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36.冗談が必要ですけど何か?

150人。ダリヤを入れて151人。それほど大勢の人間が、俺たちの艦隊にやってくることになる。しかも護衛やら側仕えやら絶対にマナーがうんたらとか言ってくる面倒な奴らだ。とてつもなく断りたい。

だが、王から直々に頼まれているのだから変に断ったりすれば不敬だとか言われないのだ。ならば、非常に苦しいところだが、


「流石に150人を我が艦隊で受け入れることは難しいです。ですので、1つお願いがございます」


「む?何だ?申してみよ」


「我が艦隊に大型艦を一隻増やして頂けないでしょうか。できれば、王族の方が過ごせる快適な環境を整えて頂けると幸いです」


「ふむ。なるほど」


王はとりあえずここまでは納得してくれてる様子。王は軍事関係さっぱりみたいだし、このままちょっと無茶な要求しても押し切れそうだな。


「ただ、大型艦となりますと作成に掛かる時間やコストが大きくなってしまいます。ですので、大型艦はいっさいの武装を配備する必要はありません」


「む?武器がいらないというのか?」


「はい。ただし、シールドや装甲を強力なものにして頂きたく思います。万が一の場合にも姫殿下の身を守る必要がありますので」


「ふむ。……分かった。お前たち。聞いておったな?予算は出す故そのように致せ」


「「「「御意に」」」」


俺の要求に頷いた王は、それをそのまま軍事関係のじいさまたちに全て投げた。しかも、予算は出すなんていってな。

あれには財務関係の人間は真っ青だろう。

軍事は金が掛かるから、財務関係と仲が悪いんだよな。今まで散々予算を絞ってきただけに、どんなことをされてしまうのかと思っていることだろう。試作機なんて言うものを大量に作って、今まで足りてなかったところに回すこともできるし……実に楽しい未来が見えるな。


因みに、この提案を聞いた王子は隠すこと無く笑みを浮かべている。

武装が無い大型艦にダリヤを入れると聞いて、俺がダリヤを戦うこともできない状況において殺すつもりだとでも考えているのかもしれない。幾らシールドと装甲が固くても、そういうのを突破する方法なんていくらでもあるからな。

守りが堅いから大丈夫なんていって適当なところに放り出して行くのが王子の望みだろう。

勿論、俺はそんなことはしないがな。せいぜい期待するだけしていて欲しい。


で、そんなこともあってダリヤが俺たちの艦隊に参加確定。ダリヤとメンバーの顔合わせを……となる流れなのだが、その間に1つ挟ませてくれ。


「……今後とも国のため誠心誠意尽くすように。ゴトー・アナベル()()


「はっ。心得ました!!」


俺、昇進した。1つで無く2つも。

まあ概ね予想通りではあるのだが、少し意外だったのは3つ昇進しなかったことだ。あの公爵ならそれくらいすると思ったんだが、どうやらそれは無いらしい。

もしかしたら1度で大きく上げるより、小分けに昇進させた方が恩を感じるとか思ったのかもしれないな。1度の大きな恩より幾度の細かい恩って事だ。

……いや、昇進が細かいことっていうわけではないんだがな。

因みにこの昇進を聞いた部下たちは、


「中佐なのに副隊長……裏口昇進だと思われてそう」

「っ!笑っちゃいけないけど……ぷぷぷっ」

「クスクス。だ、駄目よ。そんなこと言ったら」


笑われた。

確かに中佐まで上り詰めたのに小隊の副隊長って言うのは、合ってない役職だからな。記録だけ見る人間は、俺が何かコネやら賄賂やらで不正に昇進したとでも考えるかもしれない。

今後の行動によっては未来で大恥をかく可能性すらある。だからこそ、部下たちが笑うのも仕方の無いことだと言えるかもしれない。

だが、だからといって笑われてるのを何もせずに許してやるほど優しくは無い。


「ふむ。なら駄目な上司らしくせねばならないな。お前たちは明日のメニュー2倍だ」


「「「「え゛っ!?」」」」


笑ってた奴らの顔が固まる。そしてすぐにすがってきたが、俺としてもある程度下げるのは構わなかったので1.5倍で話がまとまった。

……ちょっと明日はきつめのメニューにするつもりだから、それが1.5倍ともなればあいつらは……ふへへっ。泣いて喜ぶ顔が目に浮かぶぜ。


なんていう茶番もあったが、本題はここからだ。

分かるだろ、あれだよ。茶番を挟みたくなるくらいには目を背けたい特大級の厄介物だよ。


「それでは姫殿下。ご挨拶の程宜しくお願い致します」


「はい。分かりました。私、ダリヤ…………」


大勢の護衛に守られた1人の少女が隊員たちを前に挨拶する。慣れない軍服に身を包み緊張した顔持ちだが、それでもなんだか話は長い。突っかからずにすらすら長い話がでくるのはある種の才能だよな。

校長先生やカリスマじゃ無い社長に匹敵する話の長さだな。……あっ。でも、今世の軍事学校の校長は話が短かったな。話を聞く時間があるなら訓練しろとか言うタイプの人だったから。

……つまり、ダリヤは校長を超えた話の長さだって事だな。仲良くできる気がしない。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >中佐まで上り詰めたのに 昇進の頂点(=中佐)に立ったと言う意味です。 中佐ごときが頂点などというのは、誤用なのでは? 例えば、貴族では無い身分だから、それ以上の昇進は無い建前である…
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