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2.王子はどうでも良いですけど何か?

セシルが上官に決まった後、俺はセシルの父親である公爵と話を。


「まさかこんなことになるとはな」


「心中お察しします。……ああ。すみません。小官程度が公爵様を推し量ろうなどおこがましかったですね」


同情の言葉をかけた後、すぐに俺は謝る。同情の言葉をかけないのも問題だが、希にこの言葉で怒るやつもいるからな。だから、こういう流れが必要だ。


「ふんっ。白々しい。どうせ我が家を落ち目な家だとでも思っているのだろう?」


公爵は機嫌の悪そうな顔でそんなことを。王子に嫌われ、娘まで殺されそうだからな。落ち目に見えるのは確かだろう。

だが、


「公爵様は冗談がお上手ですね。小官たち軍人は国民を守るためにいるのであって、王子の道楽に付き合うためにいるのではありませんよ」


「なっ!?」


俺の言葉に公爵の目が見開かれる。

あそこまで王子の機嫌を取るような言葉を言っていた俺が、急に掌を返したのだ。それは驚きもするだろう。

だが、言わせて欲しい。


「王子と公爵家が敵対関係になるなど、明らかに国にとっては不利益です。できれば大きな問題が出ないように解決させたいというのが小官の願いですよ」


「……ふん。口では何とでも言える。激戦地にセシルを送り込む時点でその言葉は薄っぺらく感じるぞ」


「おぉ。手厳しいですね。これでも小官とて副官ですから、セシル隊長と共に前線へ赴く身なのですがね」


俺は肩をすくめる。

俺だって危険地帯に身を置くのだ。そこまで責める必要は無いと思うんだよな。だが、そんな俺の考えも鼻で笑われ、


「前線で数度打ち合いをしている間にセシルを暗殺でもするつもりだろう?考えは読めてるぞ」


なんて言われてしまった。随分疑り深い公爵様だな(自業自得)。

ただ、それでも俺の余裕は崩れない。


「でしたら、隊に公爵家の方々を入れてはどうですか?護衛にしても良いですし、身の回りをさせても構いません。……ただ、あまりにも数が多いと困りますけどね」


俺の笑みは崩れない。公爵もそう言われてはこれ以上何かを言うのは難しそうだ。護衛もつけていいなんていわれたら、暗殺は難しいと言うことになるからな。

それこそ、俺が自分ごと攻撃されたり自爆したりしない限り。


「……護衛はつける。言質は取ったからな」


「ええ。構いませんよ」


俺が頷き、ここで俺たちの話は一旦終了した。その後、俺は沢山の貴族に囲まれることになる。王子に目をかけられた出世の可能性のある繋がりを作っておくべき相手として。

ただ、逸脱者である伯爵は来なかったけどな。あの人は俺の考えをある程度くみ取っていたようだから。



「それでは出発致します!」


「わ、分かりましたわ」


数日後。俺たちは大型の戦艦に乗っていた。早速戦場へ出るのだ。

船員はセシル。俺。俺の部下数百名。そして、セシルの護衛数十名。

セシルがトップで、次が俺。そして、俺の部下がその下の立位置にいる。セシルの護衛は俺よりは立場が下だが、少し特殊な立位置なんだよな。俺の部下というわけではないから命令ができないし。しかも、セシルにも命令権は与えられていないらしく、護衛達は公爵に言われたとおりに動くらしい。

正直に言うと邪魔になる可能性が高いんだよな。大人しくしてくれると嬉しいのだが…………。


「ゴトー大尉!こちらは何でしょうか!」


「それは冷却装置だ。この船が攻撃を受けた場合やエンジンが熱を持ちすぎた場合に冷却を行なう」


「なるほど!取り外してもよろしいでしょうか!」


「いいわけないだろ」


俺は頭を抱える。

罠が仕掛けられていないか確認する姿勢は護衛として素晴らしいと思う。護衛の鑑と言っても良いだろう。そこは賞賛に値する。

……だがな。重要な装置を分解しようとするのはやめて欲しい。もし装置が使い物にならなくなるようなら、俺の命が危うい。


「ではこちらは?」


「それは……って、それは俺の買ってた高級菓子!それは俺の部屋に置いてたはずだろ!!」


本当に頭が痛い。もし生きて帰ったら不法侵入罪で訴えると言ったら土下座してきたな。……本当に何なんだこいつら。


「……はぁ~」


「た、大尉。お疲れ様で、ある。お水をご用意し、たぞ」


案内と説明が終わってため息をつく俺。それに労いの言葉をかけ、飲み物を渡してくれる少女が。

短めの髪、まだ初々しい言葉遣い。新品な事が分かる制服。


「ありがとうございます。隊長」


「い、いや。き、気に、するな」


とても言葉遣いに慣れなくてつっかえまくっている。頑張って軍人らしい話し方をしようとしているんだろうな。特に俺がこういう話し方をするようにとかは教えてないのだが。

……ただ、俺としても「ですわ~」と話していた悪役令嬢が軍人口調にしても違和感が凄い。


「普通に話して頂いて構いませんよ。特に決まりがあるわけでもございませんので」


「そ、そうですの?では、お言葉に甘えさせて頂きますわ」


俺の言葉で、あっさりと口調は崩れた。セシルはなんだか疲れたような表情を浮かべているな。飲み物を今度は俺が渡すべきだろうか?

と思ったが、自分の分の飲み物も用意していた。というか、護衛が用意していた。


「……それで、隊長は実績を出したいと言うことでしたが具体的にどのような実績を出すおつもりですか?」

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― 新着の感想 ―
[一言] 書き方悪くてごめんなさい。 軍服萌なお嬢様=軍服萌えな女性=作中の乙女ゲーのターゲット層です。 乙女ゲーじゃないけど、古くはベルサイユのばらとか、銀河英雄伝説とか、ヘタリア周辺に居そうかなと…
[気になる点] >俺の部下がその下の立位置いる。 誤字脱字と思われますが、修正先が不明なのでこちらで。 その下の立場にいる。 その下の位置にいる。 のどちらかだとは思いますが。 [一言] まだ読み始め…
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