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34.レーザーは強いですけど何か?

《sideゴトー・アナベル》

「王子殿下の影武者が活躍、か」


その報告を受けたのは、丁度基地の奴らが敵を攻めるためいなくなっていたときだった。どうやら王子は俺の張った罠に見事掛かってくれたらしい。

影武者を送るときにはバレないように近くにいて、いつでもすり替えられるようにしておくべき。なんていう進言も一応しておいたのだが、当然のごとく断られてこの結果だ。戦場なんて言う危ない場所に行きたくないという気持ちは非常によく分かるが、この結果ではな。

逆に受け入れられていた場合は、あの王子も見直せると思ったんだが。まあ、あり得ないよな。あの王子だし。


「あぁ~。ヤケに鑑定を受けることが多いと思えば、こういうことだったんですのね?」


セシルも度重なる本人確認に違和感を感じていたらしい。その違和感がやっと解決したようだ。セシルの父親には俺から色々伝えていたが、セシルは何も知らなかったからな。

ただ、セシルが影武者を疑われていることなど、これを理解した後でも気付かないだろう。


「この任務が終わったらまた色々ありそうですわね」


セシルが遠い目をしている。

実績が作れたセシルと、影武者が発覚した王子。この対比は非常に大きな影響を与えるだろう。王子は両方のもみ消しに動くだろうが、もう遅いな。


「……あっ。レーダーに反応複数。敵艦隊だと思われます」


王子のことを考えていたら、敵がやってきた。今は仕事に集中しなければな。

とはいえ俺たちがわざわざ戦いに行く必要は無いだろう。


「了解。座標データを司令部に送れ」


「イェッ、サー!!」


基地の方に座標を送る。するとすぐに本部の砲台が回転し、そこからまばゆい光が溢れた。俺たちの船の主砲とは比べものにならないほどまばゆい光を出すと。そのまま光は伸びていき、


「……敵艦反応消滅しました」


反応が消滅。つまり、撃破したって事だな。いやぁ~。流石基地にある専用のレーザー砲は違うぜ。

と、俺は軽い感じで思っていたわけだが、


「え?敵艦複数いたんですわよね?」


「全部なくなっちゃったんですか!?」


慣れていないセシルやフィネークは驚愕している。今まで見てきた最高火力なんて、俺たちの乗る大型艦の主砲をフィネークが強化したものがせいぜいだろう。それと比べるとこの結果は驚きだろうな。

だが、このSF世界は船の主砲程度の兵器を作るだけでは収まりきらない。1つの星系をまるごと破壊するなんて言う爆弾もあるんだから、俺たちの大型艦以上の攻撃力なんて意外と沢山あるぞ。


「基地に配置されているレーザー砲はおよそ大型艦の主砲の100倍の威力があると言われております。数隻程度ならレーザー砲のみで撃破可能です」


「「え、えぇ……」」


思わずと言ったように声を出す2人。顔色も悪いな。自分たちにそれが向けられているわけでも無いだろうに。

と、思ったのだが、


「それって、今攻めているところにも同じくらいの威力のレーザー砲が用意されていると言うことですわよね?」


「勝てるんですか?」


なんていう質問が来た。ありがちと言えばありがちな疑問だな。

ここまで強い兵器を見ると、勝てないのでは無いかと思ってしまうわけだ。攻めてもたどり着く前に全部撃ち落とされそうではあるよな。

ただ、


「いくら強力なレーザー砲といえど冷却時間、つまり攻撃ができない時間は存在します。というよりも、強い分だけ、冷却に必要なエネルギーも大きいのです」


「な、なるほど」


「固定砲台みたいな感じだから大型の冷却装置を取り付けるのは可能だけど、それでもプラマイゼロくらいかな。形をもう少し変えれば……」


セシルが唖然としているが、フィネークは意外と冷静か?冷静と言うより、何かメカニックみたいなことを言い出してるぞ。こいつもしかして、研究所に入れたら良いもの作ってくれるタイプか?

……レーダーとレーザーの効果が落ちるのは微妙だが、もし良いものを作るようなら中型艦にある研究施設へ研究員として送り込んでも良いかもな。

あっ。なんで中型艦に研究施設があるのかはまた今度説明しよう。あれはちょっと面倒くさい奴らが絡んでるんだ。


「では、引き続き警戒に当たる。巡回ルートに入れ」


「「「「イェッ、サー!!」」」」


こうして俺たちは大した被害も無く防衛を続けた。全く被害が無かったわけでもなく、例の俺たちが奪った無人機生産基地は爆破されていたな。とはいえ10艦隊近く道連れにしたようだし、奪われることが無かっただけマシだろう。

あそこに関しては今回の防衛任務で対象になっていなかったし、俺たちが責任を取る必要も無い。被害はあったが、俺たちにはあまり関係ないと言ったところだ。

そして、そんな状況になっている中、


「……本隊からの通信です。無事敵基地を掌握。復旧次第付近にある居住可能惑星へ降下作戦を行なうため、その際にはゴトー大尉の協力も要請する、とのことです」


「了解した。要請は本国との調整を行なうように伝えておけ」


「イェッ、サー!!」


掌握が完了したとのことだった。基地の修復があるとのことだし、俺たちはもう暫くこちらの基地を守っておく必要があるだろう。

俺の惑星降下は……一度国に戻ってからだろうな。

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