表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
226/244

36.安定しそうですけど何か?

大規模な戦線で勝利を収めたということで、国民たちもかなり盛り上がっているという報告が入ってくる。

当然そこで盛り上がるということは、ダリヤの支持率が上がるということにもつながってくるな。俺たちにとっては非常に良い話だ。

これでしばらくは休んでいても文句は言われないだろう。

ということで、いったん首都の方に戻って休暇に入る。


「では、俺はいかせて貰う」


「あっ。はい。ゴトー君。気を付けてくださいね」

「休暇を楽しんできてくださいまし」


俺は婚約者となっているセシルとダリヤに離れることを告げて、首都を去る。

そこから移動用の宇宙船に乗って、知り合いに会いに行くために少し遠い星を目指す。


「………そこそこの数につけられているか」


そんな宇宙船の中、俺はいくつかの不審な気配を捕える。

恐らく貴族や他国の手のものだと思われ、俺を追跡しているのだと思う。その目的はそれぞれ情報収集や脅しや暗殺などで違うのだろうが、


「さすがに見られたらこまるな。適当にごまかすか」


俺の知り合い関係に手を出されると正直面倒なので、適当に魔法で光を屈折させてそれぞれの意識をそらしていく。

数人はなかなかの凄腕がいて俺から離れないように動いていたが、そういったものは魔法で適当に気絶させて終わりだ。

殺害せず、ただ気絶させるだけで特にけがを負わせることもないので問題ではないと思う。

そしてそこまでして会いに行く相手が、


「フィニア。久しぶりだな」


「あっ。ゴトちゃ!久しぶり~」


フィニアである。

この間の戦いの映像を公開してもらった件を含めて色々と話しておくことがあるのだ。


「大変そうだねぇ。なんかいろんなところで人がフラついてるよ」


「仕方ない。王族の、しかも次期国王の婚約者になったんだからこの程度は覚悟はしてる。とはいえ、前回会った時と比べても格段に増えてるよな。何がこんなことを引き起こしたんだか」


「さぁね~。民衆からの支持はこの間会った時も高かったし、戦場で活躍したのも変わらないし……まぁでも、あれじゃない?この間と比べてみる期間が延びたから安定感があることが分かったとか」


「安定感……まあ、それもあるか」


安定感。つまり、長く続けていけそうだという話だな。

今までの支持や戦いでの活躍は爆発的である代わりに一時的なものだと思われていた。しかし、こうして定期的に大きい成果を持って帰ってくることで、この熱が長く続くといろいろなところから判断されたという話だろう。


「実際、ふぃにあちゃんの知り合いの情報局の人も思っていた以上に安定した結果が出てるから国王即位後も安定するんじゃないかって考えてるらしいよ」


「そうか。メディア関係からそう思われているのは悪くないな。あまり敵に回そうとも思わないだろう」


「そうだねぇ。権力が長く続きそうだと思うなら、わざわざ悪いニュースを流して敵対しようとはしないよ。まあそれでも敵対しようとするところもないわけではないみたいだから、そこの情報は渡しておくね」


「ああ。助かる」


権力が安定している時に悪いことを言うのは、弱小で話題性が欲しいか恐れ知らずで正義感が強いか、もしくはその権力に挑みたいかのどれかだ。

その挑みたいというのは、内乱だったり他国からの侵略だったりという意味で、な。

だからこそそういう調査をするためにも、フィニアから貰える情報はありがたいものだ。

独裁国家のように強く規制するつもりはないが、変なものに入り込まれるのも困る。


「で?どうだったの今回の動画の効果。ふぃにあちゃんは投稿してとしか言われてないから影響とかは気にしてないんだけど」


「ん、そうだな。悪くない効果はあったぞ。ただ、味方がいつの間にか撮影していたということで艦隊のやつが数人違和感を感じてた様だったから、あまり何度もはできる気がしないな」


「それはそうだよねぇ。まあそれは仕方ないよ」


何度もやっていれば俺が後ろで糸を引いていることが露呈しかねない。

言いふらされることはないだろうが、やはり不信感を覚えられてしまうのはできるだけ避けたいよな。艦隊のメンバーとはできるだけ平和的で友好的な関係を保っておきたい。


「じゃあこれからはどうするの?次の戦場とかではやらない感じ?」


「そうなるな。というか次の戦場は2人の活躍が映えにくいタイプの仕事内容だからな」


「ふぅん?」


次の仕事。

そういわれて思い出すのが、帰り際に行われた会議の内容だ。

さすがに今回の戦いは長かったということで2人の集中力に問題が出かねないという意見が出た。ということで、今度からは少し違う戦い方をしようという話になったのだ。


まあ、さすがに1人でひたすら敵の攻撃を避けながら攻撃して移動してというのを数時間も行えば集中力にも無理が来るからな。

だからこそ、次はお試しであまり動画映えしない戦いをすることになる。いや、正確には動画映えしないわけではないのだが、2人の活躍があまりないんだよな。


「まあ、何するのかは分かんないけど頑張って!」


「ああ。無論だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ