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47.取り込まれましたけど何か?

敵が命を犠牲に自爆してとてつもない火力を出したというのに、キメラはまだ吠えられるくらいにはピンピンしている。

本当に厄介だな。


「とはいっても、無傷ってわけでもなさそうだな。弱体化しているだろうし、勝つことは可能か」


弱っているのは間違いない。様々な部位を俺に引きちぎられ奪われ、残った部分も防御力は高いもののすでにボロボロ。

傷も多いし、無理やりそこを広げていけばどうにかできるのではないかと思う。

それくらいなら俺の魔力残量的にも余裕をもってできるし、


「今度こそ終わりだ」


俺の魔法がキメラに襲い掛かる。

キメラの体を包み込んだ俺の魔法がいっきに細かい物から大きいものまですべての傷を広げていく。

……………はずだった。


「なっ!?防がれた!?」


傷だらけで耐えられるはずがないというのに。俺の魔法は一切傷に触れられない。

というか、おかしいよな。傷に触れることができないなんて、まるでそれではただ体が硬いだけではなく、


「魔法が使えるみたいじゃねぇか……………」


魔法に限定するのもどうかと思うが、とりあえず障壁を張れるってことだ。知らない能力が増えやがった。

そして、しかも障壁なんて面倒極まりない能力だぞ。


「ゴアアアアアァァァァァァ!!!!!!!」


俺が不安を憶える中、再度咆哮をあげるキメラ。それと共に、黒いのが体中から吹き出し俺の風を押し出していった。

それと共に、激しい魔力を俺は感知する。


「やはり魔力は隠蔽されていたのか。しかも、あいつの体を取り込んで魔法まで使えるようになったってことか?」


魔力は俺が感知することはできなかったが、隠されていることが予想できた。だからこそ、この大量の魔力をキメラが持っていたという展開に驚くことはない。

問題は、その魔力で魔法が使える方だ。

今まで使えなかったことと今使っている属性が闇であることから判断すると、おそらくキメラは自爆した敵の体を取り込むなりしてその魔法の力を使えるようになったのではないかと思う。

流石に先ほどまでの本来の敵程魔法の操作などは上手くないが、圧倒的な魔力量でそれをカバーしていた。


「とりあえず………隊長。電磁砲をもう1度。今度はキメラにお願いします」


『了解しましたわ!ほかにも支援攻撃が必要でしたら行ってくださいまし!』


「ありがとうございます。でしたら、キメラではなく、キメラの周囲の闇に対してレーザーによる砲撃も定期的に行ってもらえますか?」


『分かりましたわ!すぐに行いますから、しっかりと生き残ってくださいまし!』


「もちろんです」


死亡フラグっぽくなりそうで怖いが、俺は頷いておく。

その数秒後、電磁砲が発射されキメラの出していた闇を貫通していき、一気にキメラの体まで到達する。とはいえそれまでの闇を通り抜けるまでに勢いはかなりそがれてしまったようで、多少食い込む程度で終わってしまった。


味方の支援はこれだけでは終わらず、周囲の闇を払いのけるように数発レーザーが撃ち込まれる。

キメラ本体にレーザーは使えないが、魔法によって出される闇を払うにはやはり光学兵器が1番だからな。


「魔力制御も甘いし、レーザーで削るだけでも魔力量の減少幅は大きいか」


俺にはどうしようもないほどの魔力ではあったが、レーザーで魔法を消されるたびに新しく生み出して補充しているため消費量が多い。俺の残りの魔力量と同じくらいの量が数秒ペースで減っていき、なんとなく希望も見えてくる気がした。

ただ、


「さすがに電磁砲は警戒されているか。面倒だな」


電磁砲対策で上への闇の展開がより加速しているため、体へ直接ダメージを出すということは失敗している。

ただ、だからと言って電磁砲による攻撃をやめたりはせず、

その頭上に展開している闇の魔法を俺が地上にある威力はそこまでない光学兵器でちまちま削ってどうにかキメラまで電磁砲が運よく通るかもしれない状況を作るようにはしていた。


電磁砲が当たる可能性を作るだけでなく、強く広く展開しているだけにそこを削ったときの魔力の消費量もそこそこある。

どうするにせよキメラは弱点となりうる部分をさらしている状況だった。


このまま俺の安全を確保しつつレーザーで魔法をつぶし魔力を削れば、いつか俺の魔力量でどうにかなるところまで弱体化できるはずだ。

時間はかかるが、どうにかはなるだろう。


そう考えた瞬間だった。


「っ!?逃げた!?」


『ゴトー!かなり早いですわ!こちらでは対応が難しそうですの!」


キメラが突如として逃走を始めた。

生物としてはあり得ないほどの速さを出しているようで、セシルたちの乗る戦闘艦から捕捉し続けるというのは難しいらしい。

生物だから宇宙船とは違うし、ロックオンなども正常に機能しないのは仕方のない事だろう。


幸いなことに俺でも対応できる速さではあるし、


「狙いさえわかれば阻止できる!」


風の魔法で動きを捕捉しつつ、キメラの狙いを考える。

今まで戦った限り、あまりキメラの頭脳は立派な物とは言えなかった。だからこそ、何を考えているのかくらいは読めるはずだ。

そう思ったのだが、


「っ!?そう来たか!」


俺は止められなかった。

俺の確認したキメラは、新たに足や腕を生やし、自身の動かせる部位を増やしていたのだ。

この数話だけでかなり地上戦の火力がインフレしてるw

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