのよ。ぱぁっと」


「そうそう。かたっ苦しいこと普段はしてるんだから、こういう時に羽目外すくらいしても良いんだよ」


とか言い出してきた。この場合は俺が色々言うよりこいつらに任せた方が良いだろうな。

部下達にフィネーク達との会話を任せ、俺はその場を離れる。そして、自分の部屋から必要最低限の荷物をとった後、久々に逸脱者の1人に連絡を入れた。


『はぁい。何?』


向こうから返答が返ってくる。向こうの顔もホログラムで出てきた。

それに対して、


「うぃっす!ひっさぁ~。今大丈夫?」


俺はテンション高めで応える。

絶対軍人としてやってるときには使わない言葉遣いだな。


「「「うぇ!?」」」


俺のこんな姿を見たことがなかった3人組(フィネーク、セシル、ダリヤ)と、セシルとダリヤの護衛達が驚いているな。驚きすぎて淑女としてあるまじき顔をしているやつもいる。

だが、俺はその一切を無視し、通信相手と会話を行なう。


『やっほぉ。ゴトー。私は元気だよ。そっちも野垂れ死んでないみたいで何よりだね』


「当たり前だろ?俺だって多少は死ににくいとこ選んで戦ってるっての」


『そう?なら良いんだけどさぁ……で?どうしたの?この時期に私の所に連絡入れるなんて珍しいね』


「あぁ。ちょっと休暇ができたから顔を出そうと思ってな。……あっ。ついでに前回頼んでいたのがどうなってるかも聞いときたい」


『あぁ。OK!新しい子入ってるよ』


「え?マジ?新しい子入ったの?絶対いくわ」


『はいはい。待ってるよ』


「うっす。じゃあ、今出る」


『了解。待ってんね~』


通信をきる。

3人娘や護衛達は未だに唖然とした表情でこちらを見ていた。それに一切反応せず俺は表情を切り替え、いつものキリッとした副官の雰囲気を前面に出しながら、


「では、失礼致します!」


敬礼してから知り合いの下へと向かって歩いた。

振り返ることはない。決してな。


…………あぁ~。またあの唖然とした表情を見たくなってしまった。振り返らないって決めたのに、とてつもなく見たいぞぉぉぉ!!!



《sideセシル》

「…………………………え?」


「い、今の、何ですか?」


「私たち、幻覚でも見たんでしょうが?きっとそうですよね?そうなんですよね?」


「で、ですわよね!まさかゴトー中佐があんなに軽い感じでいるわけがないですわよね!」


幻覚。

そう。きっと幻覚だと、私たちは信じるのですわ。いや、信じようとしたのですわ。

でも、


「いや、休日の中佐はあんな感じですよ」

「だよね?凄いチャラそうな感じだよね」

「ギャップ萌えだよねぇ~」


隊員の皆様は、そんなことを容赦なく口にするのですわ。

私たちは受け入れたくない現実に、頭を抱えます。


「う、嘘だ。私の中佐が、私の中佐がそんなはずはぁぁ!!!!」


「いや、中佐はフィネークのものじゃないでしょうに。……でも、予想外すぎます」


「あ、あの人、本当になんなんですの!?予想できない裏側が沢山ありますわ!!」


「「「「いや、中佐を理解するのとか無理ですよ(長年の経験談)」」」」


実感のこもった言葉を頂きましたわ。

私とダリヤがそれで今だ混乱している中、


「……はっ!でも、そんな中佐も悪くないかもしれない!」


「えっ!?フィネーク!?」

「いやいやいや!さすがにそれは……………………なしではないと思っている私がいるのが悲しいです」


「ダリヤまで!?」

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