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8.次の戦場には行きませんが何か?

ダリヤが攻撃を始めてから10分ほど経っただろうか。ここまで、超火力を持つ要塞とそれぞれは三流レベルでありながら一級品の連携を使う戦闘機体が戦い続けてきた。

そしてついに、


「シールド0%!敵本体、シールド消滅です!」


わっ!と周りがわく。初めて戦闘機体を動かしてあれだけの大きさの敵のシールドを喪失させたんだから十分な戦果だろう。しかも、これから更にその戦果を増そうとしているのだから……。


更に数分後。要塞の持つ兵器は全て破壊された。こちらの代償は戦闘機体4機だったが、無人だったため問題無い。

途中で敵側の戦闘機体も出ようとしていたのだが、逆にハッチにダリヤの操る戦闘機体が入り込んでいって荒らし回ったから二度と出てこようとはしなくなったな。

脱出ポッドでトップが逃げ出すかとも思ったが、そういうことも無かった。


「それで、これからこれを運んでいくんですの?」


武装もなくなり抵抗する力を失った要塞を見て、セシルがそうを問いかけてくる。非常に巨大なため、俺たちの艦隊で運んでいるとかなり遅くなるだろうな。

……が、問題無い。その辺も考えてある。安全策をとって時間をかけることにしたから、回収は足の速い連中に協力してもらうことにしたのだ。


それが、


「協力感謝しますわ」


『いえいえ。ここまでの大戦果を出されたお方に協力しないなどあり得ません。それに、ゴトー中佐とは軍事学校の同期ですからね。同期の(よしみ)というものもありますし』


セシルが感謝を伝えると、通信先で笑顔を浮かべた30代くらいの男性が首を振る。そして、俺たちの周りでは俺たちの艦隊とは違う船が要塞を共に引っ張りながら移動していた。


彼らは正規軍。……というと俺らが正規じゃないみたいに聞こえるが、彼らはこの戦場を担当しているものたちだ。

俺たちが来るずっと前から、この戦場で戦ってきたものたちだ。いや、本格的な戦いはしてこなかったようだから、守りと警戒を行なっていたものたちという方が正しいか。


そんな彼らだが、当然敵側の戦力は理解していた。だからこそ、俺たちの計画を聞いたときには関わらないと明言していた。

ただ、そのお陰で今回は1秒でも早く要塞を本部へと送り届けようと功績を急いでいるんだけどな。

俺たちがすぐにこの戦場で結果を出したのに今までここに居たものたちは一体何をしていたんだという話になる。誰かしらの首は間違いないだろう。そしてその首が飛ぶ確率は、当然階級が高ければ高いほど、そして、実績が低ければ低いほど上がっていく。

俺たちが上手くいかないだろうと高をくくった結果がこれだ。悲しいな。


「あなたの行動の程はしっかりと上に伝えておきますわ」


『ありがとうございます。感謝の極みでございます』


セシルに向かって頭を下げる同期。

こいつは唯一、というか、1番最初に動きを見せたやつだな。同期だったからこそある程度俺の力は知っていたし、なんとなく上手くいきそうだと予想したようだ。要塞に俺たちが攻撃を仕掛けている間に、他の船などを攪乱してくれたりもしていた。非常に役に立ってくれていたな。


まあ、こうしてダリヤの戦場デビューは終わった。少し(?)活躍の機会もあったし、悪くない結果だったと思われる。

因みに今回の反省を活かすために、


「セシル強すぎませんか!?」


「おほほほっ!場数が違うのですわぁ!!」


セシルとダリヤが仮想空間上で、つまりVRで戦ったり、


「うそっ!?今の当たりますの!?」


「何ですかその変則機動!?……って、もう私の機体の残り半分ですか!?」


セシルとダリヤで手を組んで大型艦を攻略しようとしたりしていた。それも、俺が操作する大型艦を、な。

そんな風に俺たちがVR上で戦うのを見ながら、


「いいなぁ」


フィネークはぽつりと呟いていた。

……ダリヤたちも、戦闘能力は高いが友達づきあいはダメダメだな。仕方ないから俺が巻き込んでやろう。


「訓練生。今度はそちらで小型艦の指揮を執りたまえ」


「え?わ、私がですか!?」


「そうだ。小官は艦隊の指揮の訓練を行なう」


「わ、分かりました!」


フィネークがセットをする。

その後、セシルの乗る戦闘機体1機&ダリヤの操る戦闘機体6機&フィネークの操る小型艦VS俺の操る艦隊が行なわれた。

当然勝者は俺。流石に経験が違いすぎたな。

あと、フィネークは割と味方にレーザーを当てそうになって終始謝りたおしていた。ドジっ娘属性は味方への誤射まで引き起こすのか……。


「ん~、上には上がいますわね!」


「あの大きさの敵の司令艦より中佐が操る大型艦の方が強いってどういう事ですか!?」


「うぅ~。私には船を動かすなんて無理ですぅぅ」


それぞれ収穫があったり経験を積めたりしたようだ。フィネークもミスをしまくったわけだが、経験にはなっただろう。

3人の経験を次に活かすためにも、早速また戦場へ……行くのは少し先になりそうだ。

なぜなら、


「これから暫く休暇となる。気を緩めるのは構わないが、軍人として民の模範となるように!」


「「「「イェッ、サー!!」」」」

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