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4.言われたくないですけど何か?

「う、上手くいきましたわね」


セシルが計画通りにことが進んだことを喜んでいる。

が、その足は見るたことのないほどにガクガクと震えていた。


「ほ、本当に上手くいきましたね……」


「し、死ぬかと思いました!死ぬかと思いましたぁぁ!!!」


上手くいったことを知り緊張が解け、呆然としているのがダリヤ。そして、集中砲火を浴びて死を覚悟し、結局生き延びて恐怖心やらが後から湧き出てきているのがフィネークだ。

仲の良い3人は、揃って心を乱しているな。それに、声には出していないがセシルとダリヤの護衛も顔を青くしている。軟弱なことだ。

それに比べて、他の部下達の落ち着き様は異様なほどだな。全員表情を変えることもなく淡々と仕事をこなしているぞ。普段から無茶をさせすぎているのかもしれない。


「なんで中佐たちはそんなにも落ち着いていますの!?」


俺たちの落ち着きように、セシルが信じられないものを見るような目をしている。

俺はレーダーの反応などに気を配りつつ、


「このような回避方法には慣れておりますので」


「慣れてますの!?」


「実戦で使用するのは5度目となります」


「…………信じられませんわ」


今回行なった作戦。

それは、敵の集中砲火を機雷を盾にすることで防いでしまおう、というものだ。機雷の爆発の強さならば俺たちの主砲の攻撃にでも一瞬は耐えられる。いや、耐えられるというか、抑えられるという方が正しいか。

機雷の爆発により主砲の攻撃を弾き飛ばし、その先にいる存在まで届かないようにして守ることができるのだ。

今回の場合、その先にいる存在というのが俺たちの船だったわけだが。


「少しでも敵の攻撃と機雷の位置がずれれば無理なことですのよ!?」


「ですので多用はしておりません」


「当たり前ですわ!でも、多用しないというわりに5回もするとかどうなってますの!?」


この作戦を当たり前のように実行した俺たちの正気を疑っているようだ。気持ちは分からないでもないが、結構この作戦便利なんだよな。機雷の爆発があるから敵が俺たちを撃墜させられたかどうか確認できないし、爆発のお陰でこっちが主砲を使うのがバレにくいし。


「く、狂ってますわ……」


戦闘機体で敵の戦闘艦に挑みに行くような人には言われたくないセリフだ。

数名の部下は俺とセシルの両方にジト目を向けている。セシルが言うなという気持ちもあるだろうし、毎回付き合わされて大変なんですけど、という気持ちもあるのだろう。

そんな部下達の俺への視線は無視しつつ、


「味方との合流はどの程度かかる?」


この後のことについて部下達に尋ねてみる。

これからあの要塞を無力化しに行かなければいけないのだ。数の不利がある中で時間を稼いでくれている味方のためにも、できるだけ早く合流したい。


「合流はこのまま行きますと7分後となりそうです。ただし、敵のエンジン部分の故障状況によっては短縮できる可能性があるかと」


味方は要塞の足を少し潰してくれている。

だからこそ、逃げられる可能性は低い。のだが、今以上に足を潰すというのも難しそうな話ではある。

ただ、このまま何もしないというのは気分的に嫌なので、


「では、長距離射撃を行なう。敵本体へ照準を合わせろ。そして、味方には射線に被らないように通達を」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


フィネークの魔力で強化された主砲は、射程も伸びる。そのため、通常では射程外の敵に対して攻撃することも可能だ。

……もちろん、遠ければ遠いほど攻撃力が落ちることは確かだが。


「行きます!発射!!」


一応それた攻撃が味方に当たる可能性も考えて、味方の船に通信は入れてある。それとなく回避行動を取ってもらった上で、


「……敵本体への命中が確認されました!」


弾んだ声で告げられる。1番の大物への命中。

上手く敵に当てられたようだ。実は少し主砲を扱うやつに狙撃の練習をさせていたのだが、その成果が出たのではないだろうか。

そして、


「味方からの通信です…………っ!?敵本体、シールドを前面に展開していたため、後方からの狙撃により装甲を貫通したようです!」


非常に運がいい。

敵が、俺たちの味方の攻撃に耐えるためにシールドは前面だけ、というほどではないが前面に集中して展開していたようだ。そこに俺たちの船の狙撃が後方から襲いかかり、薄い後方部のシールドを突破。更に装甲まで貫き、決して小さくはない風穴を開けたらしい。


「更に連絡が来ました!敵本体に損害が出たため、陣形が変更されたようです!」


そんな言葉と共に、味方から送られてきた立体映像が映し出される。そこには、変更後の敵の陣形が示されていた。

中央に要塞があり、その周りを戦闘艦が囲っているような形だ。おそらく本体にいる貴族の3男が我が身可愛さに戦闘艦を盾にしようと考えたのだろう。愚かなことだな。

集団で固まってくれたお陰で、移動速度は更に低下した。俺たちの船はちまちまと遠距離射撃を行ないながら敵に近づいていく。

セシルが来たから落ち着いていましたが、基本的にこの部隊はギリギリな感じで戦います☆

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