26.囲んで叩くけど何か?
最近作者の勉強不足が目立っているようなので、読者の皆さんも何か気になる点があれば是非感想等で教えてくださると幸いです。宇宙用語難しいです……もう1回某アニメを見返さないと。
こちらに進んでくる艦隊。その編成は、こちらの予想通りと言えるものだった。
「大型艦は残りましたね」
「ああ。個人的には中型艦も2隻くらい残るのでは無いかと思っていたが、全滅したか」
敵艦隊の中型艦は全て機雷によって沈んだ。仲間が沈もうとも足を止めること無く次の機雷を目指して進む姿には練度の高さを感じたな。相当国への忠誠心が強い輩が多かったんだろう。もしくは、周りの雰囲気に飲まれて逆らえなくなったか。
前者であれば忠誠心の高いものを減らせて万々歳だし、後者であればこれからその雰囲気を作り出せる腕の良いものを消すことができる。
どちらにせよこちらにとっては大きなメリットとなるだろう。
「大型艦3隻ですか……2隻は沈められるでしょうけど」
部下の1人は難しい顔をしていた。
こちらにやってくるのは大型艦3隻。足を引っ張っていた1隻が離脱したのに加え、もう1隻機雷の被害を受けて沈んだ。1発機雷を受けて中破したのだが、その後は他の大型艦の盾にでもなるように進んでもう1つ機雷を受けて職務を全うしていた。たいしてその後の役に立つことができないだろうから、自身を犠牲にして味方のために動いたというわけだ。
「戦いはこの船と中型艦で近距離に詰めながら、小型艦で囲むという形になりそうだな」
「そうですね。この艦が主に壁となりつつ中型艦に足止めを協力してもらい、小型艦で集中放火といったところでしょうか」
まさに艦隊同士の戦いになりそうだ。遠くからの打ち合いというのは最近もやったが、ここまで近くからバチバチにやり合うのは久しぶりだな。
セシルが隊長になってからは初めてだろう。
……あっ。セシルと言えば、
「隊長は今どうなっている?もう船に戻って頂いても良いと思うのだが」
「あっ。はい。隊長ですね。確認します」
部下にセシルと連絡を取ってもらう。セシルが大型艦シールドを破ったことで大型艦との戦いに役立てるなんて勘違いしているかとも思ったが、
「もう船に入るそうです」
「そうか。格納庫の方にも連絡を入れておけ。帰還する戦闘機体の誘導も迅速に行えるように体制の整備を」
「「「「イェッ、サー!!」」」」
セシルは戻ってきてくれるらしい。
口には出さないがかなりありがたいな。闇属性持ちのセシルがいてくれれば、艦隊のシールドの強化ができるんだ。セシルにシールドを強化してもらいフィネークにレーザーを強化させれば、通常の大型艦と比べてもかなりスペックの高い船になるだろう。
「……戻りましたわ!」
1分もしないうちにセシルが戻ってきた。良い感じにかいた汗でまた輝いているな。実に健康的に見える。……戦場で無ければもっと良かったんだがな。
「隊長。シールド機能の強化をお願いします」
「りょ、了解ですわ!……責任重大ですわね」
戻ってきたセシルに早速仕事を頼む。セシルは責任重大とか言ってるが、ただ触って魔力を流すだけだから大して責任はないんだよな。
どちらかと言えば責任がのしかかってくるのは、作戦を考えて実行させる俺だ。
「敵艦3隻!まもなく射線に入ります!」
「よし。狙いは最後尾の船だ。各艦で一斉射撃を行なった後に小型艦による包囲を行なう!」
「「「「イェッ、サー!!」」」」
俺達は並んで敵艦が来る位置に主砲を向ける。いつでも攻撃可能といった状態だ。
敵艦もそれは予想していたらしくセシルたちのように姿を現す前に急停止したが、オレ達の攻撃がそれで出ていくことは無い。
あくまでも狙いは最後尾。先頭と2番目の艦は無視で良い。
「……敵艦、再度動き出しました!」
何も来なかったことに敵は動揺したのかは分からないが、それでも敵艦は出てくる。
「敵艦から主砲が放たれます!本艦に攻撃は集中!シールド10%まで低下しました!」
敵艦からの攻撃でかなりシールドが削れる。もしセシルの強化がなかったら爆散していた可能性が高いな。
実に恐ろしい威力だ。
だが、
「敵艦最後尾、3隻目が射線に入ります!」
ここからが反撃の時間だ。敵の3隻目が出てきた瞬間、オレ達の艦隊から一斉に砲撃が行なわれた。
全9隻からの砲撃を受けたシールドは一瞬にして破壊され、そのままレーザーが船を貫く。その船は一瞬で爆散した。
「小型艦、移動を開始します!」
後は小型艦を動かして敵を包囲させる。その間にまた砲撃により大型艦1隻が大破。敵艦はこの数秒の間に1隻のみとなり、このままだと俺達を1隻も墜とすことができずに終わることになりそうだった。
だが、そこで敵は意地を見せるらしい。
「て、敵艦!こちらへ突撃を行なうつもりのようです!!」
最後の1隻はこちらへ向かって最高速度で突撃しようとしてきた。恐らく突撃が目的では無く、突撃した後にこちらの船に乗り込んでくるつもりなのだろう。
ならば。
「隊長。小官が出て参ります……補佐官、後のことは任せた」
「え?大尉!?どこに行くつもりですの!?」
セシルの慌てるような声を聞きながら俺は立ち上がる。後の指揮は俺の補佐官に任せていくぞ。俺はこれから指揮などできなくなるからな。
……さぁ。久々の白兵戦だ。俺もこういうときにこそ活躍しないとな。