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2章 プロローグ

お久しぶりです!更新再開します!!

『やる気があるのか!10回追加だ!』


「イェッ、サー!!」


額から滝のように流れ出る汗を拭いつつ、自身の筋肉へと負荷をかける。筋肉が収縮され、そして、いくつ物が俺の体の体重を支えるために強く張っているのが分かる。体温は上がり、息は荒く、全身を熱い血が巡っている。俺の筋肉は、しっかりと育っているだろう。

軍人として、自身のコンディションは万全にしておかなければならい。日々の運動も非常に大切な要素だ。だからこうして欠かさずAIのサポートを受けながらトレーニングをしているわけだ。


……おっと。突然男の暑苦しい運動風景を出して悪いな。ムサく感じてしまったなら許して欲しい。

詫び、と言うわけではないが、俺の運動風景など面白くもないだろうから代わりに隣で運動している美少女の風景でも映し出そう。


「はぁはぁはぁはぁ!」


『何だ?ふざけているのか?足の動きが甘いぞ!』


「はぁはぁはぁ、しゅ、しゅみましぇん中佐!」


『もっと気合い入れろ!やる気が足りてないぞ!もっと声出せ!!」


「イェ、イェッサー!!!!」


全身から汗を流し、顔どころでなく全身を真っ赤にさせながらも運動を続ける少女。

汗で服が透けるなんて言うサービスは提供されていないが、汗のにおいと香水の匂いの混ざった独特な匂いは一部の界隈の人は喜ぶかもしれないな。

全身から湧き出た汗が微かに、まだ大して身につけてもいないだろう色気を引き出しており、心の弱い物では耐えられない光景を生み出している。


そんな状況になっても、AIの指示に従い運動を続ける少女。

彼女の名はフィネーク。とある乙女ゲームの中の主人公であり、世界が何の影響も受けずにいたのであれば権力者の男子と恋仲になってそれなりに良い暮らしができていたであろう少女だ。

そんな彼女だが、現在は軍人学校に入ったが結局色々とダメダメで訓練生となって戦場に出されることになり、俺の部下になっている。


『まだまだ気合いが足りないぞ!その程度で国が守れるのかぁ!』


「しゅ、しゅみんましぇん!」


そんな彼女に厳しい声をかけるAI。の作り出した誰かさんの姿。

誰かさんというか俺なのだが、フィネークは横に俺がいるのにもかかわらず俺の姿をしたAIにトレーニング指導をされているのだ。


正直、目茶苦茶気まずい。

なんで俺なのかも分からない……訳ではないが、俺の横でそれをやることが甚だ疑問だし、俺を指導員として選ぶフィネークを見るととても微妙な気持ちになる。

いや、微妙な気持ちになっていた。だが、最近はちょっとその気持ちも薄れつつある。


時が経って慣れてきた、と言うのもあるのかもしれないが、それ以上に大きな変化があったのだ。

最初の頃はフィネークと俺の2人でトレーニングをしていたのだが、


「む、無理です!死んじゃう!死んじゃいます!」


『弱音を吐く暇があれば体を動かせ!貴重な体力をムダにするな愚か者!』


「ひぃぃ!!!わ、私に愚か者だなんて、不敬ですよ」


『不敬?そんなモノは戦場で通用しない!くだらないプライドなど捨てて体を動かせ!』


「ひぃぃいっぃ!!!!!無理です中佐ぁぁぁぁ!!!」


悲鳴を上げる1人の少女。普段の余裕と気品のある表情は消え失せ、本当に辛そうな顔をしている。

そして、そんな彼女を叱責するのもまた俺の姿をしたAIだ。


さらに、


「ふぐぅぅぅ!!!なかなかきついですわね」


『きついと思っているときが1番筋肉がつくときだ!そのまま50回追加だ』


「嘘っ!?追加されますの!?……や、やってやりますわあぁぁぁぁ!!!!!」


その隣ではまた1人の少女が若干ヤケになりながら運動をしている。が、他の2人よりは余裕がありそうだ。

そしてまた、この少女の指導者も俺の姿をしたAIである。

今この空間に、俺を含めると俺の姿をした存在が4人もいることになる。

……もの凄く不思議な気分になるな。


さて、フィネークは良いとして、ともに運動をしている残りの2人についても紹介しよう。

まず1人目が権力で言えばこの艦隊の中で1番上の人物。俺の住む国の第6王女、ダリヤだ。権力争いである王子から邪魔だと判断されて俺のいる艦隊に所属させられた。

王からはそこそこの愛があったようで100を超える護衛と使用人と一隻の大型艦が付属品のようにつけられてきたが、まあ普通に考えれば落ち目な王女だろう。


で、2人目がこの船で二番目くらいに権力がある人物。王族よりは格が下がるが、貴族の中では最高の位である公爵家の人間で、名前はセシル、

何とかとかいう俺は名前すら覚えてない王子と婚約しているんだが、その王子からは嫌われている。王子は何やかんやと理由をつけているが、セシルとの婚約を嫌がっている理由は好きになった相手との婚約じゃないからだろうな。愛のない結婚は嫌だとか言ってるんだろう。


で、そんな王子に嫌われているセシルだが、この艦隊の隊長である。その艦隊の中に自分より上の立場であるダリアがいるって言うとても微妙な状況だ。が、2人は仲が良いからそこまで問題になっていない。


2人とフィネークもまた仲が良いのだが、なぜか3人とも俺の姿を指導者のAIとして使っている。


『たるんでるぞ!』

『もっとしっかり立て!』

『まだまだいけるだろ!』


「「「……イェッ、イェッサー!!」」」


俺の声で少女達を指導する風景を見ながら、俺は俺で自分のトレーニングを進めた。

……こういうとき、どういう気持ちでいれば良いのか本当に分からん。



で、それから十数分後。


「……はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

「…………………………………………死ぬ」

「ぐ、、ぐぇ~。疲れましたわぁ」


3人は立ち上がることすらできずに床に倒れ伏していた。

公爵令嬢も王女もこんな部屋で横になるなんてあり得ないのだが、最近では日常風景となっている。セシル達も同じ部屋に連れている使用人や護衛は少人数にしている上に口うるさくない者を選んでいるようだから、見て見ぬ振りをされている状況だ。


「中佐ぁ~。水をお願いしますわぁぁ」

「わ、私もお願いしますぅぅ!!」

「……はぁ!はぁはぁはぁ!!」


お嬢様二名からそんな要望が。

そして、残りの平民1人からは強いめぢからによって要望が伝えられる。あれは、「私にも水よこせやゴラァ!」という感じだろう。上官にガンつけるとか最近の若い子は怖いな。


「……分かりました。なぜ使用人の方ではなく小官に頼むのかはわかりかねますが、取ってまいります」


俺はこれもいつものことだから、特に反抗することもなく軽い疑問だけ挟んで部屋を出た。ここから近くの冷蔵庫に行って……あっ。今部下の1人から見られたな。あの目、汗をかいた俺の姿に何か感じていそうだ。走っていたから、アレはカメラを持って戻ってきそうだな。

……サービスのために少しゆっくり歩くか。部下に不満を抱え込ませすぎないようにするのも上司の仕事だろう。


「……お水をお持ちしました」


「あ、あら。遅かったですわね」

「お疲れ様でひゅぅ~」

「……な、何か問題でもありましたか?」


少しサービスをしてからトレーニングに戻ると、セシルは完全に回復していた。今は床の上に足を伸ばして座っている。

残りの2人はまだ疲れているようで、フィネークは甘噛み気味だし、ダリヤは反応まで時間が掛かった。


「いえ。特に問題はありませんでした」


俺は詳しいことは説明せずに水を渡す。

それから3人が一息つくのを待ってから、


「……ただ、目的地へはもう少しで到着するようですが」


「「「……え?」」」

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― 新着の感想 ―
[一言] そういえば、セシルが艦隊の隊長なのはわかるけど、旗艦の艦長は誰なんだ? 主人公は現副隊長、元隊長で艦長ではないみたいだし。
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