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1.王女殿下の戦場デビューですけど何か?

俺たちの艦隊は軍の戦闘用の船で構成された艦隊であるから、当然運用されるときは戦場に出るときか帰還するときになる。

で、今はダリヤを乗せて大型艦が1隻追加されてから1度も戦闘は行なっていない状態。戦場に出てもいないのに帰れるなんて言うことはそうそうないため、現在は戦場へと向かっている最中である。


個人的にはこの間行った戦場で俺が地上戦しているのを眺めるだけでも良い気がしたのだが、先にこっちに行って欲しいという強い要望があってこっちに来た。何やら上の方が動いてそうだ。

ということで、絶讃今向かっている最中の場所について最終確認中。


「この戦線は以前にも説明したとおり、そこまで争いの激しい場所ではありません」


「確か、お互いに主張している領域の範囲で重なるところが小さいんでしたわね?」

「主張するところが小さいためここに関しては戦場の規模も小さいと聞きました。あと、民間人への被害などが出ないようにお互い条約を結んで一定以上の人員を増やしてないことも」


俺が確認を取るべき相手の2人。セシルとダリヤが今までの確認で教えてきたことを述べる。

きちんと頭に入っているようで何よりだ。


「確かに小さな戦場です。勝ったところで莫大な利益があるわけではありません。……しかし、戦場は戦場。手を抜く道理は存在しません。数を絞る条約を結んだのならその数の中で最大限できることをするのです」


「だからこそ、私たちが送り込まれてきたわけですわね?」


「その通りです。今回の目的は敵の軍へ大きな被害を与えること。そして、できれば敵の司令官の身柄を抑えることになります」


この戦線、実は敵側の司令官が最近代わったのだ。前まではそこまで重要でもないゆっくり年数をかけて地位を上げてきた、といった人だった。

だが、今の司令官は違う。


「現在の向こうの司令官は、伯爵家の人間です」


「確か3男だとか?」

「現当主の息子を捕らえられるのであれば、良い具合に交渉ができそうですわね」


「はい。ですので、やるべきことは逃げ道の封鎖。そして、援軍が来ないうちに捕縛する電撃作戦です」


リスクはそこまで高くない。宇宙全体に名が轟くような優秀な人間が配置されているわけでもなければ、指揮能力が飛び抜けて高いものもいない。

向こうの国も伯爵家も、特に大きくもない戦場だからこそ3男坊を出してきたのだろう。おそらく戦場に出たという箔をつけることで、次のトップを決めるときに発言力を持たせたいのだろうな。


「伯爵家とトップの座を狙う誰かが手を結んでいるのでしょう」


「……で?私たちがここまで出されたと言うことは、我が国とそのトップを狙う誰かとは別の派閥の人間が手を結んでいる可能性があると言うことでしょうか?」


おっと。

ダリヤが鋭いな。実際、この国全体とまでは行かなくても国の重鎮の誰かしらが手を結んでいそうだ。


「さて、それは分かりかねますが、伯爵家の人間を捕らえられるのであれば我が国にとって非常に大きな利益となる事は間違いありません」


「ですね」

「ですわね」


それに関しては2人とも理解しているようである。

さて、ここからはその具体的な逃げ道を塞ぐやり方と、捕縛のやり方に関してだ。


「もし船ごと無力化しても下手に時間をかければ、脱出ポッドから逃げられる可能性があります。ですので……」


その後は、具体的な作戦に関する話が続いた。

そして、そこから数時間後。


「敵艦隊確認!」


「では、作戦通りに」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


部下達も作戦は頭に入れており、その作戦通りに動いていく。

追い立てるように俺たちの乗る大型艦と中型艦1隻で敵の大将、つまり司令官が乗っているだろう大型艦、というか、要塞(船とは言えないほど大きな兵器を大量に搭載した極悪な何か)に突撃していく。

それを受けて要塞は後退していき、代わりに中型艦が俺たちの行く手を阻んだ。

数が向こうの方が圧倒的に多いから阻まれるどころか囲まれて袋だたきにされそうになっているが、


『やらせませんわぁぁ!!!』


スピーカーから声が響いてくる。直後、一部の敵の船で爆発が起こり始めた。

通信から聞こえてきた声の口調から分かると思うが、またセシルが暴れているのである。戦闘機体を縦横無尽に乗り回して、敵の砲門を主に潰しまわっている。

セシルがそうして、微々たる物とは言え敵の攻撃手段を奪っている間に、


「主砲、準備完了しました!」


「よし。撃て」


「イェッ、サー!!」


囲んだ敵が反撃で攻撃してくる前に、この包囲を突破する。

できるだけ敵のシールドの薄い、そして、出力の低い小型艦を狙って、


「主砲!発射します!」


まばゆい光と共に、狙っていた小型艦がかき消える。そこそこ近い距離で撃ったお陰で。完全に消滅させることに成功したようだ。

俺たちを囲んでいる船がその威力を診て若干動きを鈍らせている。この間に、


「包囲を突破します!出力最大!」


できた隙間を狙い、俺たちの船は包囲を逃れる。若干この船より速度の速い中型艦が先に抜けつつ更に周辺の掃除をし、その後にできた穴を通り抜けて俺たちの大型艦が脱出する。

ここまでは作戦通りだ。

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