表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/244

37.護衛を減らしますけど何か?

「……ダリヤ様!ここが食堂となります!!」


「おぉ。ここが。……庶民的ですね」


「いや。軍艦に豪華な食堂を作るなんて普通は致しませんわよ。副隊長がお願いして作ることになった大型艦が特別なのですわ」


俺はダリヤとあまり仲良くできないと思った。だが、他の者は仲良くできるようだな。

真っ先にダリヤとの仲を深めたのがフィネーク。そして、その次がセシルだ。セシルに関しては分かっていなかったが、フィネークとダリヤが仲良くなるのは確信があったぞ。

なんと言ったって、ダリヤって乙女ゲームの親友キャラだったし。


そうなんだよな。ダリヤ、本来友人キャラなんだよな。ゲームの中では兄である王子とフィネークの橋渡しをする上でもかなり重要なキャラだったんだが……なぜか兄に疎まれて戦場送りだ。可哀想に(心にも無い言葉)。

攻略対象がいないときにはセシルから守ってくれるシーンもあったし、その格好良さに惚れた人のために百合ルートまで用意されていた。かなりの好遇キャラでもあったはずなんだが、この有様だ。誰かさんがシナリオを破壊なんてした所為で……(←こいつがやりました)


「……ダリヤ様は基本的に新しく作られる大型艦に乗ることになると思われますので、ここの構造をあまり深く理解する必要は無いかと。知識として脱出口や武器の場所さえ覚えておけば良いと思われます。……勿論、こちらでの活動を希望するのであればそれもまた問題無いとは思われますが」


俺は年の近い3人の少女が楽しそうにするのを一歩引いた状態で付いていきながら、冷静な意見を述べるよう心懸ける。

こんな庶民的な、というか、一部は庶民の家よりもひどいこの場所で王族が生活するのは問題があるからな。もし何かしら理由があってこちらに乗ったとき、脱出できるようにするくらいで良いのではないかと考えた。基本的に新造される大型艦に引きこもることになるだろうから。

……なんて思ったのだが、


「希望すればこちらに乗れるのですか?でしたらこちらでお願いします」


「……了解致しました」


まさかのまさかである。

この王女、この庶民的な方で生活したいとか言い出しやがった。礼儀的にこちらに乗ることも可能とか言ったが、流石にそれは無いだろ!分かるだろ普通!俺が何のために新しい船作ってくれって王に頼んだと思ってんだよ!!


「……ただ、こちらは本格的な戦闘艦ですので、護衛や側仕えの方々を全員乗せることには無理があります。勿論この船に乗る軍人を減らすことも可能ですが、その場合はこの船の危険度が上がることをご理解下さい」


マズいことになりそうだったので、すかさずカバーする。これで本当にダリヤが乗ったとしても、ある程度一緒に乗る人数は抑えられるだろう。

ダリヤはその言葉を受けて一瞬迷うような素振りを見せたが、


「あっ。それは……分かりました」


頷いた。

これが意味するところは、


「護衛と側仕えの数は減らします。護衛は20人、側仕えは5人にまでにして下さい」


ダリヤは自身の周りにいるものたちに向かって言った。

150人から25人か。かなり減ったな。流石にそこまで大幅に減らすと言われると慌てる者も多く、


「お、お考え直し下さい!」

「せめて護衛は80人に」

「側仕えが5人など少なすぎます。45人は必要です」


うんうん。そうだよな。ある程度妥協はするしか無いが、最低ラインがあるよな。

……って、ちょっと待て。その最低ラインが高すぎないか?

護衛が80人とか、この船で対応できないことくらい分かるだろ。しかも、側仕えに至っては何だ?45人?

5人しか減らしてないじゃないか。護衛でさえ2割減らしてるんだぞ。側仕えはもっと少なくて良いだろ。

そんな風に心で思いつつ、俺はこれをどう考えどう対処するのかとダリヤに視線を向けてみれば、


「あなたたちは本当に状況を理解しているのですか?ここは王城では無いのですよ?歴とした軍の戦闘艦の中なのです。前線で活動するための船で、そんな軍の力を弱めるような我が儘が許されるはずが無いでしょう」


決して大きな声では無い。しかし、その声からは非常に強い圧を感じられた。流石に王女となると威厳が違うな。……王子には威厳の欠片も無かったけど。あと、王女が戦闘艦に乗っても邪魔なだけだけど。

しかし、25人か。それでも少し問題が出そうだな。やはりこの船の数人を移動させる必要があるかもしれない。

整備関係の人材を送るか?なんて考えていたら、


「私の護衛も減らしますわ」


ありがたいことにセシルがそんなことを言い出した。

勿論突然そんなことを言われた護衛は、


「お、お待ちください、お嬢様!ご再考の程を!」


「いいえ。確定事項ですわ。公爵家の淑女として、そしてこの艦隊の隊長として、王女殿下が艦隊のために護衛を減らそうとしているのに私がそのままだなんて許されません!」


正論パンチだ。王女より公爵家の令嬢の方が護衛が多いというのも外聞が悪いと言うことで、渋々護衛は納得した。

新しい大型艦は、護衛専用艦になりそうだな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 造船とか年単位かかりそうだけどゲームみたいに ぽちっ ピカ- キラーン 完成 みたいなお手頃世界ですかね?
[一言] そもそも基本的に砲撃戦になる軍艦の中で150人や80人もの護衛付けて何させるのって話なんだがなw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ